D:070321

出典: Tariki

目次

望遠をめぐる冒険

鳥撮りま専科

ここ半年ばかり、飛ぶもの(飛行機、鳥)を撮るのに凝っている。

動機は単純で、某航空祭でブルーインパルスを撮ってかっこいーと思い、近所の池でカワセミを撮ってかわいーと思ったからだ。

そうなると、望遠レンズが欲しくなる。

私は長らく、広角というと28mmで、望遠というと85mmな男であった(まあ105mmとか持ってるけどね)。まあ中心がスナップということもあるけれど、それ以上遠いところにあるものを撮る必要性を感じなかった。遠ければ寄ればよいだけである。っていうか、85mmでゴマ粒みたいに写る被写体を500mmとかで拡大するのは、卑怯(笑)な感じがしていた。

ところが相手は飛ぶものである。遠くて、しかも速い。飛行機にもっと寄ろうったってこちらは飛べないし、地上に留まっている鳥 (まあほとんどは留まっているところを撮るのだが) に寄ろうとしたら鳥は逃げてしまう。

というわけでまず、某航空祭の前に180mm/F2.8を中古で購入した。このレンズ、必要性は感じていなかっただけで以前から神のレンズ、という評判はきいていたので、中古で程度がよく安価なのを見つけて即買った。

す、すばらしい。

小型機で(アクロバット機なんて大型トラック程度の大きさである)しかも遠いとやや力不足だが、85mmにはなかった世界である。F2.8なら晴天で1/1000秒以上のシャッターが切れるからまあ、手ぶれとも無縁だ。

これに味を占めて、羽田空港近辺に何回か通った。空港の展望台には、金網に10cm程度の穴が開いていて、小さめの望遠レンズなら通せる。どうぞ撮ってください、ということだ。空港なら大型の旅客機を撮るのに180mmでちょうど良いが、小型機ならもっと長いレンズが欲しくなるし、飛んでいる飛行機を撮るならやはり空港からちょっと離れたところで長いレンズで狙ったほうが良い。

フィールドスコープに手を出す

そこで考えたのがフィールドスコープである。

レンズの明るさは、直径と焦点距離によるので、明るいレンズというのは物理的に重くなってしまう。だから明るさを犠牲にしてF16の500mmをください、といっても、そんなスペックの写真レンズは売っていない。

だが、近所の池にカワセミを撮りに来るカメラマンの何人か(カメラマンといっても、どちらかというと写真趣味というより野鳥趣味のようだ)は、コンデジにこのフィールドスコープをつけている。

調べてみると、一眼レフにもフィールドスコープをつけるアダプタはある。早速、フィールドスコープとこのアダプタ、それから目で観て楽しむ用途にももちろん、使いたいので、接眼レンズも買った。

さてカメラ屋の帰り、早速、離着陸ルートに当たる城南島(大森沖の工業地帯だ)に向かった。いつもと異なる風向きで、早速飛行機が頭上をかすめて飛んでいる。

い、いらない(笑)。こんな条件ではフィールドスコープは不要である。っていうか以前の私の望遠レンズだった、85mmでもジャンボならはみ出してしまうくらい大きいのである。喜び勇んで買ったばかりのフィールドスコープの紙袋を、バスかどこかに置き忘れてしまった。高かったのに(泣)。

こうなったら意地でもフィールドスコープを使ってやる。早速(高かったのに)買いなおし、今度はカワセミを撮りに出かけた。それから城南島や京浜島(これも工業地帯だ)、あと川崎大師の沖なんかも、かなりの望遠で空港方面をみてみると飛行機がうようよ撮れる。

帰ってきて写りをチェックしてみると、なんともダメなのだ。原因はいくつかある。

まず、一眼レフにつけるとF11とかF16という暗さになる。晴天ならピントはわかるつもりなのだが何となく合っていないし、シャッター速度も流し取りしなければいけないくらい遅くなる。また逆に例え明るすぎても絞り込めない。絞り込むための絞りがない(笑)。シャッター速度で調節である。

それからやはり大口径の写真レンズというのはシャープである。別にフィールドスコープが手を抜いているわけではないだろうが、目で観ること重視のフィールドスコープと、後で大伸ばしして観る写真を撮るのが前提の写真レンズでは、収差の量も違うし暗部の潰れ方なども違う。

