Avi:fs:landing
出典: Tariki
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(初心者)降りられない君へ
休憩中にGoogle Earthで飛んでいたのをみて、N君がはまってしまった。まだフライトシミュレータを買うには至っていないが(いひ)、うまく降りられないという。考えてみたら自分にも上がれない曲がれない降りられない時代があったわけで(覚えていないが)、ここはひとつMSFSの教官風に、初心者に着陸を教えるとしたらどうしたらよいだろうか、と考えてみた。
でもFSってやっぱり便利だよね。難しさでいったら (着陸 > 離陸 >>> 飛ぶ) なわけで、FSなら空中から始めて空中で終わることもできるわけで。実機では離着陸ができないのに飛ぶというのはちょっとアレだ (いや、教官がやってくれるのか)。
曲がる
やあ、たりゃだよ。今日は飛行機で曲がってみようか(ってこのFSの教官文体で通したら死にそうなのでやめる)。
大学の授業で(確か制御だったと思う)、先生が授業中にしてくれた『飛行機の操縦は二次積分だ』というのをよく覚えている。つまり、車はハンドルを切ると切った量が時間で積分されて曲がる角度になる(一次積分)。対して飛行機は操縦桿を傾けた量が時間で積分されて機体がバンク(車でハンドルを切るのと同じ)して、バンクした量が時間で積分されて曲がる。まあ車のハンドルもゆっくり回してゆっくり戻すから回す・戻すときは二次積分量になるので、(ハンドル切った量×時間)で単純に曲がる角度が定まるわけではないが、飛行機の操縦桿もゆっくり回してゆっくり戻すからこりゃまた三次積分になって、一次元分操縦が難しいことに変わりはない(笑)。
余談だが、確かその授業だったと思うが『エレベータ(※ 飛行機のアレじゃなくて上り下りするアレ)の不快さは、加速度でなく加速度の微分値(加加速度)で決まる』というのも習った。左右旋回(車でもいい)のときに遠心力で尻が動いていく量も同じである。要するに加速度が一定していれば尻とシートの間のバネ定数を変えて突っ張ってられるから、それが変わる(尻がずれた量でなく尻がずれていく動き)のが不快なのだ。
微分・積分というと難しそうに感じるが、数式とか原理でなく、上のような理論を体感できない・体感したことを理屈で理解できないひとは操縦に向いていない (一段階簡単だが車の運転にも向いていない)。いやここは、FSの優しい教官なんだから突き放す教え方はいけない。
まずは機をバンクさせて一定の角度にする練習をしよう。曲がるときはバンク20度とか決めちゃうのである。速度によって旋回半径が違っちゃうし、ほんとうはラダーなんてのも連動させないといけない(FSでは嫌なら・ペダルを持っていなければ『ラダーを連動』にチェックボックスを付けておけばよい)。だけど毎回いい加減に旋回して足りなかったりオーバーシュートしたりするくらいなら、一定バンク角で速度に応じた旋回半径でも身につけたほうがましだ。右折・左折が一定角度でしかできない安物のラジコン自動車でも、結構いろいろな場所を走れる。
これができるようになったら、いろいろな速度でいろいろなバンク角で旋回半径がどう変わるか理解すればよい。それだって極論を言っちゃえば150ktと200ktでそれぞれ10度・20度バンクしてどのくらい旋回半径が変わるか理解していれば良い。だいたい、飛行機で90度も180度も旋回して、どこかの点を目指して一発で正確にある向きに合わせる、というのは、着陸前に限られる。速度は200kt以下150kt以上くらいのことが多い (速いと曲がりきれないし遅いとぐわっと傾けただけで失速するから)。細かいことは曲がり終わってから微調整すればよい。
安物のラジコン的な曲がり方を覚えたら、たとえば大き目の旋回半径で180度曲がり滑走路に合わせる場合、(1) 90度小さめに曲がっておき、また90度小さめに曲がる (2) 小さめに150度くらい曲がっておき、滑走路延長で30度くらい微調整する などというやり方もある。これで通用しないのは、180度曲がり終えたらあと1マイルで着陸、などという状況 (伊丹空港に北から進入するとか) だけだ。
- 目安として140ktで20度バンク。これでだいたい標準旋回(60秒で180度曲がる)になる。このときのカーブの直径は1.5nm。
