Tech:pc:ssd
出典: Tariki
目次 |
SSD (solid state disk)
小型PCそのものではないが、関連した話題なので。
お久しぶりのゼロスピンドル
SSDというのは、フラッシュメモリをハードディスク代わりに使おうというとんでもないデバイスである。いま(2008年6月)現在で、120MBで10万円弱もする。
ところが実はフラッシュメモリをハードディスクに使うのは、私にとってはお久しぶりなのだ。時は遡って1995年ころ、ウルトラマンPCというのがあった(これについてはそのうち書く)。これがPCMCIA Type IIIスロットというのをもっていて、早い話がそろそろ絶滅しそうな (2008年現在) PCMCIAカード (Type II) が2枚、または2枚分の厚さのカード (Type III) が1枚ささるものである。そこにPCMCIA Type IIIハードディスクカードというのを挿して、確か当時はWindows95かなんかで遊べる、というものであった。
あろうことか私は、これをFreeBSDとのdual boot機 (あるいはハードディスクカードの差し替えでFreeBSDが動く) にしようとした。ところがハードディスクが2スロット占めているため、ネットワークが使えない。Windowsでは(なぜか。あ、モデムがあったのか)ネットを使おうと思わなかったが、ネットが使えないFreeBSD機というのは、なぎなたを使えない弁慶、またはフォースを使えないヨーダくらいに使いものにならない。
そこで1スロットで動くハードディスク代わりの登場である。当時、まだ高価だったフラッシュメモリ (フラッシュメモリの価格はSDカードなどの普及で劇的に下がった) をばしばし搭載してPCMCIA Type1 (つまり1スロット分の厚さ) のフラッシュメモリ、というのがあったのである。
容量は85MB(泣)。価格はたしか26万円(号泣)。
これがいかにとんでもない大容量であったかというと、確かシャープの名PDAザウルスのフラッシュメモリとかRICOHのDC-1のフラッシュメモリが同様の形態 (名刺サイズ。だがPCMCIAカードではなかった) で、2MBとかだったと思う。4、5年でデジカメの普及と共にSSFDC (スマートメディア) の切手サイズで32MBとか64MBとかが出てきたような気がする (この辺記憶が定かでないので間違っていたら失礼)。というかフラッシュメモリなんて、おそらく安定した技術でないのでMbitクラスのチップが、電源を切っても消えない設定 (マザーボードのBIOSとか) を覚える程度にあったのだと思う。それを詰め込めるだけ詰め込んだのだ。
件のマシンは、金かけてFreeBSDが動く世界最小マシンのレコードを樹立すると、飽きてしまったような覚えがある。実に実用にならなかった。
そんな記憶があるからかないからか、VAIO TypeUのゼロスピンドルタイプ (2006年?) が出たときなんかも「へっ」ってな感じで見向きもせず、大容量のHDDを積んだモデルを買ってしまった。
SSDにお引越し
で今回、SSDが大容量化して、小容量の2.5インチHDDと同じくらいのものが発売された、ときいた。よくみると120GBとある。手元のThinkPad X60のHDDのWindows XPパーティションはこれより小さい。実はX60のHDDが手狭になってきたし(だいたいこれ、ものすごく高温になるのだ。寿命が来る前に換装してやる~、と以前から息巻いていた)、引越しをしようと思った、ちょうどそのときだった。
ちなみにこのマシン、歴代の小型マシンのプログラム・設定を受け継ぎ、いらないもの(データなど)はネットワークサーバに極力追い出し、アプリケーションは精選したつもりに本人はなってるが仕事から遊びからありとあらゆるものが詰め込んである。仕事がらみではVMware (プログラム作成からドキュメント作成からスライド作成) からスケジュール管理からネットワーク解析ツールからFlashから写真編集からビデオ編集からBD作成まで、趣味では音楽制作からフライトシミュレータからmodesバーチャルレーダからGPSログ整理までいろんなものを実行できる。ありとあらゆるcodecやアーカイバを詰め込んであるし、ないのはMS office (消した(笑)。もっと賢いOpenOfficeがあるので) とCygwin (ほんものUNIXがあるので) くらいだ(笑)。よくこれで80GBで収まっていると誉めてほしいくらいである。
実は、このX60は同じ120GBのHDDを搭載していた。きょうび、ン百GBの2.5インチHDDはそれほど高くないので、2007年末に買った (まあ2006年のモデルだが) ときより、HDD自体の大容量化も進んでいることがわかる。FreeBSDとdual bootにしてあるため、Win領域が80GBになっている (FBSDパーティションは25GBくらいだが、この他DOS領域を4GB切って、さらにIBMが仕込んだなぞの領域が4GBくらいある)。お引越しの際にFBSD領域を減らすことにして(実はこの領域、dual bootとVMware上から両方アクセスできるFBSD領域なのだが、持て余している)同じ120GBの、ただしSSDに換装することにした。
