Tech:hddvdvideo

出典: Tariki

目次

ハードディスク/DVDビデオレコーダ Victor DR-MH5/Toshiba RD-XS53/Toshiba RD-X5

長い。タイトルが長い(笑)。

いや実は、Friioを買ってTV専用PCをつくったおかげで、やっとこれらHDD/DVDビデオ専用機から開放されそうなので、こういった機器の終焉 (私の生活の中で) にあたって、自分メモ的に記録してみることに。といっても将来、あまりのエンコードの面倒さにめげてBD専用機を買わないとも限らないが。

DVD専用機の欠点

3機種ともに、というより専用機に共通して欠点といえるのは

  1. リモコンで編集することのもどかしさ
  2. DVDドライブが壊れたときに録りためたプログラムが失われる

ということである。

1. は、いうまでもなく専用機がウィンドウシステムとフルキーボードとマウスでオペレーションできないことに起因する。当たり前でしたね(笑)。

だが、HDD内蔵DVD専用機というのが出たとき、私は小躍りして喜んだ。私は (別項で書いたが) DVD-Video自作録りためとの付き合いは長い。別項で書いたが、PCを利用して1990年代後半から自分で撮ったビデオ・録画した番組をせっせこDVD-Rに焼いていた。それまでのDVD化の過程といえば

  1. DVテープに録る (アナログソースならDVデッキでダビング)
  2. DVエンコード専用ボードで取り込み (2000年ころから1394経由で取り込み)
  3. MPEG-2エンコード
  4. オーサリング: MPEGストリームにマークをつけ、場合によっては静止画を取り込み自分でインデックスを作りメニューを選択したときのストリームへのリンク張り、リモコンボタンが押されたときどうメニューの反転部が遷移するかの選択、メニューからサブメニューへの遷移……(気が狂いそう)

という手順を踏んでいた。ハイビジョン時代になって、1.、2.がSDカメラでフラッシュメモリに記録・FriioでUSBから取り込み、3.がH.264エンコードに変わっただけで、PC (汎用機) でのBD制作はまったく同じである。もっとも、別項でこれまた書いたように、BD-Rでひとにあげるということはしていないので、3.はいまのところwmvエンコード、4.はただUDFフォーマットのBDかDVDに焼くだけ、ということになっている。

専用機でリアルタイムにエンコードができ、リモコンのボタンをちょちょいと押してCMや余計なところカット、メニューをちょちょいと選べば (自分でオーサリングするほどの自由度はないものの) 定型メニューでDVD-Rを焼くところまで一瞬、というのが、夢のようだったのだ。

だがしかし。あまりにもリモコンの壁は大きかった。手に余る大きく細長くボタンがフルキーボードより多いリモコン (東芝のなんか蓋を開けるとまだ中にボタンがあり、こたつに入っていてデッキまであとちょっとで手が届かないときに『孫の手』状態で使えたくらい長い(笑))、局面によって操作性が統一されていないGUI (特にこれはVictorのがひどい・後述)、すぐに反応しない専用機マイコンのOS、深く階層化されどこにあるか分からないメニュー項目、etc. そんなリモコンをなくすと今度は、本体だけでは基本操作もままならない。なら本体はつるつるのっぺりのキーなしでよさそうなものであるが、予約録画の中止など本体の停止キーを押さないとリモコンではできない(東芝)。

実は、これまたまた別項に書いたが、そもそも私は専用機が大好きで、PCのソフトで何でもやる、というのは嫌いである。GPS、ミュージック・シーケンサなど、いったんは汎用機に憧れて痛い目にあったことが何度もある。

だが、DVDレコーダだけはもう専用機は使わなくていいなら使いたくないな、と思った。もっともいまはTV用PCをつくったばかりで、大画面と高速性が楽しいのでこれでちまちま編集しているが、面倒になったらまた、BD専用機に戻るかもね。PCを使っていたって、Windowsのシェル (エクスプローラ) とAdobe Premiereで操作の統一感も崩れているし、すぐに反応する代わりに肝心の仕事を落とす (ビデオでいえば録画コマ落ちとか) わけだし。OSやアプリの信頼性もないし。五十歩百歩かもしれん。