あと上では操縦桿を曲げた量と時間で積分値が決まる、ように書いているが、実際は機の安定性でどんどん水平に戻っていく。だから一定のバンクで旋回するには、ちょっとだけ操縦桿を倒し続けないといけない。
それから一定のパワーのまま曲がると、機はどんどん沈んでいく。沈むのを抑えようと思って操縦桿を引くと(実際曲がるためには操縦桿を引く動作は必須に思える)、今度は速度が落ちるので、速度を上げる。すると機首が上がり、抑えるために操縦桿を押すと曲がる率が下がり……ときりがないのでこの辺の動作はやっぱり、いっぱい曲がって体で覚えることでしょう。
曲がりはじめと曲がり終わりも曲者。曲がり始めるときは、たとえ操縦桿を一瞬で目的の角度に倒しても(戦闘機ファイターなんてこういうアクションをするけど、不快だからゆっくり倒すようにね)、機は時間を掛けて曲がる (でも戦闘機では一瞬でロールしたりする)。その間の曲率はだんだん大きくなっていく。適当な曲率にもっていくのはよいが、戻すときはもっと問題だ。狙った方位角で戻しはじめると、戻すのにも時間が掛かるのだから行き過ぎてしまう。どのくらいのスピードで曲がっている(曲率)ときは目的の方位角の何度前で戻せばよいか (それも一瞬で戻さないならどのくらいの速度で操縦桿を目的の位置に倒していったらよいか) は、何度も曲がって研究するしかないね。
なお飛行機がロールする速度は戦闘機は速いと書いたが、30度以上のロールが必要ない民間機では、実は小型機でも大型機でもあまり(機体の大きさの比率ほどには)変わらないような気がする。大型機のロールが遅いのは、制限によるのだろう。大型機をロールさせるのには大きな力が要るが、これは(操縦の)人力ではなく(前進に伴う)風圧である。大型機はエルロンも大型なので風から受ける力も大きくなる。またエルロンが人力制御なら大きくなれば反力も大きいだろうが、最近の大型機はフライバイワイヤだし (操縦桿の動きはコンピュータが読み取り、電動でさらに油圧を動かす)。そういえば実際B77xをMSFSで動かすと (どのくらいモデリングが正確か知らないが)、あれっと思うくらい急にロールする。こんなときは後ろから乗客の悲鳴が聴こえる気がする。
滑走路にアラインする
一定の時間で一定の曲率で曲がれるようになったら、今度は滑走路に合わせる動作を練習する。滑走路にあわせるといっても滑走路の方位に合わせただけではダメだ。平行にずれている場合がある。まあそれって滑走路から離れているときは普通のことなので、平行移動をまた練習すればいいんだけど(ちなみに左に平行移動は、ご存知のとおり左に曲がって右に曲がればよいので、操縦桿の動作でいうと左→右→右→左となる。って書くと面倒そうだけど)。
滑走路に一発で合わせるコツは、(1) 斜めから突っ込んで (2) 滑走路延長線上で目的方位に合わせる ことである。と書くと簡単そうだが、(2)が難しい。まあ(1)の、滑走路延長線上のどこでもいいから斜めに突っ込む (コツはたとえば30度と決めておく) のは誰でもできるから、要は滑走路を視認して (ILSという計器もあるけどさ)、あ、いま延長線上にいるなあと感じることができればOKである。
なお、あ、いま延長線上だなあというのは次に述べる方法で実は簡単にわかるけど、実は『曲がる』の項で述べたように延長線上に来てから曲がるのでは遅い。しかし最初からあまり難しいことを言っても仕方ないので、行き過ぎたらまた戻し、戻しすぎたらまた行き過ぎ、という動作でもよかろう。『また戻す』ときには最初(30度とか)より少ない角度で戻せるし、『また行き過ぎ』のときには『戻す』ときより少ない角度で行き過ぎられるから(何のこっちゃ)、いつかはこの振動はおさまる。といっているうちに空港を行き過ぎるのだが (本当は曲がる練習をいっぱいしていれば延長線にあわせるように曲がれるはずなんだけど)。
滑走路の延長線上にいるかどうか判断するコツは2つあるが、どちらも画 (絵画) 的な判断で行なう。