買ったフィールドスコープはそれでもNikonのEDレンズのモデルで、他の同程度のスペックのに比べると倍くらい高いのだが色収差などがカメラ屋で比べて観ていてもわかるくらい少ないのだ。でも写真レンズに比べたらダメダメである。前述の神のレンズ、180/2.8などに比べたらダメダメダメダメくらいである。

まあフィールドスコープに35mmフルサイズ(っていうかフィルム)のカメラをつけようとするからこうなるのであって、高感度ノイズに強いコンデジをアダプターでつけている人の写真をwebなどでみると、まあまあであるから(プリントして観たわけではないが)、要は組み合わせが間違っているのだろうけど。

一応コンデジのアダプター(万力みたいなので寸法が合わせられる、スコープ側もカメラも選ばない奴だ)も購入して、手持ちのコンデジを取り付けてみたが、ズームできるコンデジなどというものをまず持ち合わせていない(笑)上に、それでも暗いF値を補うため感度を上げると、手持ちのコンデジはノイズのため観られた画像でなくなる。フィールドスコープ + コンデジの組み合わせはさらなる課題、というところか。

ミラーレンズに手を出しかける

話は一眼に戻る。

そうなると、長焦点のカメラ用レンズが欲しくなるが、長くて、明るいというのは、高いし、重い。標準レンズセットでも1.5kg近くあるようなフィルムカメラをお散歩に持ち出しているので、重さはまあよいのだが、高いというのは致命的である(笑)。

代表的なのが300mm/F2.8というスペックだが(どこのメーカもある種のフラッグシップモデルとしてこのスペックのレンズの開発にしのぎを削っている)、アマチュアが買える限界くらいの価格とはいえ、そこまで鳥や飛行機に命を掛けているわけではない。

大体(飛行機は)フォーカス固定でよいのだからMFの古いレンズで、F5.6よりは明るく、できれば1kg以内で、できればできれば3万円くらいで欲しいところなのだ。

またこの頃、一眼もついに真面目にデジタルを導入してしまったので、焦点距離が1.5倍 (APS-Cサイズなのだ)になるし、ISO400でもフィルムよりはざらつきが少ないようだ。

そこでいろいろ探していると、今度はミラーレンズというのが目に付きだした(これも絞りはない)。これは望遠鏡と同じような原理なので、昔から存在を知ってはいたのだが、最近では新品で2~3万円くらいであるようなのだ。

もっとも500mmでF8とかいう明るさなので、焦点距離と明るさの比は180/2.8と同じくらいだ。ただしレンズはずんぐりむっくりで硝材も少ない(ミラーだから)ので軽く、焦点距離が3倍になったら重さは理論的には27倍くらいになるはずだが、180/2.8とさほど変わらない重さである。

これだー。デジなら夢の750mmだし。

と思ってネットでいろいろ調べてみていたのだが、どうにも評判が悪い。使いこなしている人は使いこなせているしそれなりの作例はあるのだが、やはり一般的にいって、画にはキレがないらしい(ボケの形についてはこの際論外としても)。さらに750mmでF8ということは、ISO100なら手持ちで1/750秒・F8を要求される。EVで15半だ。むちゃくちゃ晴天順光でもISO200まで上げなければ使えない。

やはり、フィールドスコープで一通り失敗しているので、いくら安いとはいえ同じような失敗はしたくない。やめた(笑)。

さらなる望遠レンズへ

やはりNikonのVR付きズームか、最新のAF単焦点レンズか。

などと思い悩んでいたら、まあまあの写りという評判の300/4.5などというのがオークションに出ていたので、結局衝動買いしてしまった。微妙にキレとか色収差などは180/2.8にかなうべくもないのだが、1/300秒・F4.5ならISO400でEV11、曇天でも何とかなる(実際はもう3段くらいなんとかなる)。綺麗に毛並みが写っている円らな瞳のカワセミの写真を撮ってきて鑑賞しつつ、やっぱり写真用レンズはいいなー、などと思ってしまった。

