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出典: Tariki

うまそうに喰う

台湾のひとが食事をしているのを観察していると、とてもつまらなそうである(笑)。

いや、台湾は美食王国である。私が力説しなくとも有名なことだが、中国全土の食文化が集まり、日本統治時代の影響で日本食の影響も受けている(他の外国人は知らないが、日本人にとっては食べやすいことこの上ない)。島国で山あり海あり、中華にしては海鮮も発達している。

ところが、その料理を口にしている台湾人は、とてもつまらなそうに、うつむいて黙々と無表情で喰う。

最初に台湾に行ったとき、観光が終わって夜の楽しみは、ホテル近所の繁華街(西門町)の小吃店で、ビールを飲みながら延々といろいろなものをつつく、という晩飯であった。早いと19時、遅いと23時くらいになるが、近所のオフィスで残業しているサラリーマン数人組みが晩飯を喰いに来たり、仕事がひけたサービス業 (店舗も22時くらいまでやっているのが普通だ) と思しき数人組が隣のテーブルに入れ替わり立ち代りやってくる。

若い台湾人はあまり酒を飲まないから、ビールも飲まずに本当に、晩飯を済ませるだけ、で帰ってしまう。だから本当に、座ってオーダーして、食べて帰るだけが15分とかそのくらいなのだが、実にグループで来ていても黙々と食べている。(しつこいけど) 全員つまらなそうな顔をして、場合によっては眉毛が富士山になったりして、世界一美味しい食べ物を食べている。

家の嫁もそうだ。最近ではまあまあ、食事中に楽しそうに食い物の批評をしたりするという、日本的食い方に毒されてきたが、最初の頃などデート中に食事に一緒に行くと、一体何が悪いんだろう? と私の頭の中は『???』だらけになるくらいつまらなそうな顔をして、世界一の美味しいものを喰っていた。

ただし、台湾人から見ると日本人の喰い方こそ変だそうだ。特に有名になっているのは、日本のグルメ系TV番組である(日本の民放のバラエティは、ことごとく台湾で放送されている)。「これが○○なんですねー。ではひとくち」。もぐもぐ(大仰かつオーバアクションに口を動かし)。「んんまーいっっ!!」(目を見開いて)。といったようなアレである。

グルメタレントと程度は違うが、一般の日本人の喰い方も大げさにみえるらしい。私なんぞ、美味いものを前にするとはしゃいでしまって、材料分析から調理法から五言絶句、七言律詩で賛美をはじめるので、さぞ日本人の中でもうるさいほうだろう。

台湾人から見て日本人が『喰うとはしゃぐ』とみえるということは、台湾人から見て台湾人は普通なわけだから、なるほど日本人から見たら台湾人は『喰っているのに無表情』にみえるわけだ。相対的な問題である。

さて寿司屋は無口で握るのが良い寿司屋だそうだが、台湾では無表情に無口で食べないと、客として調理人に失礼に当たる、とかそういう文化があるかどうかは知らない。