Tech:cddvdbd
出典: Tariki
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CD・DVD・BD
C、DときてB
これを書いているのはBDがやっと普及期に入った2006年末。だからどちらかというとBD評論になるのだが。
私はCD-ROM (R)もDVD系も、作ったのはひとより早いほうだと思う。
まずCDであるが、音楽メディア(CDDA)としては1986年ころにプレーヤを買った。SONYのポータブルで、CDジャケットサイズの鉛蓄電池ががばっとついたものであった。これで大学からの階段坂道を歩きながら聴いて「飛ぶんだよな~」なんて文句を言っていたのだから罰当たりである。
CDを作ったのは、なんと1989年であった。実はLogin (ASCII社刊)という雑誌の創刊記念(? だったか)のおまけで、そのときCD-ROMドライブをはじめて装備した (間違ってはいけないが、CD-Rではない。当時、CDに書き込みなどふつーはできない) 富士通のFM TOWNSというPCが発売になったのとタイアップして、『フリーソフトウェアコレクション』というCDの制作を依頼された。これはフリーソフトを収録したCD-ROMで、ふつうに音楽プレーヤにつっこむとCD-ROMの内容を紹介した1時間くらいのディスクジョッキー(フリーソフトジョッキー)プログラムが流れ、FM TOWNSに突っ込むとそれが動画アニメ付きになる、というものである。動画アニメ付きのプログラム部分は、アスキーネット仲間のだいちゃ、私がプログラム、なのれーがグラフィックデザインを担当した。なおDJはニッポン放送のどなたか有名人で、音楽は (もう時効だからばらしちゃうが) カシオペアの向谷さんが匿名で参加、という豪華メンバーだった。
これが語るも涙、聞くも笑いの製作工程で、まずターゲット機のFM TOWNS (よく飛ぶCD-ROMドライブのほか、丸くて方向が分からなくなるマウスでも有名) のC開発環境でプログラムを書き、テストする。ブートできるオブジェクトに落とし込んで (どうやって送ったか忘れた。パソコン通信だっけか) それをYAMAHA製のCD-R焼きこみ機で焼いたものがバイク便で届く。これの繰り返し。最後はスタンパーで(大量生産のCDと同じ)ディスクを作るわけである。
その焼きこみ機はン百万とか千万とかするもので、その特殊CD-Rはなんだか、ふつうのCDの表にぶかぶかの幕が貼り付けられたような異様なしろものであった。
まあそれが、数千円で誰でも書けるドライブが発売され、メディアはいまや10円とかになったのだから、良い時代ではある。ちなみにアメリカの国会図書館でもCD-Rで文書保存を決めたらしいから、下記の他メディアはともかくとしても (DVD-Rも同じだが)、CD-Rの色素変色系はある程度、枯れてきた技術であるといえるだろう。
DVDに関しては、これは混沌とした規格戦争の中に放り込まれたエンドユーザの記憶しかない。もちろんCDとCD-R、規格としてのCDDAやISO/Julietを散々使った経験があるから、規格戦争の最中にも『DVD videoは残るだろう』『DVD-Rは残るだろう』ということは分かっており、DVD±RWなんかで残すようなものを焼いたことはない (でも面白半分でDVDレコーダや一部PCドライブはありったけ対応のものを買った)。
映像記録の世界で意外だったのがDVD VRが残ったこと。もちろんファイルシステムとしてUDFというよく練られたものを採用していたからだが、家電系DVDレコーダで共通規格であり、PCの再生ソフトでも再生できる。う~ん、ありがたい。
BDは使えるか
ときはちょーど、1年位前 (2007年なかば)にとぶ。まあBDというのはほとんどはじめからHD DVDに対して勝つのが分かっていたし、ファイルシステムがUDF、RW (BD-RE) 系の規格も統一されて(?)スタートしたので、これは残ることは残るだろうな、とは思っていた。
ただし需要が問題である。
まず映像組は、すくなくとも2007年末は『高嶺の花』の機材にしかBDが搭載されていなかった。デジタル放送系(地上・BSとも)も盛り上がらず、必要ねーじゃん、という感じであった。
PCのデータバックアップとしては、これはちょっと論外であった。まず、HDDからバックアップをリムーバブル(しかも100年でも残る)に取るのは、『壊れたら再インストール』『自分でつくったデータはほとんどなし』『動画は安くなったリムーバブルHDDにコピーして10年後読めなくなっても泣かない』(※ HDDは運転しなければ安全、なわけがない。ちゃんと防湿個に入れておかないと自然劣化する) の素人さんならともかく、仕事でコンピュータを使う身では必須である。それすらRAID 1とか組んでいたら怪しい。そもそもテープメディアの容量をHDDが追い越して久しいし、BD登場当時だって100GB超のHDDがふつうだったのに、今更50GBというのもイタい容量である。
