世間的・iMacを購入する理由

世の中の計算機ユーザは、大きく2種類に分かれる。 つまり

  1. 『目的があって計算機を使っているひと』と
  2. 『計算機を使うことそれ自体が目的のひと』
である。

私など計算機屋は、1. の目的が2. であるので(笑)、なんとも言えないのだが、 いわゆる『パソコン』を使っている人(開発や研究でない計算機のユーザ)は概ね Windows系、Soralisユーザなどに1. が多く、FreeBSDなどのフリーUNIX系、 BeOS、NEXTSTEPなどには2. が多いと感じる。 ではMacOSのユーザはどうか。2. の対極にいるように見えて、 実は2. だと私は思う。

つまり、パソコンなんて難しいけどMacなら〜、とかいいつつポストペットや 電子メールを交換することそれ自体が目的のメール交換(長電話と同じだ) に精を出す、あてどもなくwebページのサーフをしたり(対極は何らかのテーマを 持ってwebページを探し歩くことだ)、また「いったい何がいいたいんだ?」とい う日記攻撃で代表されるようなwebページを開設したり(対極が何らかのテーマに 基づいた情報提供のためのwebページだ)、挙げ句の果てにハードディスクの構成 をああでもないこうでもないと整理し、 デバイスドライバがかち合うので入れたり外したりし、 デスクトップのアイコンの微妙な位置を整えたり することで時間を潰すようなまっきんユーザだ。

PC互換機のユーザにも(多くはWindows系だ)ごくまれに、200MHzでしか Pentiumが動いていなかったような時代に、家庭用クーラを流用したスーパー 冷却器でマイナス何十度かを作り出してCPUを冷やし、400MHzでCPUを動かしてい たような強者がいたが、結局彼らは何をするかというと、CPUが高速で動いてい ることを確認しておしまい、なのである(笑)。別に流体計算とか 巨大スパースマトリクス演算を行なうわけではない。

こういうとまっきんゆーざに刺があると思われるかもしれないが、こう言い換えた らどうだろうか。 1. の目的的に使うユーザは嫌々ながらパソコンを使っている場合が多い。 対して、パソコンを使うことが面白いユーザは、2. のそれ自体が目的になって しまうことが多い。 仕事で嫌々ながら(仕方なく)使っているまっきんのユーザなんて、今や印刷関係 しかおるまい。

こう考えると、フリーUNIX系などをハックするハッカーの体質などは、 非常に典型的なまっきんユーザと近いことになる。

ただ『猿のまま終わってよいのか』という問いかけが、プログラミングその他 に走るか、いつまでもマウスかちかちで終わるのか、の違いなだけの ような気がする。

たりゃ的・iMacを購入した理由

残念ながら、私は既に計算機初心者は2週間ほど前に終えている(笑)。 だから『インターネットに接続が13分』でできてもうれしくも面白くもない。

私はこの辺は割りきって購入している。仕事にも趣味にもゲームにも使え ないけどお部屋のインテリアっつーわけだ。つまり、『iMac』の『i』は、 私の場合『インテリア』の『i』なのだ。インテリア・まっきん。

これだけだとちょっと「どーしてインテリアに19万(税込み)もするコンピュータ 買うかな?」というバブル崩壊後の国民の悲鳴、みたいなのが聞こえてきそうだ からちょっと理由をつけさせてもらうと、たまたま臨時収入があった……ああ、 そういうことを言っているんじゃなかったっけ(笑)。えーと、分解して改造した くなるマシンだったからですねえ。ジョブスの作品というのはどーもそういうと ころがある。

どういう分解・改造かはこの項のトップページからたぐってく れたまい。まあ、この手の改造とかは、ふつーのPC互換機でもよくやる。 Librettoなんぞよくまあ 改造しまくったものだ。ただ、前述のような理由で、私は仕事にも 『それ自体を楽しむ』ためにも同じFreeBSDの載ったLibretto、というものを 使っている。したがってこの手の改造をするときは少なからず葛藤がある。 クロックアップするとき、HDDを4GBに載せ替え、古いHDDから内容を丸々転送す るとき、あるいはFreeBSDの バージョンを丸々上げつつユーザ領域(ホームディレクトリにある論文や文書、 プログラム、webページの素、portsでインストールしたツール群など)を潰さな い工夫、などなど……もちろん、失敗しても良いように二重三重のプロテクショ ンはしてから作業にかかる。だが、改造が終わった直後から(環境が良くなった ことを喜びつつ)何事もなかったかのように仕事の続きをやる気持は、 盲腸の手術の翌日から出社して何事もなかったかのように仕事をしたことのある 人でなければわかるまい。いや、私もそんな経験はないけどさ。

