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出典: Tariki

目次

(写真) デジタルのヒット率

最近(11月下旬)、ようやっと雲南旅行の『作品』写真の編集が終わった。まだこれから、家族(および同行者)のスナップ写真、料理写真などの編集もあるし、この日記に載せる写真も選んだり編集したりしないといけない。なぜ3ヶ月もかかるかというと、秋は航空祭のシーズンで途中で飛行機写真の撮影と編集が割り込んできたりしたからだが、基本的に旅行の約10日間で4200枚もの写真を撮ったからに他ならない。

それでもデジタルを併用するようになってだいぶ楽になった。別項に書いた、空港でのX線との戦いの面でもデジタルはだいぶ楽であるが、編集作業が楽になったのである。

  • フィルム(ポジ)の場合: 現像(店に出す)→目の子で選ぶ・サムネイルスキャン(編集できない程度に酷くて速いスキャナ)→選んだのだけ精密スキャン→レタッチ
  • フィルム(ネガ)の場合: 現像(自分で・または店に出す)→サムネイルスキャン→選んで精密スキャン→レタッチ
  • デジタル(一眼)の場合: JPEGみて選んで→RAW現像→レタッチ/サムネイルはJPEG縮小から作成
  • デジタル(コンパクト)の場合: 選んで→レタッチ(JPEGなのでほとんどいじれない)/サムネイルは縮小で作成

とこれだけみても違う。ほかに、レタッチでもフィルムは高解像度でとるのでファイルが大きいとか、フィルムはレタッチ作業の大部分が埃取りだったりする(笑)などの時間短縮要素もある。

それならデジタルだけでよさそうなものだが、今回フィルムカメラを持って行ったのは理由がある。まもなく、Kodachromeの現像が日本でできなくなるのだ。

Kodachromeの販売は今春(2007年春)に終了したが、現像は2008年初頭まで日本国内で引き受けるという。ちなみにその後は米国1箇所が唯一世界で現像できるラボとなるが、なかなか海外に現像を送るのも勇気がいるし高いし面倒だ。1930年代から脈々と変わらぬ(そして発色も唯一無二、保存性も良い)Kodachromeがなくなる前に、せめていろいろなものを撮っておこう、と思ったのである。毎年撮っているような季節の風物詩も、Kodachromeではこれが最後と思うと切ない。さしずめ癌患者の気分である。いや、写真というのはそういう風に被写体に向き合わないと本来はいけないのだろうが。

ということで、今回の装備は以下のようになった。

Ricoh GR1v

Kodachrome装填。28mm固定焦点でコンパクトだがお気に入りである。全自動だがやっぱり露出補正など考えないといけない(おバカな時代の全自動カメラなので)上に、本来自動のはずのピントが狂いがち(これまたレトロ(?)な自動フォーカス機構なのでフォーカスセンサ窓が曇っていた)で表示を確認しながら撮っていた。結構疲れた。

Nikon F2

Kodachrome装填。レンズはZeiss ZFの85mmを持っていった。50mmも持っていったが(これはS5に着けると75mm相当になる)、使わなかった。広角はGRに任せた。もちろんフルマニュアルだが、マニュアル機の最高峰のひとつだけあって取り扱いは楽だ。あまり考えて取ったという気はしない。

Ricoh GR Digital

28mm固定。マクロはレンズが舐めるほど近寄れるし、マクロでフラッシュをたくと料理が旨そうに撮れる(特に赤いもの)ので、料理用カメラでもある。

Fuji FinePix S5 Pro

上記換算75mm(50mm)のZFもあるが、やはり換算28~75mm (しかもF2.8通し)というズーム (SIGMA・ちなみにあまり気に入っていない) が便利なので、ほとんどズーム (しかもピントはAF、露出はA優先自動)で通した。

なおこのカメラ、ダイナミックレンジ(ラチチュード)がネガフィルム並みに広い唯一無二のデジタルカメラである。広い上に露出が正確である (ボディ = 露出・フォーカスセンサ等がNikon D200譲りであるため)。そのため露出では絶対に失敗しない。外すことが少ないし、多少外してもRAW現像でなんとか救える。実際、賢い露出を補正しようとして暗すぎたり(こっちはまあ他のデジタルでも救える場合が多い)、日中シンクロのフラッシュ量を間違えて白飛びしたのが救えたり(これは他のデジタルカメラではまず無理だ)、考えなくてよい点も、失敗できない旅行写真のためには良いカメラである。

Hasselblad SWC

超広角の中判である。Kodak Portra NC 400 (ネガ)装填。このフィルム、ポジ並みに露出が厳しい。その上粒子が粗そうだが、プリントすると相対的に35mmより滑らかな粒状になる(もちろん諧調の豊かさは中判の特権)。

