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出典: Tariki

恐怖の結婚写真

台湾では結婚写真が盛んである。同様の撮影風景は香港でも見かけたことがあるし、四国出身の友人によると、四国でも同様の産業があるという。大抵の街には『結婚式ストリート』なるものがあり、貸衣装・引き出物とこの結婚写真を請け負う業者がずらーっと並んでいる(中華な街は同業種が集まるのが普通だ)。

結婚写真は、4万円くらい出すとまず衣装と撮影日の選定から始まる。衣装は、女は松田聖子・男はプレスリー、というルックスのものが多いが、ほかにチャイナドレス、日本の着物が発狂したような衣装 (それらはコスプレ用なのでぺらぺらだ)など『お色直し』が数回ある。

撮影日は女性の化粧から始まる(男も軽く化粧させられる)。コンクリート打ちっぱなしのスタジオにライトが3~5灯、バックペーパーがロールで入れ替え可能、という環境で (複数顧客の撮影を同時にこなせたりする)、645など中判カメラを用いて、まるでモデルの写真集撮影のように進められる。それもそのはず、最終的には 40ページくらいからなる、世界に一冊だけの『あなた(※ この場合主に女性)が主人公』の写真集が出来上がるのだ。ちなみにカメラマンも相当上手い。これがうちの嫁か、と思うような出来栄えである。素人女性が国民ほぼ全員(容姿も松から梅まで)モデルになってくれるのだから、そりゃ台湾婦人科カメラマンの底辺はすごいパワーだろう。

撮影は一箇所程度のロケも組み入れられる。近所のおしゃれなレストランなどが使われるが、レストラン側も良い宣伝になるためか特別許可をとっている風でもなく進められる。道行く人の視線が痛い(またやってるよ、程度なんだろうけど)。

1週間ほどしてポジ選びをさせられる。ここで所定の枚数選ぶのだが、どうしても捨てられない写真が多いと、増ページ割増料金になる。選ばせるおねえちゃんも、没ポジにはダーマトで×を描いたりして、(作業ミスを減らすためなのかもしれないが)客の「あーもったいない」心理を煽る。

さらに2週間ほどして、『世界で一冊の写真集』が送られてくる。……だけではなく、特別に選んだ1~2枚を大伸ばしにしたパネル、さらに名刺大のカードなどがセットだ。

これを何に使うかというと、まず写真集は、結婚披露宴(数百人呼ぶ)の出入り口で客に披露するために譜面台のようなものにどんと置かれる。パネルは新婚家庭の玄関に飾るためだ。名刺大のカードはもちろん、友達に配るため。このほか最近では、所定のURLを教えてやればweb上でみられる、というサービスまで付け加わる。

またネガも返却してもらえる。なら自分で焼き増ししてもう一冊作れるかというと、件の写真集と同じものは作れない。豪華な装丁、ラメ入りラミネート加工のページ、意味不明な英語の詩 (ティッシュの横の英文のような) などが付け加わって件の写真集が出来上がるからだ。逆に言えば、そういったフォーマットが何通りか用意されており、そこに嵌め込む被写体が毎日異なるだけ、という商売をしているわけだ。

さてこの項目、なぜこんなに詳しいかというと、私も撮らされたからだ(爆)。日本で(親族だけ)披露宴も半年前に終わり、台湾の嫁の親族に挨拶回りし、……で済ませようとしたら、前述数百人規模の披露宴をまだやってないなあ、とお義父さんが言い出した。招待状を発送していきなり1週間後に披露パーティーですぜ。披露パーティーは10人×20卓、近所の農協の倉庫を借りて行なわれ、交通整理まで出た。もちろん開会を告げるのは爆竹である。

そのとき着る貸衣装を借りに行った結婚式ストリートの店でアルバムも作ることになった次第。

ちなみに、これ女性にとっては大変気持ちの良い行事なようで (自分が主人公の写真集だもんね)、既婚者でも定期的に (父ちゃんは加わらず嫁と子供だけとか) 作る人がいるらしい。あと未婚でもモデル志望の女の子のプロモーション用とかね。