対してiMacの改造は、実は現時点では分解しかしていないが、万一壊したら 19万(税込み)がぱぁになる、という程度のプレッシャしかないのである。 ひっじょーに気が楽で、わくわくしさえする。

あっぷる的・iMacを購入させる理由

最後になるが、iMacというのはターゲットがよく分からないコンピュータである。 G3は速くない

まず、CPUが凄いだのいう評価は、 的外れであることは(少なくともジョブス自身は)分かっているに違いない、 と思う。速さでコンピュータを選ぶユーザにiMacは必要なく、 iMacを欲しいユーザに速さは必要ない。 速さでコンピュータを選ぶというthinkはdifferentしていないのである。

また、『既に終わってしまった』(笑)PowerPCなんて いうCPUの高速版を搭載し、Pentium II-400より1.5倍も速い、とかいっておきな がら、ぢゃあDVのノンリニア編集でもやるべかと 思ってみると、Ultra Wide SCSIバスもIEEE1394も、拡張すればもちろんそれらを 実現できるであろうPCIバスカードスロットのひとつすらも搭載されていない。

ちなみにこの辺 をみると、Appleの『G3 233MHzはP6 400MHzの1.5倍速い』は JARO行きものの出鱈目であることが分かる。 この例は整数演算という特殊な(ちなみに私の本業のシミュレーションは 85%まで整数演算のみである)アプリケーションのためだよ、 という反論がきこえてきそうである。だがiMacの ユーザから266MHzのPentium MMXに、MS製品(Officeとか。私は使わない) で遠くおよばない、という嘆きがきこえてきた。 別にG3は特別速くない。金をかけずに、ぽんと特別速いCPUが出てくるなんてこ とは、エンジニアリングセンスがない人から見るとありそうな気がするのだろう が、実際はあり得ないのである(同様のことはAlphaについてもいえた)。 口と肛門のないコンピュータ

実際にはあっても使い物にならない(私も最近のPC互換ラップトップに付いてくる のはことごとくシカトし続けている)超低速なUSBポートが付いているだけで ある。つまりCD-ROMをぺろんと呑み込む口、あと10/100Base-T(これを採用した のは賢明であった。これだけでもワタクシ的には1024倍くらいに用途が拡がる) を除くと、入口も出口もない、口も肛門もないようなコンピュータなのである。 そりゃセットアップが13分で終わるわけだわ(笑)。

その他の仕様はというと、押せばじょきんと飛び出るCD-ROM、USBの口とイーサ と56K内蔵モデム(要りませんて)、拡張ができなくてHDD4Gの、メモリ32〜96Mの、 パワーはあるけどキャッシュとかメモリサイクルが足を引っ張ってさし て速くならない(偏見的予想)CPU、…… をを、これはまさにラップトップコンピュータをばらしてでかい箱に入れて CRT付けただけぢゃないか(笑)。何かに似ている。そう、BUFFALOの液晶スリムパ ソコン、これまた別名が『ラップトップをバラしただけデスクトップ』を 目にしたときと同じ感想だ。こりゃ19万(税込み)でできるわけだよ(笑)。 初心者にはお勧めの一台か?

要は、ほんとのほんとにWebTVでも買うくらいならまっきんが可愛くていいわねー、 ポストペットも飼えるしー(ってほんとに日本版にバンドルされてくるときいて 大爆笑した)、何にパソコン使っていいかわからないけどとりあえず回りも皆 ぱそこんぱそこんって言ってるしー、じゃあネットでもやって(※ 意味不明。 プロバイダでも開業するのか?(笑))ホームページでも開いて(※ これまた 意味不明)おけばー、女の子ページだから 皆みにきてくれるかもー。お友だちもいっぱいできてパツキン野郎のカレシとか できたりしてーきゃぁ、ってな初心者が購買層であるというのを狙っているとし か思えない。いや、そういう層には実は最高のマシンであろう。 唯一OSがWindows系でないことを除けば(爆笑)。私はWindows系は大嫌いだが、 初心者的・長いものには巻かれる的・社会環境的にはこれほど良いものはないと 思っている。

さてこの思想は自明だ。なのにまっきんフリークってのはすごいっすね。 発売前後のまっきん雑誌などのFAQに『Q: 誰にでも使えるの? A: もちろん。でもプロにはつらいかも』みたいなのがあってブッ飛んでしまい ました(笑)。例えば画像編集・組版を生業とする(この分野では不幸なことに 安価なWindows環境への置き換えが遅れている)プロは買いませんて。