まずひとつめは遠近法を利用するのだ。滑走路延長線上に自分がいる場合、自分から放射される線と滑走路が一致する。これは画面の画角がどうであっても (広角でも望遠でも) 変わらない。画角というのはいかにもフライトシミュレータ的である。三次元の現実を二次元の画面上にマッピングしているからこのようなカメラのレンズ的な広角・望遠という発想が生まれてくるのだが、実機乗りの方でも窓の一点(正面)に仮想消失点 (自機が向かう点) を設定したり、衝突判定を行なうとき『窓の一点に相手が張り付いているようにみえるときいずれ衝突する』といったりするので、やはり二次元で風景を捉えることはやっているのだろう (というか何十キロ先まで見るのに人間の目の間隔10数cmではほとんど立体視できていない)。
自分が高さ0にいて水平を向いているときは、自分から放射される線は画面中央下から放射されると仮定してよいが(このときはそもそも遠くの滑走路など見えるわけがないのだが)、高さがあるため実は自分から地面に垂直に降ろした点から放射されている線を仮定する。
ちなみに自分がいる地上の点を過去に眼下に流れ去った風景から判断するというのは、地測航法、つまり地形をみて判断して飛ぶ上では結構重要である。コックピットを消してハットスイッチで下を向くと真下をみることができるが、通常は画面中央下に風景 (目印)が消え去ったあと何秒くらいたって通過した、と判断するか、ということである。これはGPS (水陸の地形や空港・VORなど) なりトップダウンのウィンドウなりを表示させておけばすぐつかめるだろう。厳密には画面中央下から自分が立っている位置までの距離は、画面の画角と高度と、あとピッチ角(上向いているか下向いているか)によって決まる。
と厳密なことをいっておきながらなんだが、実は着陸前に自分の真下から放射される線上に滑走路があるか判断する場合は、画面中央下あたりから放射されているかどうかをおおざっぱに判断すればよい(笑)。理由はいくつかあって、着陸寸前はそれほど高度が高くなくピッチ角も下向きであることが大きい。したがって画面中央下と自分から鉛直に下ろした点はそれほど違っていないことになる。
他にも、画面中央下(機のいる空中)から画面上の地上各点に放射した線と、自分から鉛直に下ろした点(地上)から地上各点に引いた放射線とのずれは、中央から外れる(画面端にいく)ほどひどくなる。画面中央を垂直に切る線ではこのずれは0である。ってかずれが0だったら画面中央に滑走路があるわけでこの項は不要なのだが(笑)。実際に滑走路は画面中央からそれほどずれていない位置から合わせることになる。30度も左か右にあったら(距離によるが)、画面に入っているかすら疑わしい。
また、上で述べた『定められた点で曲がり終える』動作ができていれば邪道だということになるが、画面にある範囲はこれから行く点である。したがって画面中央下を自分から鉛直に下ろした点とみなして、そこに滑走路延長がきたからそれっと曲がり始めると、曲がり終えたころにはほんとうにその点が自分の真下くらいに来ているから、これまたずれを打ち消す要因に働く。
話が長くなったが、滑走路延長上に自分が来ているか判断するもうひとつの要因は、滑走路がみえたらそれを無限にこっち側に延長して考えることである。滑走路がこちら側に無限に長ければ、アラインは容易である。滑走路の延長に妄想の滑走路を描いてみることである。
そうするとあら不思議、妄想の滑走路延長が実際見えたりするのだが(笑)、これは別に不思議なことではない。滑走路(空港)の造りというのはその地域の地勢に実はあっていたりする。海岸線・川沿いとか尾根の上だったらその海岸や川・尾根そのものがみえるし、それに沿った鉄道や道路もそれらに沿っているから自然と滑走路と同じ方向を向く。逆に空港ができて後から道路・鉄道が引かれた場合も、空港近辺は空港になびく向きにそれらが作られるから、実は滑走路と同じ方向を向いていたりする (ほんとかー?)。
この方法は地形がいい加減なMSFS (フォトシーナリが入っていればよいが)ではあまり使えず、Google Earthなどは実際の風景なので非常に効果的である。
アラインのよい訓練方法は、逆に地上の長い直線状の構造物を滑走路にみたてて (下降することなく)上をフライバイしながら合わせる練習である。高速道路などは真っ直ぐでなく曲がりくねっているが、それなら道路に置いていかれないように正確なトレースをするのである。Google Earthなどはどこにでも着陸できるので、高速道路にでも降りてみると良い。
降りる
滑走路にアラインする動作ができても着陸にはならない。高度を下げないと地面にたどりつかないからだ(笑)。アラインと高度を下げる、あと後述の速度を落とす3動作を一緒にやらないといけないから着陸は初心者にとって難しいのかもしれない。