まあ試しにというので仕事で1台導入してみたが、これまた高い。ドライブが1台10万円近く、メディア(2層・50GB・2倍速)が一枚5000円。それでもDVD-Rにして10枚分くらいは収まるので、ある特殊用途 (DVD-Rにバックアップを書き出していて、最後には100枚以上のタワーになっていた) は徐々に、BDに移していくか、と思っていた。
2008年になってブレークスルーが訪れる。放送局が脅迫し(笑)レコーダの買い替えが進んだ結果、ドライブが単体で3万円程度、メディアが500円とか (1層・25GB・4~6倍速) まで下落したのである。こうなったらウハウハである。DVD-Rに書き出すような用途はBDに置き換えてしまえ。もちろん私とていちばん、DVD-Rで枚数が多いのは、上記データDVDではなく、録りためた動画系 (数えたら400枚以上あった) であるわけだから、整理にも好都合だ。もっとも、おうちTV (PC) のハイビジョン化と共にBD videoで残す気はなく、PCで観られるwmvやH.264形式で、単にUDFフォーマットのディスクに書き出すだけ、という選択である (このくだりは別項に書く)。
PC用外部ドライブとしての出来
CD-Rは最終的に、Windowsというプラットフォームでは本当に使いやすくなっていると思う。シェル (エクスプローラ) からぽんぽん生CDを入れたドライブに放り込んで、焼けばひとに渡せる。もっともファイナライズは必要なわけで、やはりこれは1ファイル1枚で作ってももったいなくないくらい安いからこう言えるのかもしれない。
DVD-Rではこれがどうかというと、動画に用いる場合はほぼ、ファイナライズをしないといけないDVD video形式がふつうであるから使いにくい (おまけにオーサリング・イメージ作り・書き込みソフトも必要だ)。
データDVD-Rとしては、専用ソフト (あるいは専用ドライバで拡張したシェル) が登場してきたが、やはり標準のシェルがサポートしているのは使いやすい。また途中からUDFが出てきたおかげで-R/±RWともまあ使いよくなったものの、やはり専用ソフトで使うしかない。これはUNIX系であってもほぼ同様である。
BDは、Vistaではどうだったか忘れたが(使ってないので知らないが)、確かMSがHD DVD派だったので……標準でドライバは装備されているのかな? ともかくWindowsXPでは、私はドライブのおまけで付いてきたCyberLinkのInstantBurnを使っている。シェル機能拡張系のドライバである (『フロッピーディスク感覚で使える』とある。なおR系メディアでもインデックス書き換えをすることで擬似的に消去・書き換えができるような、UDFの特性を活かしている)。ちなみにいままでBDドライブは2社2種類使っているが、どちらもこれが付いてきたので、割と標準的で定評があるソフトなのだろう。
まずこのソフト特有の事項であるが、『安定しておらず落ちる』ことと『ダーティ状態で放っておかれる』ことが気に食わない。これは最新のバージョンでも完全に直っていないので(かなり安定してきたが)、まだまだ使いにくい、という印象を持たれるだろう (Windows派には、だが)。
安定していないというのは、ディスクのエラー、バスの負荷、わけの分からない理由でとにかくぽんぽんPCが落ちる。多くはブルースクリーン状態に移行するので、ドライバのバグであろう。
落ちてもディスクが破損するということがなければまだ耐えられるのだが、ダーティ状態で放って置かれることと絡むとこれは致命的になる。つまり、BDに何かを書き込んで(書き換えて)イジェクトするまで、UNIX的にいうとsyncしてくれないのだ。UNIXだってパフォーマンスを上げるためにそうそうsyncしたりはしないが、それでも30秒とか放っておくとクリーン状態にしてくれる。その上きょうびのファイルシステムではダーティ状態でディスクを切り離しても (電源ぶっちぎり、あるいは上記のブルースクリーンに落ちるのがこれに当たる)、データの欠損は最小になるように整合性が保たれるのがふつうである。
ところがこのInstantBurnでは、いったんダーティ状態で切り離されたディスクは、よくて毎回『ディスクが壊れています。バックアップを取ってフォーマットしなおし…』というエラー、悪くするとディスクが読めなくなる。バックアップを取ろうにも最後に書き込んだデータが読めなければ取れないし (したがってInstantBurnでは、ejectして再マウントするまでHDD上のファイルは消せない。『ファイルの移動』は禁じ手である)、過去に書き込んでしまってもうこの世にBD-R上のデータしかなかった、という場合は永遠に失われる (これは致命的だ)。BD-Rはフォーマットしなおしてももう使ってしまった部分の容量は減る(ライトワンスメディアを書き込み・消去できるように見せかけているので当たり前だ)。
