爬虫・両生類のメーリングリストを運用し、またWWWで各種情報を公開
しようと思い立ったので、ここに私の簡単な爬虫・両生類との共同生活
日記をつけてみようと思う。タイトルの『けも』は、ニホントカゲの
個体名である。『その辺で拾ってきたような』トカゲである。とよく
いわれるのでそう書いておく。もちろん命に価値の大小など
あるわけなく、我が家のケージの中では一万円だろうが拾ってきた
奴だろうが関係ない。私の愛着も、見た目の美しさも、個体としての
優劣も、値段とは一切関係ない。
とはじめる前に、実はこの日記の記述は2回目である。同じ物を 二度書いているのである。一回目は昨年の 夏、旅行に出た先にラップトップを持っていき、結構手持ちぶさたの 時間を潰すのにぼちぼち書きはじめてふと気付いたら、数十キロバイト (原稿用紙50枚以上)にもなっていた。 ところがこの度、WWWでの情報公開を機に再録しようと探してみたが、 その一回目に書いたものが見つからない。信じられないようなことだが 電子可読メディアに記しておいたものが『紛失』したのである(別に 『とばして』しまったり誤って消したわけでもない。単にメディアが 多すぎるだけである)。
というわけで、一回目ほどのパワーもないし、だいぶ記憶が失われて いる部分もある(時間経過を記すと、けもが家にやってきてから一回目 を書くまで一年、それから現在まで同じ一年が経過している)。 それから共に生活をはじめた動物、その後死んでしまった動物も 随分増えている。いつの日か なくしてしまった文章を見つけだしたらそれも再編・統合できることを 信じて書き進めることにする。
それから一回目にこの文章を書いたきっかけは、ヒルヤモリの『ぺき』
(後述)が死んだことであった。どういうことかというと、永遠のもの
ではない命と戯れたその思い出を記録して置いておこう、という理由だけ
ではない。後で触れる野村先生の最近の著書のコピー「一匹の蜥蜴は
大自然の凝縮である」ではないが、爬虫・両生類を飼うことは、大自然の
ある部分をそっくり切り取って手元で管理することである。犬猫以外の
ほとんどの動物は愛玩のために飼われるために生まれてきたのではない
が、それをあえて手元に置いておくことは、非常な努力を要する。さらに
彼らはいろんな事を教えてくれる。飼っている爬虫・両生類の初めての
死は、単なる愛玩動物の死に会ったショックだけではなく、自然から
教えてもらった様々なことを他人にもフィードバックすべきであると
思いたたせてくれた。爬虫・両生類に興味がある人、飼おうと思っている
人には直接的なハウツー情報となるだろうが、興味のない人、むしろ
嫌いな人でも読み物として読んでもらって、自分が自然界でどのような
立場にいるのか、動物を飼うということはどういうことなのかを
考えてもらえれば幸いである。
本文章は、単なる飼育日記とは異なる。爬虫・両生類を飼う場合は、
飼育日記は必須のものであろう。といっても
-------- 8月29日(火) 晴れ・最高33度、最低25度 けもが朝から入浴していたかと思うと、昼ごろ脱皮した。 先日来の食欲のなさはそのためであると確認して安心、 まだ餌は食べたくない様子。午後一番に日光浴してそのまま 巣穴に戻る。…… ---------などという綿密な飼育観察記録を付けていたのは(白状してしまえ)、 私だって最初の一ヶ月がいいところである。私が「必須のものである」などと そんな偉そうなことを書くのもはばかられるが、それでも
--------
8/ け ぐ げ ぞ て
....
29 <-- 1k残、+30w+2k (水)-->
^-1k食
....