ところで実家に帰った際に、空港に行くといったら親父が80-200mm/F2.8通しなどというズームを出してきて貸してくれた (このときはデジで撮ったので120-300mm相当だ)。これまた神の写りをみせてくれたのだが、ズームも良いな、などと思ってしまった。スペックとしては180/2.8と同程度で、重さは倍以上あるようなのだが、何といっても田舎の空港で飛行機が思ったより寄ってきてああ、でかい、などといってズームを引けたのが便利だった。うーん望遠ズームもいいねえ。

などといっているからレンズの増殖が止まらないのだ。反省。

後日談: くそレンズとの出会い (2007. 9)

tariki移転記念。

この日記の後、NikonのVR 55-200などという軟弱なレンズを買ってしまった。ズームレンズであること、ネットで評判のとおりmade in Chinaの安っぽい外観、そしてVRなんていうものが付いている。軟弱だ。だが写りは値段の割に、いや値段をさておいてもなかなかだし、なんといってもVRって便利(笑)。

そもそもはD40などというものが発売された時点に話はさかのぼる。これのキットレンズが、17-50と55-200なのだ。軽くて安っぽくて、そして実際に安い。これに前後して(D40ではないが)デジタル一眼などというものを導入して、まあとりあえずいままで私が愛用していた(フィルムだから当然フルフォーマットの)マニュアルレンズはほとんど全部使えるとしても、せっかく撮像素子が狭いDXフォーマットならば、軽いレンズを一緒に購入しても良い (理論的にイメージサークルが2/3なら同じ焦点距離・明るさで重量は1/3程度になる)、と思った。

そこでまず普段使い域として選んだのが、18-50/2.8通しという便利なズームである。Nikonではなく互換メーカなので(数字でばればれか)高くないとはいえ、それなりの値段する。それに比べて上記レンズキットの55-200というレンズ、安い。思わず10本くださいといってしまいたくなるくらい安いのだ。

ちなみにこの2本のDXレンズのコンビはなかなかで、この後旅行用レンズとして人気となる17-200というNikonの安物系VRレンズはあまり欲しくならなかった。一本ですむのが便利なだけで標準域では暗いし、望遠での性能や写りはやはり55-200に劣る。私自身の用途ではこの2本を持ち歩いたほうがよい。

ということで写りには期待せず買ったVRつき望遠ズームだが、これはなかなかである。まずは換算300mmで手持ち撮影ができる。2段程度手ぶれ補正ができるVRがついているので、望遠域のF5.6もF2.8相当となりあまり気にならない。

解像度や色合い、諸収差についてもなかなかである。当初は『くそレンズ』というあだ名を付けて持ち歩いていたが(ダメダメな写真が撮れても落胆しないように自分で心に予防線を張っていた)、これが撮れる写真がなかなかなのだ。

なんといっても、軽くていつでもカメラバッグに忍ばせておけ、いざといときには三脚などなしに軽快に振り回せる、という利点がある。例えば京浜島や羽田空港に飛行機を撮りに行く、というときは、飛行機を撮りに行く態勢ができているので400/4.5を持ち出すのでも気にならない。しかし散歩がてら近所の池のカワセミを撮る、などという場合には焦点距離固定の明るくて重い望遠レンズなぞ、持ち出すのがおっくうである。

『くそレンズ』で撮った近所の池のカワセミの写真なぞ、カワセミが寄ってきたのをいいことに、300/2.8や400/2.8装着で動けないおじさんを横目に、にじりにじり寄っていってとんでもなく近くから撮れた。夕方で薄暗いのもVRでなんのその。

また、月を撮り比べてみたりして、条件によっては前述の神レンズ200/2.8や300/4.5より収差や解像度がよいことも確認した。世代が違うから安物でも性能はよいのだろう。ただし最終的にレンズの性能は目でみて美しくみえることであって、収差や解像度といった物理量ではない。そういう点では200/2.8の写りにはかなわない(……ほんとにそうなのか?)。

一度などこの『くそレンズ』を軽く落下させてしまってズームがおかしくなり、入院させてしまった。戻ってきたときには思わずスローモーションで走りよって回りながら抱き合ってしまった。うそだけど(笑)。

というくらい、最近は常用している。ただし高速で飛翔する被写体については、いくらVRが付いていても止められない。F5.6はF5.6である。私の用途では望遠レンズでは高速で飛翔する物体を止める必要が多いのだ、やっぱり。300/2.8 (最近のモデルはVRもついている)とか欲しいなぁ~。