以下お引越しメモ。
- SSDをPowerX Partition Manager (これは元から、FBSD領域を切ったときに買ってインストールしてある) で区分け。まあIBMが仕込んだなぞの領域はどうせリカバリディスク作成のためだろうから、潰してNTFS 100G、FAT32 2G、FBSD 10Gとしてみる。
- PowerX『パーティションのコピー』でNTFS領域の引越しをし、FBSD領域はsysinstallでFreeBSDパーティションを適当に切りコピーで引越しをする。ほんとはboot diskの引越しは『パーティションのコピー』ではなく『ディスクのコピー』でやらなければならなかった。見事にWinXPがbootしない。
- 同じ120GBなので、元ディスクのFBSDで立ち上げddで丸コピーする。
- その後、SSDのWinXPで立ち上げ、FBSD領域を潰して『未使用』として10Gだけ切り、FAT32を後ろに移転、NTFSがこれで95GBほどになった (ちょっとうまくいかないのにめげて不安になり、IBMのなぞ領域は残しておいてやることにした)。
- 再度元ディスクのFBSDで立ち上げ、先ほど同じようにFBSDパーティション切り直し (最終的にa (/) 500M、SWAP 3G、d (/usr/) 4G、e (free fog) 残り2.5Gほどになる)、tarで中身移転。
すげーぜSSD
ゼロスピンドルというのは、動かしている最中に振ったり叩いたりしなければ必要ないものだと思っていた (といいつつ私は前科がある。Libretto時代に、GPS受信機を接続して歩きナビだの船ナビだのいってさんざHDDをいじめたのはこの私だ。そのときでも相当振動で読み取りエラー→リトライで止まってしまった)。ましてこのX60では、加速度センサがあって、そんなときにはHDDをリトラクトして保護する機構がある。
ただし、やはり旅行などにも必ずもって行くだけあって、HDDが万一破損したら、ということにはかなり気を使う。旅行直前にはThinkPadおまけのThinkVantageというツールスーツのバックアップソフト (こいつは相当バカだ。文句は後で書く) でバックアップを取る。なくしたり水没させたりといったことにはSSDも強くはないだろうが、これでいわゆる物理的破損の危険性はかなり低下すると思う。加えて、熱破壊である。よせばいいのにCore2duoマシンなんか買ったものだから、筐体の熱はすごい (パワーマネジメントで普段はスピードを落として使っている。春~秋にかけてこのマシンはフルスピードで使えない)。これで1年でバッテリも1本ダメにしてしまった (充放電回数は70回ほどなのだから明らかに熱劣化だ)。
さてSSDにすると、熱に強いだけではなく、熱そのものが出ない。のかしらないが、明らかに静かである。静か、というのは、ハードディスクがかりかり言う音も聞こえないのだが、実はこのマシン、1スピンドルを換装してゼロスピンドルになったのではなく、2スピンドルあったのが1スピンドルになっただけだ。まだ残っている1スピンドは冷却ファンだ(笑)。その冷却ファンの音はするのだが、明らかに静かなのだ。おそらくHDDの消費電力分が抑えられたためで、これにより電池の長持ちも期待できる。
アクセス速度はどうか。フラッシュメモリのよく誤解される点として、「メモリなのだから速い」というのがある。ところがフラッシュメモリは、01の状態が変わる(よく知らないが)まで数百回の書き込みを繰り返さなければならないので、実は書き込みに相当時間がかかる (PICのプログラミングをしていて分かった)。そのうえこのSSDに用いられているのは、遅くて『よく壊れる』とされる (ちょっとこの点は不安) マルチレベルセルというアーキテクチャらしい (大容量のものが安価になったのはこれのおかげである)。正確な数字については某所でベンチマークを見たが、書き込みで5400rpmディスク (一般的な2.5インチ)ととんとん、読み出しで5倍くらい速いのだ。
実際使ってみると、すげー速い(笑)。何かを待っているときの何かは、だいたいが読み出しであり書き込みではない。Windowsの起動とか『ディスクのクリーンアップ』などはめちゃくちゃ速くなった。ただし、FBSD領域を移転していて(HDDのアクセスランプを見て)分かったのだが、やはり書き込みはとんとんくらいである。1ブロック100MBずつ移転していたが、最初はHDDを読むのに3秒、SSDに書くのに6秒くらいであった。これがHDD内周になると読むのに5秒くらいに変わる。SSDは内周・外周の概念がないので速度が変わらないのが良い。