--------
などという暗号文書みたいな飼育記録をつけている。レポート用紙に一日一行、
一ヶ月一枚の手間である。それでも、爬虫類を飼うということは、文献がほとんど
なく専門家も少ない、同好の士が少ない、したがって原則的に初めて飼う種の
場合は想像と創造(その種の生育環境を想像しながら、あれこれ器具だの餌だの
を作り上げるわけである)がものをいう。もし不幸にして死なせてしまった場合には、
それでもその種を飼いつづけようという意志があればの話だが、前の犠牲になった
個体の飼育記録が少なからず参考になるはずである。
ちなみに上の『暗号』飼育記録は、上から個体名(けも、ぐむ、げむ、ぞむ、 てむの略)、各行には左に日付、その行には餌を与える前に1匹のコオロギが 残っており、30匹のミールワームと2匹のコオロギを全員の餌場に加えて 水を取り替えた、ぐむが目の前で1匹食べた、あとは見ていない間に食べる だろう、という程度のものである。季節が春・秋のクリチカルな温度の時期だったら この他に室温やサーモスタットで安定させたケージ内温度が入り、さらに特記事項 があれば右端にコメントする。
あくまでもこの『暗号』飼育記録に記されるのは、例えば不調が見られたとき に「う、こいつ半月餌食ってないぞ」とかそういうことを自分で見てわかるため の情報が主である(ちなみに人間、『それ』が『いつから』か、ということを 思い出そうとするとかなりいい加減なもので、3日前だと思っていたら10日前だった、 などということでは、彼らが病気にかかったときに対処が遅れる。このような いい加減さをカバーするための飼育記録である)。初めの飼育記録ならまだしも、 これをそのまま公開しても面白くも何ともないだろう。したがって、私が彼らと 付き合い初めてから2年の間に起こった・学んだあれこれを、時系列によらず トピックごとにまとめて、順不同で紹介していくことにする。先にも書いたように 同様の種を飼っている(飼おうと思っている)人には参考になれば幸いである。 何しろ文献がほとんどないこの世界であるから、人が飼っているという話を きくのが一番である。その意味ではインターネットは非常に役立つメディア であろう。しかし個々の記録者も、他人に知恵を伝授できるくらいの正確な 記録をすべきであることは要求される。
記録 --- 解説なしの客観的(かつ大部分の人には面白くないであろう私の メモリアル的な)記録はこの部分だけに留める。
- けも (ニホントカゲ・推定♀・推定93年春誕生・つきあい93年8月〜)
- 93. 8/??: 出会う。横浜国大電子情報棟裏。
- 93. 8/??(翌日くらい): けもハウス1(25cm水槽)完成
- 93. ?/??: けもハウス2(40cm水槽)完成、移転
- 94. ?/??: 脱走(即捕獲)
- (94. 5/??: 下宿引っ越し)
- 94. 6/??: 脱走(即日? 捕獲)
- 94. 7/??: 脱走(即日? 捕獲)
- 94. 7/2?: けもハウス3 (手製、90x45x90cm)完成、移転
- 94. 9/??: 脱走、2、3日後捕獲。しっぽ先端8mm程損傷 (撮影後 ぺき埋葬時に埋める)
- 95. 6/ 8: 脱走かと思いきや、植木鉢の中から1週間後発見
- ぺの (リニアータヒルヤモリ・推定♀・推定93年?誕生・つきあい94年7月〜)
- 94. 7/??: 出会う。東中野アクアポイント。けもハウス3完成に伴い同居。
- 95. 3/??: 脱走 (翌日捕獲)
- 95. 7/2?: 脱走 (2日後捕獲)
- 95. 8/ 3: 脱走かとおもいきや、けもハウス下に逃走。即時連れ戻す。
- ぺき (リニアータヒルヤモリ・推定♂・推定93年?誕生・つきあい94年7月〜 94年8月没)
- 94. 7/??: 出会う。東中野アクアポイント。けもハウス3完成に伴い同居。