2. のDVD-Rドライブが壊れたら、というのは致命的である。修理に出そうにも、HDDに録画したものの保証はされない (まあドライブ交換だけならHDDはいじらないと思うんですが)。

もちろんHDDに録りためておくのは最小限にしておくのが望ましいのだが、HDDレコーダの時代になってメディアを入れなくても勝手に録画しておいてくれる (まあHDDなしのDVDレコーダならビデオテープデッキ同様、必ずDVDメディアを入れなくては録画が始まらないわけだが)。特に東芝のは、ネットからEPG (番組表) なぞダウンロードしてインテリジェントに録画しまくってくれるので、DVD-Rに吐き出さない録画物がHDDに増える増える(笑)。東芝の2機種では、ファイルシステム上もうこれ以上プログラム数は取れません、というところまで (HDD容量が小さいXS53ではHDDいっぱいまで) 録りためてしまったことがある。

さらに専用機では (いやこれはPCでも同じなのだが)、DVD-Rに書き出しても、ファイナライズしていなければ致命的である。Windowsなどという世の中にあふれ返っているOSしか使っていないと、DVDやCD (ビデオや音楽だけではなくデータも) をファイナライズしなくてもどうということはない。ドライブやPCが壊れたら、他人の機械でも借りて未ファイナライズのディスクをファイナライズしてしまえば、ISO (Juliet) ディスクができてしまうので、悪い癖が付く。

ところが専用機では (でも)、書き込みの負担を軽減するためか、順番に書き込んでいくとき (DVD-Videoの作成途中) は独自フォーマットだ。他機種では読めない (もちろんPCでも読めない)。最初はISOはISOで記録していて、ファイナライズというのは単にDVD-Videoのインデックス付けをするだけなのか、と思っていた。それならMPEG-2ストリームはPCで読み出せるはずなので、救えるのでは、と思ったが、PCに未フォーマットのディスクを挿入しても「読めない」と言われるだけである。録りためちゃ危険なはずなのに、毎週毎週DVDに書き出したらもっと危険である (もっとも互換性が保証されファイナライズが要らないDVD-VRモードというのもあるのだが(東芝)、やはりDVD-Videoより再生が面倒な局面が多い)。

結局初代Victorを使わなくなって買い換えたのはDVDドライブが壊れたのが原因で、このときはHDD上のプログラムのDVD書き込み、未ファイナライズディスクのファイナライズはドライブをだましだましやった (いま気づいたが、後者はアナログでダビングすればいいんだよね)。

この点、東芝のXS53はよくしたもので、デジタルデータを取り出せる口が他にもある。ネットワークダビングである。2代目XS53のドライブがいかれたときには、幸い職場で簡単にDVからDVDを作るために上位機種のX5を買ってあったので (自分がオペレーションを知っているからである(笑))、借りて帰ってイーサネット接続し、実時間より掛かろうかというネットワークダビングを徹夜で延々行なって後、X5の生きているDVDドライブで書き出した (したがってこの項のX5使用レポートは借り物で使ったときのものである)。未ファイナライズディスクの互換性もあるようで、これまた事なきを得た。

それから、これは私にとっては別に欠点ではなかったが、一般的な家電ユーザにとってはHDDレコーダの3次元的 (?) に不定サイズに拡がった記録構造は分かりにくいと思う。テープという1次元 (直線) 状の、有限の長さのメディアに書き込む、という文化に慣れているからだ。

HDDに録ったプログラム一本一本それ自体は、時間という1次元軸上に広がる構造で、早送りもできれば巻き戻しもできる。だがそれがぶつ切りにメニューに並んでいて、さらにメニューはコンピュータのファイルシステムのディレクトリそっくりのフォルダなるもので階層化されている (ディレクトリと違って1階層に制限されているが)。余談だが、SonyのData Eaterという、スキャナで読み込んだ書類をMDデータに記録するペーパーレス化推進専用機も仕事で使っていたこともあるが、(これまたフォルダという名前の) 階層構造は1階層までであった。家電ユーザは階層が深くなるとわかりにくいと思っているのだろうか。