初心者は降りる動作をするとき、操縦桿を押す。だがこれは正しくない。二つの意味で正しくない。
まず、操縦桿を継続して押すような動作をしなければならないようなら、トリムを使うべきだ。人間、押す動作を継続しているとやはりかかる力が変わってくる。したがって押す力がゼロになるようにトリムを合わせて、あとは微細な押し引きで調整したほうが良い。
と思っていたら、実機では着陸寸前にはトリムを離陸位置(?)に合わせるそうだ(? ほんとか)。これは着陸後にうっかり浮き上がったりするのを防ぎ、あとはゴーアラウンド(g/a)を容易にするためらしいけど、うーんどっちがよいのだろう。私もうっかり浮き上がったのを抑えて前脚を折った経験があるので納得はできるのだが、着陸寸前のいちばん降下速度のぶれがあってはいけないところで継続して力を加えるのも合理的でない気がする。
もうひとつは、後述の速度と関係があるが、高度を落としたければスロットルを引くのが正しい。操縦桿を押す動作は一時的な微調整であって、これで降下率を上げても速度がついてしまって結局は浮き上がる。
したがって、水平飛行しているときと同様、見えないグライドパスという下り坂があって、それに合わせて一定速度で降りるように早めに(3000ftくらいから)推力と機首ピッチを合わせる、というのが降下操作である。
具体的にいうと、FSの場合滑走路の降りたい位置が画面のある一点(どこでもよい)に固定されているようにすればよい。上にちょっとおまけ的に書いたが、画面上で固定されているようみえるものとは(自分が動いていようと相手が動いていようと)いずれ衝突する。したがって画面上に滑走路の最初の縦じまが張り付いてみえる状態をキープすれば、確実に降り(落ち)られる。ただしそのため操縦桿をぐわんぐわん振ってはダメだ。操縦桿がある角度でこの状態になったらしめたものである(風向きが途中で変わったら対応しないといけないけど)。
ただし操縦桿は不動、滑走路端も同じ位置でぐんぐん迫ってきたとしても、加速(止まれなくなる)ないしは減速(そのうち失速する)しているようでは、パワーが不適切である。パワーをいじってスピードメーターの針も止まっている状態(できればジェットで130ktちょっと・プロペラでその半分)で、操縦桿が不動・滑走路端が不動、という状態を狙う。
これに加えて、FSではPAPIが表示されている(PAPIの読み方は他をあたってね)。PAPIが白っぽければグライドパスを急にして、赤っぽければなだらかにする。この調整は滑らかに行なう。決して操縦桿を押し引きしたり、推力を急増減させて辻褄あわせをしようとしてはいけない(実際、操縦法では操縦桿は押し引きをするものではなく『掛ける圧力を変える』ものらしい。って同じことを言っているのだけど)。オーバーシュート = 過操作して、行き過ぎて逆の操作をする、ということの繰り返しになる。
ちなみにPAPIがないときはどうするか。PAPIがない空港というのは現実にはあまりないと思うが (特に日本では)、Google Earthでは航空写真を斜めに見た『画像』が表示されているだけなので、PAPIなどという便利なものはない(笑)。このときは、『台形の形』を合わせるのである。
空港の滑走路は結構な幅があり、着陸寸前のやや上から見下ろす(理想は3度)場合には、台形にみえる。この台形が細長ければ降下率を上げ、平べったければ降下率を下げる。台形の理想的な形はFSなどでオートパイロットさせて(ILSに乗って)覚えてもよいし、日系航空会社では着陸前に前方風景のサービスをしてくれるので、おお、これが理想の台形かー、と感心しつつ鑑賞してもよい。
なお滑走路の長さと幅は空港によって異なるから、これは目安でしかない (図は羽田空港34Lの場合)。だが滑走路の幅がない空港は大抵短いし、流れる風景と近づいていくときの台形の変形具合によって、やはり高すぎるか低すぎるかは分かるようになる (と思う。実際Google Earthで初めてでも降りられるから)。
ちなみにこの台形を認識するというのは便利なもので、話題はいっこ前に戻るのだが、滑走路にアラインするのがいい加減でも降りられるか、g/aしなければならないかの判断もできる。なんのこっちゃ。
