Avi:fs:trackir

出典: Tariki

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TrackIR

このデバイスはすごい。頭を動かした向きを6軸で (X・Y・Z軸のシフト方向とFSまにあならピッチ・ロール・ヨーといえば分かる回転運動) 検知するのだ。

じつはうちの学科に同様の機器があるがこちらは磁気だかなんだかのセンサを搭載して、M (メガ)円クラスの機器である (ついでに用途はまったく異なるがTrackIR同様の原理のモーションキャプチャ装置もある)。もちろん精度とか検出範囲も広いが、ともあれ実用になるダウングレード装置が2桁安く手に入れられるのは驚きだ。MSフォースフィードバックジョイスティックが出てきたときの、研究とゲームの関係を思わせる。

原理と実装

センサ部分はディスプレイ上部に付けて使う、ある種のCCDカメラだ。赤外線と思われる投光用のLEDも内蔵している。私はディスプレイをエレクターの奥に押し込んでいるため、そのままだとセンサからさえぎられて頭が見えない角度であるが、ちょうどエレクターの手前部分のひさしの部分に針金で編まれた三角形の穴があり、まるでTrackIRを取り付けてください、といわんばかりのぴったりさ加減であったので、いっさいの固定はしていない。それをUSBでPCに接続する。

頭に取り付ける反射モジュールは、T字型の金属プレート打ち抜きの軽量なものである。受動動作なのでうっかり落としても大丈夫であるが、誤って踏んだら曲げそう。Tの字の三つの分岐の先には、比較的広い方向に反射がなされるように歪曲した板に横長のプリズムシール(自転車の後ろに貼るアレと同じである。光が来た向きに返すアレ)を貼ったものがそれぞれついている。上から頭に装着した状態を見るとちょうどT字形になる (視線というか前の向きがTの字の上部方向)。Tの字縦棒の部分は隆起するようになっている。したがって、前方から顔面をみると、Tの字の横棒部分の両端のプレートが低い位置に2枚、縦棒部分の先端のプレートが高い位置に1枚、合計3つの反射板で三角形を構成するようになっている。

実際に受講素子で捉えた映像をモニタすることもできるのだが、したがって顔が近づく(Y軸シフト)と三角形の大きさが大きくなる(各シールの面積も大きくなるがそれは情報検出に使っているかどうか分からない)し、三角形が上下(Z軸シフト)・左右(X軸シフト)するのもわかる。さらに首を傾げると三角形が傾く(ロール)し、うなづくと三角形が伸びアオると三角形が平たくなる(ピッチ)。正面を向いていると三角形は二等辺だが、左右の辺が短くなったら首が左右に振られているということである(ヨー)。

このモジュールは、キャップのつばに取り付けて使うことを想定しているようだが、私はFS用PCにはアンプは接続せずヘッドホンで音をモニタしているので、ちょうどヘッドホンのヘアバンド部分にT字の縦棒の部分を挟み込むようにすると(上部モジュールだけヘアバンドの後ろに来る)、なんらの固定器具なしに頭に装着できる。

ただし自分の感覚で頭頂部だと思ったところにこのモジュールをはさみこんでも実際は傾いでいることがある。実はTrackIRは、起動したところをゼロ点(正面)に構成してくれているようで(逆に起動後に正面・中央位置をリセットするやり方がわからない。まあTrackIRをshutdownして起動するのは簡単だからよいのだが)、センサに対し傾いた状態(とか近接しすぎとか左右にずれすぎとか)でゲームを始めても、別に不都合はない。だが、中央がずれているとそれだけ傾きとか上下左右とかに移動できる余裕が少なくなる。したがって起動手順は

  • (FSの起動は後でも先でも良い)
  • TrackIR(ソフト)を起動
  • 三角形をモニタして、モジュールの位置を直す
  • いったんTrackIRを終了→起動
  • FSに戻るとその位置が中央正面になっている