コンピュータのファイルシステムに普段慣れ親しんでいると、ディレクトリ構造は難しくない。またファイルが音楽や動画だったりすると、なおのことHDDレコーダそっくりである。だが実例を挙げると、実家の老父と老母はいまいちこの構造がぴんと来ないようである。このVictorの初代機は、実家にも私が推薦して導入した。DVDプレーヤが欲しくて、どうせなら録画機能も、というので、私がオペレーションを短期間で教えられるように、うちと同機種 (当時) を薦めたのである。母はともかく父はそれほどハイテクモノに弱いわけではないが、説明しても腑に落ちない顔をしていたし、実際導入して数年になるがほとんどそちらで録画したことはないようである。ビデオテープデッキは現役なのでそちらを活用している。やはりテープをガチャンと入れるとそれに1次元的に順番に録画されて、インデックスシールを貼って『きょうの料理』だの内容を確認できて、いまメディアのどこら辺を再生しているのかは目で見て巻きの量で確認できる、そんなプログラムのインデックスが物体と結びついたメディアほど分かりやすいものはない。

ふたつのHDD/DVDレコーダの思想の違い

このVictorの機種と東芝の機種には決定的な違いがあった。これはおそらくいまでも問題になっていることだと思うが、エンコードのタイミングである。簡単にいうと、Victorの機種はDVD-Rに焼くときにエンコードする。東芝のは録画時にエンコードする。もちろん前者だってHDDにアナログ信号を記録する以上、録画時にエンコードはしているのだが、最高画質でだったか独自フォーマットでだか、とにかくHDDにエンコードした状態はいったん、読み出してデコードして再生して、それからDVD-Rを焼くならば再エンコードする。

これは内部構造の問題だけではなく、オペレーションに大きく影響する。Victorの機種では、DVD-Rの書き込みが上記でわかるように、リアルタイムなのである。HDDのプログラムを再生しつつ再エンコードするのだから当たり前だ。これに比べ、東芝の2機種では、エンコード済みのデジタルデータをただDVDにコピーすることができるので高速である。

時間も掛かる上に再エンコードで画質も損なわれそうだし(実際分かるほどではない。元のアナログTVの画質がそれなりだから(笑))、Victorの機種のやり方は良いことがないように思えるが、実際はそうでもない。

まず、タイムシフトのやり方が違う。タイムシフトとはリアルタイムで視聴していて、例えばCMでないところで(笑)トイレに行って帰ってきたとき少し戻ってみたり、芸能人生放送水着大会を観ていたらぽろっと(略)いまのシーンをもう一度、といったときに便利な、HDDレコーダが出てきて初めて可能になったことである。Victorの機種ではHDDに常に (録画していないときでも。電源が入ってさえいれば) 記録しているため、あっと思ったら一定時間いつでも戻せる。東芝の機種では同じことができるが、「これからタイムシフトします」と宣言しなければこの機能は使えない。したがってぽろっ(略)は通常、観られない。

それから、放送されるプログラムに応じてあらかじめ画質 (ビットレート) を選んでおかなければならないのがちょっとストレスである。画質などどうでもいいような語学番組は低ビットレートで長時間録画、世界遺産系の番組は高ビットレートで高画質録画、などと使い分けるのが普通だと思うが、シリーズものなどは一枚のディスクに何本入れるか計算したり、単発ならちょうど良い収まり具合になるように考えたりするのが面倒である。

もっとも東芝の機種でも、再エンコードというのはできる。この場合は実時間掛かって再エンコードすることになる。余談だが、東芝の機種で(再エンコードを考えなければ)エンコーダ・デコーダは1組で済むはずであるが、そこはそれVictorの方式と同じように2組搭載している。したがって、同時2番組録画 (タイムシフトしながら録画) とか録画しながら再生とか、さらにHDDから再エンコードして違うビットレートでHDDに記録、などということもできる。XS53のDVDドライブが末期のとき、過熱すると書き込みエラーが起きるため、HDD→デコーダ1で再生→エンコーダ2で圧縮→DVD、というビットレート変換ダビングがダメになったことがあった。このときはHDD→デコーダ1→エンコーダ2→HDDと再圧縮しておいて、一挙に高速ダビング (データのコピー) でDVDに書けたので助かった。