つまり、前項では滑走路というのは『線』であり、滑走路延長に乗るというのは滑走路中心線(台形の中心を上下に貫く線)に進行方向を合わせましょう、というように書いた。実際にそれは理想であるが、滑走路には幅がある。それもただならぬ幅がある。しょぼい田舎の地方空港などは狭いが、たとえば羽田空港は滑走路の幅だけで60mもあるのである。小学校の体育だったら横向きに短距離走できてしまうくらいの幅があるのである。
ということは、滑走路を斜め横切る向きにアラインしても、右半分とか左半分によいしょと降りてもまあ、あとは地上走行でなんとかはみださないようになるかな、ということもアリなのである。実際のパイロット(特に旅客を乗せているプロ)がなぜそんなことをしないかというと、やはり着陸後に何があるか分からない。たとえば右タイヤのブレーキに哀れなすずめがはさまって右にそれだしたところで突然なぞの靄が発生し、目を凝らして前方をみていると今度は目にごみが入る、とか(笑)。10秒くらい外を見なかったとしても一番滑走路からはみ出す確率が小さい(笑)ところはどこかというと、つまり滑走路中心線上を滑走路方向に降りることを選ぶのである。
だが我々はプロではないし、フライトシミュレータは飛行機ではない。したがって、着陸直前の台形の形は理想でなくてもよい。台形の形を理想順に述べると
- 画面中央を上下に貫く線上に(以下略)対称な台形がある。自分は滑走路中心線上を滑走路の方向に向かっている。
- 画面中央に台形の手前角から対角に向かう線がある。左右どちらかに逸れてもまあまあ安全、逸れなければ着陸後に修正することなく滑走路の有効長さを使える。
- 画面中央に左に長い不等辺台形の右辺付近がある。左には逸れ放題だが右に逸れると芝生が待っている (あるいはその左右逆)。
- 画面中央に左に長い不等辺台形の左辺付近がある。あるいは画面中央線を台形のこっち側一部しか貫いていない。着陸したら急いで前輪をつけ、右に修正操作をしないと芝生とこんにちは (あるいはその左右逆)。
- 画面中央を貫く線上に台形が一切ない。滑走路とは一瞬も出会わないのでg/a確定。
ということになる。
ちなみに上記は、これから接地まで修正操作を一切しなければどうなるかを知るということであって、修正操作をする余裕があれば実は5.→2.の順に性質がよい。5.は右に軽くひねるだけで1.の状態になるのに対して、4.、3.、2.と左にひねってさらに右にひねらないといけない量が増える。
速度を落とす
本当は速度なんて落とさなくても降りられる(笑)。地面と車輪の抵抗というのはそれはそれはもうすごくて、180knotで着陸したとしても飛行機が十分小さくて、滑走路が羽田くらいに長ければ、そのうち止まるだろう(笑)。だけどジャンボで新島空港に降りてみるとかいうチャレンジングなことをするなら、自分の機の着陸速度 (失速速度をちょっと上回るくらい。ニーボードを見てくれたまへ) は知っておいたほうがよく、できればそこまで速度を落としてから着陸したほうが良い。
ちなみに止まるまでの距離は着地寸前の速度の2乗に比例するから、上記の180knotというのがジェット機の通常の着陸速度130knot・セスナ等のプロペラ小型機の65knotのそれぞれ1.4倍、2.8倍だからといって、なめてはいけない。それぞれ2倍・8倍の長さの停止距離が必要になる。
それから垂直降下速度 (一分間に何ft降りるか) のメータは水平に飛行する速度に関わらず『落ちていく速度』を示すことになるのでこちらは脚にかかるダメージに比例する。だがたいてい着陸前は垂直降下速度計でなくPAPI (またはILSのグライドスロープ) が示す降下角が一定になるように調整するから、垂直降下率を調整していることになる。同じ降下率なら水平速度が速いということは垂直速度も速く、それだけ脚にかかるダメージは大きくなるということになる。これをわかっていて速い着陸のときは降下率を下げればよいのだが(ますます滑走距離は長くなるが)、PAPIだけ見ていると脚を折っちゃうのでこれまた注意。
速度の落とし方の要点は、すでに上で述べた。つまり、エレベータで機首だけ下げても速度が上がる。それを防ぐために推力を落として機首をやや上げ戻す……という過程で、同時に速度もコントロールしているではないか。繰り返すが、早め早めにグライドパスに乗っける、このとき速度も早め早めに落としておけばよい。