誰がすごいってあんたもぢゃよ > わたし自身(笑)。 自分で仕事にも遊びにも 使えないとわかりつつ、夢がある計算機というだけで18万も投資するかね。

まあまぢめに話を戻して。この辺のバランス感覚は、おそらく 『ジョブスの今』を反映していると思います。例えばあと10年早かったら、 ここでジョブスは周囲が何と言おうとNEXTSTEPを進化させたところのRhapsodyを 無理くりでも載せ、PowerPCなどという石は捨てて独自の石をIBMに開発させ…… なんてことまでやったんではないかと思いますが、今ではそこまで周囲を説き伏 せて仕事をやらせるパワーも情熱も(計算機については。映画制作はまた 別なんでしょう(笑))残っていないのではない か、だから単に旧来のくそまっきんをバンダイブルー(笑)のクールな箱に詰めた だけ、という妥協した製品展開になったのだと思う。 まあ今後OSの改良などにちょっとは期待できるからいいか、と。


ってなことを書いたのは発売一週間くらい前でしたが、発売直前にうちの 大学の生協の人と話して、「いや〜iMacが扱えるようになれば(※ 大学生協など は、Apple的には大きなターゲットになるべきであろうが、 現状では扱えない。どうすんのかな〜?)、学生に1台目のパソコンとして おすすめできていいっすね〜」と言ったら、 「いや、こんな拡張性もなくて中途半端なパソコン、勧められないっすよ」との こと。よくよく考えてみればそうだ。

社会に出てからのことを考えて授業でもWindows系しか扱わないようにした (つまり、UNIX系のワークステーションの上では少なくとも 仕事できなければ計算機科学のプロではない、という私の主義にも反するわけだ) 責任の一端は私にもあるが、そうではなくて、例えば文系の女の子 (キータイプ、メールの読み書きなど最低限の『コンピュータ・リテラシ』が クリアできればよいとされる)に、1台目としてお勧めするのですら、 躊躇するというのだ。

よくよくきいてみれば、フロッピとプリンタがない(前者はUSBドライブを 接続しないといけない、後者はUSBプリンタが現状では満足に選べない) ことである。

私などは『FDは使わない』『紙に何か出すことがない』 人間なので、この欠点は思いもよらなかった。 人に何か渡すときはサイズが小さければネットで、大きければいきなり MOかストリーマの世界で、紙になんぞ出すことといえば、論文投稿時 (最近は論文でさえTeXなどのソースの電子メール提出が受け付けられている)や 授業で配布するプリントなどの、最後の最後の一回の清書出力だけである (そのために研究室には考えうる高品質のレーザプリンタを置いてあるが)。

だが、初心者であればあるほど『紙に出す』ことに拘る。わざわざ webページ上で手軽にブラウズ出来て、しかもリンクで有機的に結ばれているハ イパーテキストまで、わざわざ一度紙に出してみないと、『見れても観れない』 のである。

先の生協のスタッフ曰く、「ジョブスは先を見過ぎたんですね〜」。 つまり私みたいなのが初心者で、1台目のパソコンを買うとしたら 理想的なのであるが、あいにく現在の日本にはそんな奴は53人くらいしか いないだろう(笑)。結構見掛けと宣伝に騙されて買うと、初心者は苦労する パソコンなのかも知れない。 ではほんとにiMacが向いている購買層とは?

そこで不肖、私めが、アップルコンピュータジャパンの売り方を考えてあげてみ ることにした(笑)。 まず初心者(生まれて初めてコンピュータに触るようなの)が大量に集う場所。 次にマシンのセットアップが素早くできないとうざったくて、 なおかつネット環境はそれなりに良い(電話線どころか、iMacは100Base-Tでも OKだ)ところ。

これはもう、大学の計算機室しかあるまい(笑)。 だが、そこで使うとなると必然的に(管理の問題から)各種サービスが集中的に行 なわれるサーバに対峙する端末となる。 そうすると端末が動くOSがMacOSというのはどうかな〜。 サーバはUNIX系(プログラミング の講義 - あれ、初心者が集うのではなかったか?(笑))か、Windows NTしかない。 うちの学科でも95を並べて計算機室を作ったが、散々な目にあった(というか 今、あっている)。Win95とかMacOSとか、いってみれば個人のパソコン(一人一台 思想)で設計されたコンピュータを無理矢理ネットワーク化(笑)した場合、 個々のマシンの設定をあれこれされると管理が大変なのである。 端末はすべて誰の持ち物でもなくて真っ白な状態になっていて、 個々のユーザの権限と責任でログインすると、はじめてそのユーザの設定が その端末に反映されるばかりではなく、前回別の端末でしていた仕事の続きが できなければならない。

まー、MacOSでもX端末のエミュレータを使ったりすればいいんでしょうけどね。 Windows NT for PowerPCなんて結構、いいんぢゃないかしら > ビル・G殿。