Victor DR-MH5の特徴

以下はもう古くなった機種についての評論だから、私の思い出話と思ってくれてもいいが、おそらくメーカごとにそれほど設計思想が変化するはずはないので (OSのコード・チップセットなんか使いまわすだろうしDVDの未ファイナライズフォーマットも互換性があるかもしれない)、BDレコーダ時代になってももしかしたら通用する話やもしれぬ。劇的変化していたらごめんね。

いや上に一部書いたが、悪い点の最たるものは、メニューやオペレーションに統一性がまったくないことである。タイマー録画ひとつとっても、HDD側とDVD側でメニューのグラフィックデザインも操作が違う。2台の別々の機械がひとつになっている感じである。

じつはVictorの機種は使わなくなってから久しいので (HDDのデータを救えるかもしれないのでまだ部屋に立てかけてあるが)、上記に挙げた特徴以外はあまり、良くも悪くも覚えていない。

ただし最近、コピープロテクトがかかった番組をDVDに録画しようとして目にあった。実家 (上記のように同一機種) に帰省中に放映されたのでたまたま、録画したのであるが、まずはHDDに録ってそれからDVD-Rにダビングしようとしたらできない。マニュアルを読んだら、『著作権補償金支払済みのメディアで (※そんなの100円ショップでデータ用と同価格で売ってますがな)、DVDに直接録画ならおk』と書いてあった。がーん。別に悪いことをしているわけではなく、私の私的複製なのに、できない。悪いことはしていないのに、できない。厳密には住居を異にする親のレコーダだが、親は観るわけないので消してもいい。ってかHDDの肥やしになるので、消す。

これの合理的な解決法は『HDDからのムーブ』であろう。つまり、補償付きDVD-Rにダビングが終わったらHDDから消去、というメニューがあればよいだけである。今度帰省するときはアナログビデオのエンコーダとPCを持って帰って、このHDD内のプログラムを救う予定である。

他は、そのうちまた使ったら書こうっと。

Toshiba RD-XS53/RD-X5の特徴

良くも悪くも、なんとも癖のある機種である。

まず最初にオペレーションの悪さから書こう。これもVictorに負けず劣らずひどい。予約の一覧(録るナビ)は文字だけで横1列のノートの経線みたいだし、再生リスト(見るナビ - 正しくは『観る』ナビだよね)は3行2列のサムネイル表示、同じ番組選択でも編集時は2行5列になったりする。システム設定は半透明の階層化メニューが放送番組に重ねて表示される、と滅茶苦茶である。リモコンの操作キーも整理されておらず、例えば仮名漢字変換中は『モード』ボタンが文字モード変更ではなく決定ボタンで、『決定』ボタンが入力トリガだったりする。分割位置編集中に再生・スロー(前後)キーは再生と同じキー機能であるのに、早送り・巻き戻しキーを押すと突如、次のページ(5シーンで1ページ)に飛んじゃったりする。ページ送り・戻しボタンは他にあるのにだ。なおフレーム送り・戻し、スロー前・後、ページ送り・戻しとカーソルキーの右・左など似たようなキーが多く、ぱっと見で誤操作も多い。

反応のとろさは絶品で、時間が掛かる表示をインタラプトして次の操作に行ったり先行入力したり、というのが快適にできない。なおマイコンが性能向上しているのか、XS53よりX5の方がややさくさく動く。DVDを挿入したときや録画終了時など、一切のキー入力を受け付けなくなるのが5秒以上続く。したがって万一、傷が付いたり読めないフォーマット (CD-XRだっけ、とか)のディスクを挿入したらハングアップしてしまう。シーンやプログラムをサムネイル表示してくれるのは良いが、これまたキャッシュしていないサムネイルは描きなおしに時間がかかるし (この操作の一部では割り込み入力ができる)、チャプターの切れ目をずらすときなど、そのとき画面にあるすべてのアイコン5個なりをゆっくり描き終わるまで次の入力ができず、1/30秒ずらすのに2、3秒かかってしまう。チャプター分割位置を0.5秒もずらすとなったら地獄である。ただ付けてみました、という機能で、設計者が使ったことないように思える。