ということになる。

付属ソフトの出来

MSFS (2004およびX) で使う限り、何もいらない。インストーラでFS2004およびFSX用のドライバみたいなものを組み込んでくれるため、TrackIR (アプリケーションソフト)が後ろで走っていてセンサからの信号を6軸の操作に変換してくれたものを、FS用のドライバみたいなものが受けて、勝手にMSFSのバーチャルコックピットの視点を移動してくれる。

なお頭を振ったら便利かな的な3Dゲームの多くに対応しているようで、インストーラがインストールしてくれるドライバのほかに、検出した量をマッピング(修正)してアプリケーションに送ってくれる設定の中に、数多くの設定がある。

話が後先になるが、マッピングは頭の移動量に対応する処々の動きを定義するもので、TrackIRが検出した頭の生の角度・位置を各アプリケーションに送ってくれるわけではない(もちろんそれもできるが便利ではないということだ)。たとえば『flight』というモード(MSFSのデフォルト)では、ロール方向の動きは鈍くなっている(ある一線を超えるとちょっと視野が傾くだけだ)。これはうっかり没入して首を傾げてしまうと画面がロールして、水平線が分からなくなってしまうことを防ぐためと思われる(まあ計器との関係を落ち着いて眺めれば分かるのだが)。逆にヨー方向は大きく拡大されるので、例えば首を45度くらい(?)横に向けただけで、真後ろまで眺められる。

ほかには頭を振るとマウスカーソルを動かせるというおまけもあるみたいだが、これでお絵かきしてみたりとか遊んでみてはいない。

FSではどう使うのか

まず勘違いしてないでほしいのだが、これで仮想現実感が得られるわけではない。TrackIRを装着したからといって頭と一緒にディスプレイが動くわけではない。むしろ、頭を動かしても静止したディスプレイに頭の方向の風景が映し出されるので、眼から見たら現実と逆の動きになるだろう。だがこれは人間の適応力の凄さで、すぐに慣れる。つまり頭が向いている方向の映像が映し出されたディスプレイを横目・上目で見たような動作だ。なお本当にHMDとTrackIRを装着してゲームを楽しむ方法もあるようだ。だがHMDには解像度の問題もあるし(後述するように『近眼』状態なのだから近寄ってみれば計器の細かい部分は見える)、左右の眼に映し出される映像は同一(立体感がない)で眼のピント位置も変わらないのだから、そこまでする必要もないと思う(でもやってみたい(笑))。

たしかに前方、計器、横などを向くときに余計なボタン操作が必要ないのは快適である。セスナなどでは左に平行移動すれば、窓から首を出したように結構広い前方視界が得られる。着陸寸前にピッチが上がりすぎて計器板の後ろに滑走路が隠れても伸び上がれば窓から滑走路が見えるし、計器の細かい字が見えなければ寄ってみるだけだ。

また、どうしても『コックピット』モードではよく分からなかった、Gや遠心力が掛かった状態というのが、どうやら『仮想コックピット』では再現されているようなのだ、機がふわっと浮いたりとか、横に尻がずれるような映像が映し出される。

しかし、首を動かすとふらふら、という状態では、視線が定まらない。滑走路のある点を目指して降りる、などというときに視野が動いては邪魔なのである。実際の操縦の感覚とも違うだろう(実際の首は動かしたら動かした量・角度を無意識に自覚できるのだから)。具体的には、セスナなどの左が広く開いた機長席では、どうしても左寄りに着陸してしまう。広く開いているところに無意識に『誤った消失点』を設定して、そこに向かって降りようとするからかもしれない。

それから『仮想コックピット』の中でもマウスカーソルで無線の周波数などはいじれるが、このとき首を動かすとマウスがずれてしまうのも困る。もっとひどいのは(気をつけていればよいのだろうが)操縦桿をよいしょと倒すと首が動いてしまって、風景も妙な具合に動く、という動作である。

したがって、最近は(飽きてきたらともいう(笑))タキシング時など左右を確認するのが面倒なとき、水平飛行中など周りをのんびり見回したいときだけ『仮想コックピット』モードに切り替え、あとは従来どおり固定された前方だけをみている、というやり方になっている。

面白いし便利なデバイスだが、まだまだこれの視界だけで飛ぶ、というわけにはいかない。