他に何回か着陸を練習していると、理想の3度降下に乗っているときにその機のエンジン推力(プロペラ機なら回転数、ジェット機ならN1)に対する速度が分かるようになってくる (MSFSなら『インスタントリプレイ』して必ず記録をとっておく)。たとえば私の愛機Learjetなら、ILSやPAPIに乗っているときは48% N1で135ktになる。よほど例外的な着陸(降下率を下げてのーっと着陸するとか、急降下するとき)はこの値でなくなるが(それでもこの値から上下させる目安になる)、通常の着陸ならN1をセットしておいてあとはILSなりPAPIに集中すればよいので、あまりスロットルを触る必要がなくなる。
なお出力と速度の関係は、追い風や向かい風があっても同じだ。速度計に表示される速度は対気速度 (IAS) なのだから、同じ出力なら追い風があれば対地速度は速くなるが対気速度は変わらない。着陸速度を一定に保つのが大事なのは、『失速までマージンがあるけどぎりぎり遅い速度を保つ』ことなのだから、失速が対気速度によって決定される以上、対地速度は無視して対気速度一定に集中すればよいのだ。ただし
- 上に書いたように、対地速度が速くなるということは停止までの距離がそれだけ延びる (脚に掛かるダメージは降下速度が一定なら変わらない)
- PAPIの見え方を保ったりILSグライドスロープに乗るということは、対地の降下率を保つということなので、対気速度が一定なら追い風のときそれだけ降下速度は速くなる(既出)
- 高地の空港に降りるときは、空気が薄いのでややN1を大きくしないといけない。これはエンジンの効率低下によるものだろう(?)。空気が薄いときは対気速度は対地速度よりかなり速くなるが、失速のことだけを考えれば(失速は対気速度で起きる)同じ着陸速度で構わない。ただしそれだけ対地速度は速いということなので、追い風と同じように脚へのダメージを考え強めのフレアをかけるか浅めの降下角で着陸する
着陸前は失速速度寸前なので、いろんなケースで失速しないように普段より気を使う。一番失速しがちなのが、着陸寸前にフレアを掛けるとき。というかフレアは高さ0で失速させるのが理想なんだけど、早すぎるとやや上から滑走路に墜落、となる。あとは着陸寸前に軌道を修正しようとしてバンクとか、PAPIが赤いのであせって機首を上げ(推力を上げずに)、なんてときに失速しそうになる。風景とメータは巡回スキャンが原則だが、着陸前はこと速度計のスキャン頻度を上げてやるとよい。
フレアをかける
着陸とは計画された墜落である。というのは、上記のグライドスロープのことをよく表わしていると思う。だが、旅客機に乗っていて着陸寸前にグライドスロープの750ft/min (ジェットの場合。おおむね130ktくらいとして) で降りた人はあまりいないと思う。秒15ft、着陸の1秒前に4.5mの高さにいたのに次の瞬間には地面に降りている速度だ (別ページで述べるが、これは4.5mの高さから飛び降りる衝撃ではない。それより全然少ない)。
空港で飛行機を見ていれば分かるが、着陸寸前には機首を上げて「ふわっ」とする。これがフレア操作だ。いっとくがフレア操作は高さ0で失速させる操作だ。できなきゃやらなくてもよい。失敗して3m (10ft) 上空で失速したら、こりゃ脚折るかも知れぬ。おそらく750ft/minのまま降りても、尻は痛くなり乗客(妄想上の)からクレームは殺到するだろうが、脚は折れない(と思う)。まあ胴体をこすって非常脱出スライダーで脱出し(妄想)、100億円は全損になる(妄想)かもしれないが、少なくとも死にはしない。THの発音練習でもしていたら舌噛んで死ぬかもしれないが。ましてセスナなど小型プロペラ機(65ktで着陸するとして)では350ft/min程度だ。
フレアの原理をおおざっぱにいうと、750ft/min (以下プロペラ機は略。半分にしてね) の傾きが地面に突き刺さる寸前をよいしょと持ち上げて地面への接線に限りなく近づけてやる操作である。このためにはパワーを上げ……とかやっていると時間が掛かるので、上でやるなといった機首を上げる操作を行なう。そうすると機は失速する。失速したら落ちるが、落ちたところで滑走路から0ftの高さになっていればそれ以上落ちることはないので安心であり、なおかつ速度も落ちているので早く止まれる。