以上のようなことは直接売り上げに響くのだから (次世代機に買い換えるかどうか)、技術者はちゃんとOSやUIの設計の基礎を勉強して (締め切りがあるからという開発ではなく純粋な勉強)、その場限りでないものづくりをして欲しい。また作ったら作りっぱなしではなく、きちんとヘビーに使用して評価、改善して欲しい (バグはあまりないが)。

速度とは関係なくドライブのスペックであるが、DVDに焼くのもX5の方が速い。それからXS53時代にはなくてX5にあるのは、VRモード (DVD-VR、UDFなのでファイナライズが要らない) で通常のDVD-Rに焼けることだろう (XS53ではDVD-RWではできるようであった)。二ヶ国語放送を二ヶ国語で保存したいとき、これは役に立つ。

それから『GOP』なるものの理解を家電ユーザに求めている珍しい機種でもあろう(笑)。他機種はあまり使ったことがないが、そうでもないのかな? HDD/DVDレコーダユーザにおいてはいまや常識? GOPとはMPEG2のIフレームで区切られたフレームのまとまりのことである。Iフレームは、いわゆる静止画がJPEGのような圧縮をされているだけのフレームである。MPEG2をはじめとする動画は、データ量が多くなるため、動画は実は静止画の連続ではなく、最初に1フレーム完全な静止画を送っておいて(Iフレーム)、次のフレームは前のフレームからの差分を圧縮している。これを繰り返せば、原理的には番組の最初に静止画を送っておけばあとは差分差分だけを1時間とか送って圧縮率を稼ぐことができるはずだが、番組途中からの視聴ができない(笑)。早送りや巻き戻しもままならない。このため、MPEG2では15フレーム = 0.5秒に一度くらい、完全な静止画 (Iフレーム) がはさまっており、そこから差分で得られるフレーム群をGOPと称する。

といったようなことは私は仕事柄、ふつーに知って使っている。別に不便は感じない。だが、家電ユーザであるはずの本機のユーザも、CMカットなどでフレームの頭出しをするときに、GOP単位での操作を迫られる。え? GOP? だれそれアメリカの元副大統領? という感じだろう。いやべつにGOPのことは知らなくてもCMカットはできるのだが、GOPではないところでチャプターを切ってしまうと、この東芝機は最も近いGOPを単位としてDVD (正確にDVD-Video形式の場合のみだ) に書き出してしまう。上で述べたが、DVDへの書き出しは再エンコードしない、ただの『MPEG2データのコピー』である。したがってIフレーム以外から書き出すことはできない。GOP以外でチャプターを切ると、「CMの終わり0.5秒がなーんか一瞬ちらっと入るのよねー」というDVDビデオが出来上がる。東芝機でDVD-Videoを焼きたい場合の正しい編集の仕方は

  1. CMの入りフレームで正確に (GOP的にはてきとーに) 切る
  2. GOPの拡張を実行。切れ目が最寄のGOPに移動する
  3. フレームずらし(GOP単位)でCMが入らない (CM前最後の・CM後最初の) Iフレームに移動する (場合によっては移動の必要はない)
    したがって番組部分が最大で0.5秒ほど欠損することになるが、放送局側もこういう事態を考えていたのか (デジタル化されれば番組やCMの切れ目でIフレームが入るのは必須になる)、番組・CMの切れ目から0.5秒以内に有意なコンテンツが入ることはまずない。黒画面フェードイン・アウトだとか、プレイステーションのロゴや薬の「ぴんぽ~ん」などはこれに対応するためかもしれない。

となる。

この点は他機種ではどう対処しているかというと、例えば上述のVictor機はDVDダビング時に再エンコードが必須である。したがってフレームはフレームであり、GOPなど意識する必要はない。PCのビデオ編集ソフトなどでなるべくオリジナルソースを再エンコードせずに編集できるソフト (画質劣化を防ぐため) では、GOPの途中でシーンを切ったような場合、半端になってしまったI以外のフレームは、Iフレーム + 差分フレーム、というように再エンコードして作り直してくれる。東芝機ではこのようなことはせず、ユーザに差分エンコードの原理とMPEG2パケットの構造の理解を求めたわけだ (笑)。