したがってInstantBurnを安全に使うためには (1) 細かい単位に分けて書き込む (一挙に50GB書いたりしない) (2) 『細かい単位』が終わったら必ずeject→mountしてsync (3) ディスクが一杯になるまでHDD上から消さない の3つは必須だ。
なお電源制御はしていて、マウント状態にあるとshutdown/sleep/hybernationが掛からないようになっている。だが、BDの書き込みに時間が掛かるため夜中に放置しておくこともしばしばなので、(1) クリーン状態なら電源は切ってもよい (あるいはディスクを入れたままunmountできる) (2) 書き込みが終わってしばらくしたらsync (あるいはamdみたいにunmountでもよい) する の二つがあればよいのに、と思う。同じような使い方をしているひとは多いと思うのだが、たったこれだけで『エコ』(笑) に貢献できるのだから、そのくらいの改良はあってもよいと思うのだが。
速度も致命的である。ここでいう速度は、InstantBurnの責によらない(BDの規格による)ものと、よるものがある。まず、BDの速度自体はものすごく遅い。50GBといったら、2.5インチHDDをもってきてUSB接続のアダプタをかませてファイルをコピーしても、数分くらいでバックアップが終わるくらいの速度である。50GBといったらきょうびでは一眼レフのCFで一日撮ったRAWデータくらい、映像ならHDVの12Mbpsのプログラムでせいぜい数時間分である。これがBDなら1枚に収まるので、たかだか1時間くらいで書き込めるなら我慢できるが、3、4時間掛かるのだ。当初の2倍速BD-Rメディアとドライブだと4時間くらいなので、最近6倍速になったメディアと8倍速まで対応できるドライブを使ったら1時間コースになるのかな、と思ったら、やはり3時間コースであった。ほとんど短縮はみられない。
InstantBurnのせい、というのは、むしろ『おかげ』と書いたほうがよい。このドライバは、さんざ上で悪口を書いたようだが、ベリファイしながら書き込むオプションが選べる。CD/DVD/BD系というのは、後から付く傷・ほこりについてはあまりシビアになる必要はない。数度のリトライで読めたり、最悪『磨けば傷が取れる』という技もある(笑)。だが書き込み時にすーっと傷をつけてDVDの書き込みなどをしてみると、そこだけレーザが屈折するので、周りのビットが焼きこまれていないのが目で見て分かる。ファイナライズが必要なDVD書き込みソフトだと、その後にコンペアというオプションが付いていることが多いので、HDD上から書き込んだデータを消す前に『製造時不良ディスクを作ってしまった』ということに気づける。だがUDFでのたのた書き込んでいると、じっさいにもう一度アクセスしてコンペアしてみるまで『書いたけど読めない』(私の字みたいだ) ということに気づかない。
InstantBurnでは『安全書き込み』なるオプションをオンにしておくと、書けば必ずベリファイしてくれる。これでダメだった場合は自動的に代替セクタ処理 (? 要するに書いた部分のセクタをチャラにしてもう一度書き込んだほうをインデックスに指させればよい) をしてくれるのか、書き込みエラーで止まるのか分からないが、ともかくHDDから消去する前に気づくことができる。だが書き込み時間は遅くなる (笑)。なお上記、50GBで3~4時間というのは、もちろんこの書き込み時ベリファイをオンにした状態のはなしである。
読み出しはまあそれなりなのだろう。書き込みの数倍は速い。
BDのいきる道
まあBDは、ハイビジョン時代の映像記録メディアとしてはそこそこであるということがわかった。最近のH.264エンコード (AVC圧縮) だと、BDレコーダ内蔵のあまり質の良くないハードウェアエンコーダでも12MbpsくらいでまあまあのHDV (1080i)映像が録れる。このビットレートだと一枚50GBのディスクに9時間以上も記録できる。DVDで我慢したような画質 (2.5Mbpsとか) で一枚4.7GBに4時間しか記録できなかったことと比べると、(容量・ビットレート・画質・画面の大きさを無視した) 記録時間面でも進歩しているようにみえる。
データ転送レートも、PCのバックアップデバイスとしては『たった50GB』で3~4時間、というのは我慢ならないが、やはり映像用メディアなら、AVCHDの規格最高の25Mbpsで書き込んでも余裕である (一枚4.5時間程度で書ければリアルタイム記録に追いつく)。
というわけで、私もしばらくはBDから離れられそうにない。この先どう進化するのか見守りながら、そして進化したデバイスに移し換える面倒さに怯えながら、使い続けることになる。