ではどうやったらこの「ふわっ」ができるのか。まあきちんと右目で外の景色をみて左目で高度計を凝視していればできるのだが、FSまにあの大きな味方はGPWSである。GPWSはフリーのアドオンとして出ているので、インストールは適当にぐぐってやってくれ (結構難しいひとには難しいみたいだが)。ちなみに実際にはGPWSなど付くわけのない(?)セスナC172とかグライダーとかでもGPWSが付くのでFSは便利である。
GPWSとは、ほんとは副操縦士が行なうべき、高度(電波高度計で測定したいま地面までどのくらいの)の読み上げとか「うわー機長地面です、あったま上げてください」とか「そんなにバンクしたら不快ですぅ~」とかいう文句いや警告を、比較的冷静かつ無礼講に垂れてくれる (これは心理学的にプレッシャーを与えないように設計されているのだと思う) バーチャル外人ボーカロイドである。嫁がいたら嫁にやらせてもよいだろうが、嫁はだいたいFSに非協力的である。また実機では上に書いたように、高度の読み上げ中に舌を噛んで死んじゃった副操縦士がいたので機械に置き換えられた (うそである)。
GPWSの高度読み上げをもとにフレアをするとすると、以下のようになる。
- 大型機 (B73x以上くらい) では、「50」といわれたらするするーっとパワーを落とし (だいたい「0」でミニマムになるかどうかくらい)、同時にんぐんぐーっと(水平線が画面1/6くらい? 下がるくらい)操縦桿を引く(結構引く)
- 小型機 (ガルフストリーム以下くらい) では、「20」でそっと操縦桿を引き「10」の読み上げテンポが遅くなったことを確認して、「10」でんむむーっとしかしゆっくりとわずかに操縦桿を引きつつパワーはあまり絞らなくてよい(そのままいつまでも絞り忘れているとブレーキ利かないので注意)
- この中間のアイランダーなどでは、私はフレアがへたくそなのできかないでくれ(泣)。
大型機慣れしちゃうと小型機ではぶわっと浮いてゴーアラウンドしちゃうし、小型機のつもりで大型機のフレアを掛けようとすると、『あと1段階段があるつもりで踏み出したら地面だった』みたいな痛さがある (やっぱり脚折るほどではない)。なお経験的にはB74xとA380では操縦席視界が高くなるので(GPWSきいてれば問題ないが) 視覚だけに頼ってるとやっぱり地面が痛い。あとそれからB773とかにGPWSを装備すると、「10」とかいっている矢先にタイヤがこすったりしているようである (知ってれば実害はないけど)。
それからフレアはしなくていいオプションだといったが、やんごとなき事情があって短距離で止まりたい (速度は失速+5くらいまで落とす) なんてときは、わざとフレアを端折ってどすんと落としたほうが停止距離は短くなる場合がある (理由は自分で考えてね)。まあそれでも骨折胴着非常脱出全損が怖くて500ft/min以上にはできないけど。旅客機に乗っていてどすんと落ちたとき評論家ぶって「へったくそだなー」とか呟くおっさんがいるが (なら自分でやってみ)、一概に下手だからどすんではないのである。滑走路が滑りやすいとか追い風だとか間違って新島空港に降りちゃったとか、いろいろ大人の事情がある。
自動着陸を使ってみる
現代の空港と航空機では、然るべき設備があれば自動着陸ができてしまう。じゃあパイロットは何でいるのか、というような議論は別のページで行うが、ともかくこれは旅客・貨物を安全に運ぶ運輸目的の場合である。実機の旅客機の世界ではPは飛行を楽しむために操縦しているのではない(……と信じたい)。趣味のFSで自動着陸をしても面白くもなんともない。まあFSでも飛行そのものを楽しむほかに安全・快適な空のたび(R)を楽しむという楽しみ方はアリだとは思うが。
とはいえ自動操縦・自動着陸は(実際の航空機の自動操縦装置を模しているのだが)模範的なパイロットである。したがって、ある程度手動着陸を繰り返してみて自分の着陸に嫌気がさしたら、自動着陸の模範演技をみてもよいかもしれない。