ここまで落とすだけ落としておいたが、上述したようにネットワーク機能の充実は絶品である。iEPGは番組をサーバから落としてキーワード予約などに反映するだけではなく、自らもwebサーバを持っていて、PCから録画予約などができる (なんと一部操作はリモコンまでできる)。あいにく我が家ではこのレコーダはグローバルに晒していないので、おうちサーバ (NATもやっている) で走っているApache (このページを表示している奴だ) のweb proxyで認証付きページにリダイレクトしてみたが、CGIはうまくいかないのだろうか、外から予約はできなかった。ところがところが、この東芝機はメールクライアントの機能まであって(ぎゃふん)、その気になれば外からRDさんにメールを出せば予約もできる。RDさんからはほかに、放送時間変更のお知らせレポートなどがやってくる。予約はテキストで所定のフィールドに所定の情報を所定のフォーマットで書かなければならない (まるでUNIXのconfigファイルだ)ため、書式のメモがないとメール予約はできない。なおかつ外からメール予約をしなければならないときなんて海外に1週間以上行っているときくらいで、番組表をみて突然予約したい、などということがあまりないため、実はこの機能は1回しか実用的に使ったことがない(笑)。例えば書式が分からなければRDさんにメールするとヘルプが送られてきたり、そのメールの穴埋めをしてリプライすれば予約できたり、となっていればよいのだが。

時刻を時報に正確にあわせるジャストクロック機能も、教育テレビですら時報の放送がいい加減なきょうこの頃 (そしてデジタル化 - 1秒ほど時刻が遅れる、にいたっては時報はなくなるのではないかといわれている)では、NTP (かどうか知らない、専用時刻サーバかも)を使った時刻あわせまでしてくれる。

したがって上述の『リモコンが不便だ』という難点は、webリモコンがもう少し進化したらカバーできると思う。Ajaxをフル活用して、ブラウザのPremiereライクなウィンドウから2次元的にマウスで番組編集ができる、などとなったら、もうPCはいらない、となるかもね。

コンテンツそのもののネットワーク機能としては、上述ネットワークダビングしかない。これだって誰が使うんだろう、と思っていたが、DVDドライブが壊れたときは大助かりしたし (既述)、このままPCからストリームで観られるようになったり、さらにFLVやWMVといったPC特有のストリーム形式で圧縮、ISOやUDFで記録されたメディア (NTFS形式のHDDもUSB接続できるといいなあ)が再生できたりしたら、TV用PCなど要らなくなると思う。もっともTV屋さんのおばかな著作権保護思想 (民法ならCM代金で払っているし受信料を払っているNHKのプログラムはパブリックドメインであるべきだ) に照らし合わせて危ない、ということになれば無理だろう。現状のネットワークダビング機能だって、マニアックな使われ方であることを差し引いても、ひそやかにメニュー・マニュアルの中に眠っている、という感じである。ともあれ、TV放送自体が今後、ネットワーク放送に取って代わられるかもしれない現状において、一番未来に近いHDD機かもしれない。

HDD/BDレコーダの現状 @2008年11月

この記事を書いたのでちょっと気になったので、電気屋に行って調べてみた。主要BD/HDDレコーダのメーカのうち、カタログを置いていたのがSONY・東芝・SHARP・ナショナルじゃなくてPanasonic。自分で使っていた機械の後継機なのであとVictorもみてみたかった。

4社とも、上記でいう録画時にレートを決めてHDDに記録する(東芝)方式。エンコードは(次に述べるAVCエンコーダ搭載機種を除き)相変わらずMPEG2である。これ東芝方式といっちゃっていいのかなあ、アナログ放送と違ってデジタル放送は放送されているもの自体がMPEG2 TSなので、そのまま(最高画質で)HDDに記録し (単体機ではDRモードとよんでいるものが多い)、あとで低ビットレートにエンコードし直してDVD (BD) にダビングする、上記でいうVictor方式ともいえるかもしれない。ただし4社すべて、長時間録画できる(画質を犠牲にして)方法もあるとうたっているので、やはり録画時に再エンコード・DVDにはデータとしてコピー、といえるかもしれない。画質を優先したらこの方式は使いたくないが、HDDに25Mbps (BS) だの16Mbps (地上)だので記録したらいくら大容量時代でもたまらんだろうし、やはり再エンコードダビングは実時間掛かるので、一般ユーザウケはよくないだろう (ただしDVD/BDの残量にぴったりダビングする、といううたい文句になっている。けちくせ(笑))。

