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出典: Tariki
没関係に注意
中国語に『没関係』(めいぐぁんし)という言葉がある。よく『大丈夫』と訳されているが、正確にいうと対応するのはここ数年の『大丈夫』という日本語の誤用(?)の意味が近い。
いきなり冒頭から話がそれるが、誤用のほうの『大丈夫』を日本語ネイティブが使うのは非常に耳障りである。『大丈夫』には『(1)何かに対処できる様 (2)良い結果になることを請合う』(三省堂新明解国語辞典) といった意味しかない。「コーヒー要る?」とたずねて「大丈夫です」とか返されると「はぁ!?」と思ってしまう。日本人ならきちんと「結構です」と言えよ (Y井くん、きみのことだよ(笑))。
というわけで、『没関係』はこの誤用のほうの『大丈夫』に近い意味である。同様のニュアンスの言葉は言葉は、例えばタイ語(だったか?)の『まいぺんらい』とか広東語の『無問題』(もうまんたい)とか、どちらかというと南方ののんびりしたアジア圏には共通にあるようで、日本人の頭の中もついにのんびり南方系に変化しつつあるのかなあ、と思ったりもする。それが良いことか悪いことか知らないが。
注意しないといけないのは、中国語の『没関係』は、(1)『あなたが起こした不都合を私は気にしない』だけではなく、(2)『私が起こした不都合をあなたは気にしてはいけない』のニュアンスでも使われたりすることである(笑)。
- ※ ちょっと補足しておくが、いくらなんでも人の足を踏んで「没関係」というひとはいない。(2)と感じられるのはおそらく、日本人からみたら明らかに『私が起こした』不都合を、相手が『不可抗力的にそこに横たわっている不都合なので私が原因ではない』と解釈しているケースである。根本的な問題の見方の違いかもしれない。
はじめて台湾に行ったとき、3週間ほど連泊した宿屋の主人はおそらく、かつて日本人として育てられた世代なのだろう、日本語がぺらぺら(というより母語発音)の台湾人であった。そのとき(1999年)は、日本では上記の『日本語の大丈夫の誤用』はあまりなされていなかったので、ものすごく印象に残っているのだが、中国語の『没関係』の使い方のタイミングで、日本語の『大丈夫、だいじょうぶ』が主人の口から出てくるのである。
泊まりはじめた頃、シャワーの栓が壊れて水がちょろちょろ流れていた。そのことを朝になって主人に報告すると、『だーいじょうぶ、大丈夫』という。いや大丈夫じゃないのはこっちなのだ(笑)、夜うるさくて眠れない。
案の定その後、修繕工事をするから部屋を替わってくれ、という申し出が主人からあった。部屋のクリーニングに入ったスタッフから、これじゃ水道代がたまらん、という報告があったのだろう。全然大丈夫じゃないじゃん(笑)。
その主人のおかげで、中国語圏のひとが「没関係」と口にしたら、どちらが起こした不都合をどちらが気にしていけないのだろう、と考える間もなく感覚的に理解できるようになった。いまでは自分でも適切なタイミングで「没関係」と口にできるくらいずうずうしく(?)なっている。
ちなみに『有関係』といったら、デキている男女のことを指すらしいからこれも要注意。