- 94. 8/31?: 没。2週間前より拒食、衰弱(Ca不足?)、三陸出張の前日。 9/1?埋葬(六郷土手墓#1)。
- ぞむ (グリーンアノール・♂・推定93年?誕生・つきあい94年8月〜)
- 94. 8/14前: 出会う。東中野アクアポイント。
- てむ (グリーンアノール・♂・推定93年?誕生・つきあい94年8月〜)
- 94. 8/14前: 出会う。東中野アクアポイント。
- ぐむ (グリーンアノール・♂・推定93年?誕生・つきあい94年12月〜)
- 94.12/??: 出会う。東中野アクアポイント。けもハウス#2にて分離飼育。
- 95. 1/??: けもハウス#3に移送。
- 95. 2/??〜4/??: 拒食のため旧りりハウスに隔離。回復につき戻す。
- げむ (グリーンアノール・♂・推定93年?誕生・つきあい94年12月〜)
- 94. 12/??: 出会う。東中野アクアポイント。
- 95. 1/??: けもハウス#3に移送。
- 95. 5/ 5: てむと喧嘩して負ける。体はでかいのに、ぐむにも負けがち。 しかし喧嘩っ早さ一番、このためしっぽ先端数mm損傷。
- りり (日本南方産種(不明)・推定♀・推定93年?誕生・つきあい94年9月〜 94年12/29?没)
- 94. 9/??: 出会う。東中野アクアポイント。りりハウス購入、飼育。
- 94. 12/29?: 没。寒さのためヒーターを上げすぎて過熱死。 12/30帰省前日。95. 1/11? 埋葬(六郷土手墓#3、れれの隣に眠る)。
- れれ (日本南方産種(不明)・推定♂・推定93年?誕生・つきあい94年10月〜94年9/30没)
- 94. 9/??: 出会う。東中野アクアポイント。りりハウス購入、飼育。
- 94. 9/30: 没。学会出張中、突然死(多分初期持病)。 10/?? 埋葬(六郷土手墓#3)。
- ざぷ (ニホンイモリ・推定♀・推定93年?誕生・つきあい94年9月〜)
- 94. 9/??: 出会う。日本橋高島屋ペットコーナー。
- 95. 3/??: 脱走、2〜3日後捕獲。
- ざび (ニホンイモリ・推定♀・推定94年?誕生・つきあい94年9月〜94年9月没)
- 94. 9/??: 出会う。日本橋高島屋ペットコーナー。
- 94. 9/末: 拒食、無気力に。
- 94. 9/28: 学会出張中、自動排水先の風呂桶に逃げ出したのがきっかけで 元気回復。
- 94.10/末: と思いきや突然死(多分初期持病)。 94/10/?? 埋葬(六郷土手墓#2)。
- ざじ (ニホンイモリ・?・?年誕生・つきあい95年3/27?〜95年3/28没)
- 95. 3/27?: 出会う。鶴見の家具屋。手に怪我。
- 95. 3/28?: 学会出張中に死亡(出血多量死?)。95. 4/2? 埋葬(六郷土手 墓#2、ざびの隣)。
- ざびゅ (ニホンイモリ・?・?年誕生・つきあい95年3/27?〜95年2月没)
- 95. 3/27?: 出会う。鶴見の家具屋。ちょっとみつくち気味。
- 95. 4/??: 突然死(初期持病が原因?)。95. 4/9? 埋葬(六郷土手 墓#2、ざびの隣)。
- ざっは (ニホンイモリ・推定♂・推定94年?誕生・つきあい95年3/27?〜 95年8/15失踪)
- 95. 3/27?: 出会う。鶴見の家具屋。ちょっとみつくち気味。
- 95. 8/15: 帰省から戻った翌朝、失踪(一目会いたかったのか)。 一週間手を尽くして探すが見つからず。
※ この項目も時間が経ったことでかなり損失がある。一番の損失は、今年 (95年)3月に電子手帳を紛失した事であろう。個々の飼育上の重大事件が 起こった日付のみならず、個体別に大きな事件を記録しておいたのが失われた。
(95. 8. 29)
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