特筆すべきは、なななんと上記4社のBDレコーダは安価にしてH.264エンコーダ内蔵らしいのだ (他社は未確認)。くっそー。この点だけはTV用PCが負ける。なななんとと書いたが、実は3ヶ月ほど使っているAVCHDカメラはフルハイビジョン (1920x1080・30i) のリアルタイムエンコーダを内蔵しているわけで (しかもこれ、25Mbpsという規格最高ビットレートで記録できる家庭用(笑)だ)、PC用の汎用ボードが50万円とかする現状でうらやましい限りだ (もちろん性能は劇的に違うだろう)。

余談になるが、家電製品に内蔵されている機能が専用品より劇的に安く付く、というのはいまにはじまった話ではない。かつて、オーディオを光 (SPDIF)で統一すべく、メインアンプの手前にADCを入れようと思って探したら、20万円からした、という体験がある。当時のMDレコーダ (3万円くらい) にはふつーに光入力が付いていたわけで、電器屋のオーディオ担当の兄ちゃんに「なんでそんなするんですかねえ」と言ったら「ま、モノが違いますし。需要がニッチですし」みたいに言われたことがある (「安く上げたけりゃそれこそMDレコーダ買って光をラインに垂れ流ししては」とも言われた)。

まあH.264の安物ハードウェアエンコーダは、おそらくブロック移動量検出とか量子化の最適化なんかをさぼっているだろうから、PCのソフトウェアエンコーダとか50万のハードには敵わないだろう (酸っぱいブドウ)。実際、AVCHDカメラを使っていると結構なビットレートでも動きが激しいところでギジャギジャのボケボケになったりするし (だからこそ25Mbpsなんていう超高画質モードが付いているのだろう。PCでHD番組を圧縮した限り8MbpsでもSDの8Mbps程度に観えるのだが)、某所の使ってみましたレポートではやはり、SONYのレコーダでHD番組を圧縮するのに万能で使えるのは12Mbps以上である、てな評論がなされている。

H.264ハードエンコーダ・デコーダ内蔵の機種はPanasonicもSONYも上位のラインアップ (うーん事実上、ふつーの価格帯のを買うとまあ付いているといえるかな)。そしてエンコーダは (現在のBD/DVDレコーダはほとんどが前記の東芝と同様の内部構成になっており、MPEG2エンコーダ・デコーダは2組搭載が標準である) 1組がH.264となっている。もちろんこの他のメーカ・当該メーカのH.264非搭載機種や、当該機種でもH.264エンコードを必要としないときはMPEG2エンコーダでビットレートを放送時より落として長時間記録を可能にするようだ。

それから上記で未来形の必需品、と書いたネットワーク機能は、いまや東芝のみならず、SONYやPanasonicにも搭載されているようだ。番組表をネットワーク経由で落とす必然性があるから当たり前だ。メーカがEPG情報提供サーバを立てていて、放送局が提供するより多い情報も落とせるようになっているものもある。加えて東芝・SONYなどはDLNAプロトコルを使って、積極的にLAN内にコンテンツを流す機能も搭載している (WLANを使って持ち運びできるテレビを実現したのもSONYだった。流行らなかったが(笑))。

番組編集は楽になったか? 使ってみていないので分からない (東芝のGUIは見やすくなっているが、やはり上記機種の流れをくんでいるので笑った)。自動チャプター分割、おまかせオーサリングなど、カタログスペック上は楽になってきているように思える。というかPCのお任せ系編集ソフト(私はこれが嫌いだ)に近づいてきている。だがUIがスムースかどうかはわからないし、GOPとは何かユーザが勉強しなくてよい操作体系になっていることを祈るばかりである(笑)。