D:071008
出典: Tariki
本物の芸術
どっかそのへんにも書いたが、私は教育テレビマニアだ。語学番組を勉強する気もないのに眺め、高校講座や小学校の教育番組をみて教え方のうまさに感嘆し、とにかくタイムシフト・みてるだけ(あまりないが)共に、いまやうちのテレビ(HDDレコーダ)は教育テレビのためにあるといっても過言ではない。
半年ほど前だったか、そんなこんなで『みんなのうた』がはじまった。観ていると、「おしりかじり虫~」という無意味な歌が流れ始めた(笑)。歌詞っていうか、曲になっているのはサビの部分だけなのであるが、ラップとも言いがたいお経のような歌詞で、いきなり「かじってなんぼの商売」とかいっている。
- おしりかじり虫という虫が実在(そんなわけない)で、それをキャラクターにしたアニメソング
- 既にこの架空のキャラクターは万人周知のものであり (TV番組の主人公だとか)、その生態を織り込んだテーマ曲だ
というような内容である。
あまりに無意味である。『みんなのうた』というと、可愛いとかほのぼのだとか(『たいやきくん』など)、あるいは教育的だとか日本人の原点だとか、そういううたと決まっている。それがこの曲では、可愛くもない、実在するわけでもない生物の生態を淡々と唄っている。なんなのだろうこれは。
一瞬、私は頭が悪いのかと思った(笑)。すごく深い意味がある曲なのに、読み取れないだけだと。でも3分くらいみていると、そうでもなくて、作者がすごくがんばって無意味に作ったようにもみえてきた。
そのときは録画したかったが急だったので、まあ放っておいて、いまに至る。
最近になってこれがヒットしているらしい。2chの某板とか、全然『みんなのうた』なぞ観るはずがない世代・趣味の場で話題になっている。ヒット、といっても『およげ! たいやきくん』とか『だんご三兄弟』のように爆発的にヒットしているわけではないようだし。
作者がうるまでるびさんであると知って、結構納得した。『ウゴウゴルーガ』とか『えいごリアン』のキャラクターを作ったひとである。『おしりかじり虫』ではアニメ制作だけではなく、作曲・打ち込みや歌も担当しているらしい。
おしりかじり虫のプロフィールをみてまたウケた。アッシリアの妖精だとか18代(短すぎねーか?)とか大阪出身だとか、そのへんもいかにもなのだが、『尊敬する人物: クインシー・ジョーンズ』のあたりで爆笑である。
思うに、うるまでるびさんも無意味な作品をNHKに投げてみて、放送されたぞうっしっしというつもりが、結構ヒットして「今度プロフィールも書いてくださいよー」とかいわれて、深遠な意味もつけてみたりして、さらにてきとーさに拍車がかかってしまったのではないだろうか。真正面から受け止めるNHKのことだから、このぶんなら紅白に登場しそうな気がする。
真正面から、というと、これだけ有名になったのは、もちろん (1) 子供にキャッチーだった(50%)こともあるだろうが、(2) その親の世代が「む、これは何か高尚な世の中の比喩・風刺に違いない」と思った(45%)のではないだろうか。(3) あとの5%はあれである。私と同じ、この作品にある種のにおいを嗅ぎ取ったひとではないかと(だってターゲットが昭和40年代生まれっつーか)。
別にはなしをややこしくするつもりはないが、これこそ芸術だと思った。作品は作者の手を離れた瞬間一人歩きするというが、まさにその典型だと思う。(1) 純粋にカワイー・(2) 比喩だと思う・(3) 無意味さにウケる、というどの路線に転んでも、である。
でもこの曲の『正しい』楽しみ方があるとするなら、(1)純粋にカワイー という子供の楽しみ方なのだろう。別に子供の鑑賞能力を神格化するつもりはないが (単にトレーニングされていないから無知なだけだと思う)、作品に対して教訓・風刺だとか、無意味のクールさを嗅ぎ取るのも邪道だと思う。
このひとはどのへんまで理解してこの曲をコピーしているんだろうか。これも無意味な映像で、よい。