それからSSDに乗り換えてから、いろいろなPCのメンテナンスグッズをみてみると、かなりのCPUパワーはHDDがHDDであるために使われているようなのだ (意味不明だ)。つまり、バックアップの必要性が減少したことは上に書いたが(それでも突然の破損に備えてバックアップは必要ではあるが)、他に前述の加速度センサのドライバ (衝撃直前にHDDのヘッドをリトラクトする)、加えてデフラグツールもいらなくなってしまったではないか。フラグメントが問題になるのは、HDDの離れたところに連続したファイルがあると機械的動作に時間がかかるからであり、SSDではいくら離れたブロックに続きがあってもアクセスタイムは変わらない。この点、先日『Diskeeper 2008』という有料のデフラグツール (暇なときに監視してフラグメントを常時減らしてくれる) を入れてHDDアクセスが速くなり、ほくほくしていたので、ちょっと悲しくなった。使わなくなったライセンスは別のデスクトップマシンででも使おうかな。
やや不安なのは、フラッシュメモリの書き換え回数が有限 (それも数百万回だっけ、かなり少ない) であることだ。これについては前記のウルトラマンPCの85MB時代に検討してみて、まあフラッシュメモリのコントローラで適当に散らしてくれるだろう (フラッシュメモリの同じセルを常に同じセクタに割り当てるのではなく、適当に入れ替えて寿命を均一化するだろう) という結論になったので、あまり不安はもっていない。
ばかでかUSBフラッシュメモリ
2008年秋以降SSDの値段が劇的に下がってからは、家庭内・家庭と職場のデータ移転でもSSD (安いの) を使っている。2.5インチのHDDが入ってUSBで読めるという玄人志向だかのアルミケース (これのよいのはねじ止めしなくても一応、HDDを安定収納できることだ) をくっつけている。こうなると、2.5インチHDDサイズの64GBなり128GBなりのUSBフラッシュメモリみたいである。
もちろん落としても安心、というメリットがあるが、HDDにないメリットもある。それまでこの箱に入れてデータ移転に使っていたのは、320GBとか500GBの2.5インチHDDであるから、容量的には明らかに退化している。だが320GBを超えてからというもの、このHDD箱の動作が不安定になってしまったのだ。
デスクトップPCのUSBポートだと安定するが、USBハブだと良くなるときと逆に悪くなるときがある。ラップトップのX60などは、左のUSBポートならOKで右ならダメ、という状態だ。電源の容量 (USBは500mAまでしか取れない) が問題みたいだ。
最初は、付属のミニUSBケーブルを疑った。だがある日、裸のHDDの表面シールをみてぎょっとした。消費電流が700mAなんて書いてある(笑)。まさかこんな小さなデバイスが大食らいだったとは。たまたま動いていたのはUSBポートの大盤振る舞いだったのだ。そういえば上記の箱の付属品に、USB 2ポートから電源が取れるというy字ケーブルなるものがついていたっけ (ポートごとの電圧差があったら電流が流れこむのが怖いのと、取り回しがうっとうしいからすぐに捨ててしまった)。
その点、SSDは (まだ128MBだからこの先どうなるかわからんが) 定格が400mAだから余裕である。ラップトップPCの節電ではなしにこんなところで低消費電力が効いてくるとは思わなかった。
サーバでSSD
2009年に入って、仕事関係のネットワークサーバを2台、SSD搭載のボックスPCに換えてしまった。ACアダプタで動く、ふつーの (一般家庭でDVD再生専用機にでもするような) ボックスPCである。最近あちこちのお部屋ゲートウェイなどをこういうPCに換えるのに凝っている (もっともHDDは2.5in 内蔵だが)。おうちサーバ (このtarikiも動いている) をこれに換えてからは電気代が劇的に安くなった (もっともHDDは1T + 1T = 1T の外付けRAID1ボックスだが)。
職場では夏季休暇に冷房が止まるので35度以上になる室温 (HDD表面温度は50度を超えたこともある) に悩まされていた。安全性を確保するために定期バックアップはもちろん、やれ熱スクリーニング製品だ、HDDのRAID化だの電源の二重化だのサーバを複数用意してセカンダリ・ラウンドロビンだの、どんどんシステムの規模が膨れ上がっていく。発熱があるからいけなくて、大元の発熱を断ち切ればいいのでは。どうせ計算・処理能力が必要なサーバ以外は、ネットワークサーバなんてたいした仕事 (フライトシミュレータ実行時のPCに比べたら (笑)) してないんだし (きょうびのボックスPCなんてデュアルコア2G、なんてスペックだし)、という発想である。容量的にはまだファイルサーバなどには使えないが、さらにSSD化すれば発熱低減・耐熱性も一層アップだ。
作ってみたのは、一台はとある部署のネームサーバ、もう一台はとある部署のメールサーバである (メールスプールに容量が必要そうだが、別のサーバのディスクをNFSマウントすることにした)。
ベアボーンのボックスPCにSSDを搭載し、FreeBSDをインストールしてサーバプログラムを導入しておしまい、である。これについては特に書くこともない。FreeBSDはまともな (賢い) OSできちんとバッファリング・先読みするので (動画などバースト読み書きをしないとかいうのもあるが) ディスクの読み書き遅延はそれほど動作速度に影響しない。
耐熱性、耐久性 (特に書き換え問題について) についての評価は何年後かにならないと出ないだろう。でもなんとなく安心感がある。
この項まだまだSSDの評価が出るまで、続く。