何でこのカメラを持って行ったかというと、シャングリラというと広い広い草原、というイメージがあったから、広角、というつもりだったのである。

しかし結果的に持っていって失敗であった。このカメラ、手順がやたら多い(笑)。しかもフルマニュアル・ピントも目測ときているから、段々酸素が薄くなってくる旅程で(しかも段々疲れてきているだろう)、失敗率が上がってくる。というか面倒で持ち出さなくなったりシャッターを切らなくなっているのだ。あろうことか3日目朝に、前日フィルムを装填したのをわすれていて、SWCの裏蓋を開けたりしている。こんな失敗は普段絶対しないので、やはり酸素が薄いから頭がおかしくなっていたのだろう(笑)。

冗談のように書いているが、これは冗談ではない。上記2台のフィルムカメラも含め、最終的に選び出した『よく撮れた』写真の総枚数も、前半ではフィルムが勝っているが(デジタルでほとんど撮っていないとか)、後半は段々面倒になったのか、デジタルの成功率が上がっている。


5台のうち最初の4台は、似たようなカメラのアナログ版・デジタル版が並んでいるのがわかるだろう(笑)。一応場所によって、バスに置いておいた5台から、アナログ組・デジタル組を選んで(広角のSWCをもっていくか)観光ポイントで下車したつもりなのだが。

それでも最大で5台をじゃらじゃらぶら下げて高低差200m・500段の階段を上り下りしたり(虎跳渓、籠担ぎ人夫に「重そうだねえ。籠に乗ったら?」と声掛けられた)、フィルムを預け荷物に入れてX線を通されそうになって慌てたり(ガイドさんにはご迷惑をかけた - とはいっても私の過失ではなく、その日の観光の後荷物を詰め替える時間がある予定になっているからフィルムを全部は手荷物に入れなかったのだが急遽、朝に荷物を預けた状態でチェックインすることになったのだ)、フィルムカメラがデジタルの他にあるというバカみたいな状態は、今回の旅行が最初で最後だと思うが(あれ、新年に台湾旅行でもやったっけ?)。

さて、編集というのは、選び出した写真を(RAWなら現像して)色調やトーンカーブを整え、ときには傾き補正やトリミング、覆い焼きもして、プリントできる色に調整することである。選んだときはよかったつもりの写真でも、編集してもどうにも作画意図が不明だったりして没にすることもある。

そうして10日間で約4200コマから190枚ほどの『まあまあ見られる写真』を選んだので(このあとプリントするものはさらに選ぶことになる)、試しに上記機種別に数えてみた。全体の成功率は5%弱ということになる。

  • GR1v: フィルム2本半(撮りかけを持って行った)・約100コマ撮影のうち、『成功写真』は39枚。ヒット率約4割。
  • F2: フィルムわずか2本・72コマしか撮らなかったのに、成功は42枚。6割近いヒット率(58%)である。
  • GR Digital: 2422枚撮影。雲南の1138枚(なぜか広州・香港が多い)のうち成功写真は18枚。ヒット率わずか2%弱(1.6%)である。ちなみに料理写真(成功も失敗もなくただの記録)は256枚も撮っていた。
  • S5 Pro: 1515枚撮影((笑) コンデジ並みにシャッターを切っていた)。雲南の985枚のうち成功は79枚。ヒット率8.0%は全体の成功率の平均に近いし、普段の撮影の感覚からして(フィルム36コマに2、3コマ成功写真がある)妥当か。
  • SWC: 6本72コマ撮影。雲南で使った約3本(約40コマ)のうち、みられるのはわずか2枚。ヒット率が5%というより、この2枚は観光初日の石林(昆明)のしかも午前中。3日目(観光2日目)に裏蓋を開けてからちょっとテンションが下がったというのもあるが、後から思えばやはり(持ってはいても)構図を決めたり露出を考えたりという普段なら楽しい作業が面倒になっていた覚えがある。

今回、やはりメインはデジタル、という頭があったので、シャカシャカ考えずにシャッターを切っていた(くどいようだが、しかも考える能力が低下していたので自動に任せていた)。フィルムはここぞ! というときに出してきたので、成功率がバカ高い。また失敗したら再度は(Kodachromeは)ない (だから写真は全部そうだってば)、という緊張感もあるし、そうでなくともKodachromeはフィルム第1000円、現像2000円でシャッター一押し100円近くつく(せこい)。普段ネガフィルムをF2に詰めて持ち出しても(それだってシャッター一押し30円だが)こんなに成功率は高くない。

次に雲南に行く機会があって、そのときデジタルしかもっていかなかったとしたら、このくらい考えて手作業でピントと露出を決めて、少ないシャッターでこんな成功率を上げられる気はしない。やはり全自動カメラを使っていると、ひとはバカになる。