まず、自動操縦装置の操作方法は、FSのヘルプ・チュートリアルとか然るべき他の解説ページをみてくれたまえ(手抜き)。おおざっぱにいうと、NAV1をILSの周波数・CRSに滑走路方位を合わせ(これはマップで空港から伸びている緑の尻尾をクリックしてみると簡単である)、APをオンにして(必要なら速度を設定してIASモードにしてオートスロットルもオンにして)滑走路10マイルに3000ft・30度くらいからAPRをオンにして入る。グライドスロープをキャプチャしたら自動的に降下開始し(ALTモードにしてあったらALTが切れる。切れなかったら失敗。オートスロットルONならスロットルは絞られる)、ローカライザをキャプチャしたら自動的にCRS方位に曲がる(HDGモードにしてあったらHDGが切れる。切れなかったら失敗)。なおCRSの設定は手動操縦に引き継いだ後計器をみてまごつかないようにとか、そういう人間向け配慮であって、ILS自体はCRS方位がわかっていなくても正しく働く。ギアダウンと適切な速度設定・それに伴うフラップ出し、滑走路が近づいたらAPを切って(さらに進入角度・降下角を合わせ)、滑走路ぎりぎりでフレアを掛け、非常事態があったらゴーアラウンドして操縦を引き継ぐ、というのが人間の作業ということになる。
さらにFS2004では、然るべき空港(現実にCAT IIIcとかいう超精密なILSが設置してある空港・滑走路である)に然るべき機体(実機で自動着陸できる機体だと思われる)で降りると、最後にフレアをかけてくれるところまで自動で着陸する。グライドスロープに乗る・フレアをかける上で模範演技となりそうな着陸である。
自動着陸できない空港ではどうするか。まず、ILS計器(ローカライザ・グライドスロープ)をみながら手動でアプローチ・着陸する方法。これは実機の操縦でも行なうことである(ようだ)。まあ飛ばす機にILS計器が付いていなければできないことだし、視界が悪い中をILSのみでアプローチすることは計器飛行の免許がなければやってはいけない。ILS計器が付いていても表示だけで操縦桿やスロットルを操作(つまり自動操縦)してくれない機というのもふつーにある。だが計器飛行免許がなくてもILS設備が目的滑走路にあって機に計器が備わっていればそれを参考にしながら安全に着陸したほうがよいに決まっているし、別に視界が悪くなくてもPAPIがみえないくらい遠くから上下のずれ・滑走路の延長にあっているかどうかも、確認しつつ修正しながら接近できる。だから可能な限りILSは使いましょう、ということだ。FSの場合、機に装備がなければ勝手に付け加えることができるので(笑)、空港に設備があれば使いましょう。まあ実はこれも空港を勝手に改造したりできるのだが(爆笑)。FS付属の機体でライトフライヤー(世界最初の、ほとんど紙と竹だけみたいな飛行機)でも無線・計器が使えるのには笑った。
途中までAPで接近し、着陸寸前にAPを解除して着陸する場合は、AP解除のタイミングが問題だ。CAT IIIc ILSを装備していない大半の空港、自動着陸ができない機体では、どこかのタイミングでAPを切らない限り着陸寸前にゴーアラウンドしてしまうので(グライドスロープの角度でぐしゃっと突っ込む、とはならない)AP解除は必須である。以下は実機のことは知らないのでFSでどうか、という視点で書いているので、誤解なきように (誤解しねーよ)。
結論から言うと、オートスロットル解除はグライドスロープに乗ってすぐ2000ftくらいで、AP解除はグライドスロープに乗って十分安定し、1000~500ftくらいが適切だと思う。
まずファイナルターン(グライドスロープをキャプチャする)前だと、自動操縦の場合APがグライドスロープ・ローカライザに乗せてくれるメリットを享受できないから論外。また旋回してすぐではAP・オートスロットルといえども多少ふらついている (特にFSXのAPはAPPでの左右旋回が遅いので必ずオーバーシュートする)。風の性質も高度を落とすとだんだん変わってくる。
かといって着陸寸前にAP・オートスロットルを解除するのも問題である。これはAP・オートスロットルが導いてくれたパス(左右・上下)からぶれないので非常によさそうに思えるが、実はよくない。理由は、フライトシミュレータにおけるオートと手動の操縦の連続性である。つまり、AP・オートスロットルを解除したとたんに、AP・オートスロットルが設定した値から、コントローラが示す値にがくんと飛んでしまうのではよくないということである。こうなるかどうかは、オートパイロット・オートスロットルのしくみ (ゲームの) を理解しておく必要がある。
まずオートパイロットは、FSでは(実機でもそうだと思う)エレベータ・エルロントリムを操作して行なわれている(APオンのときにエレベータトリムの矢印が上下しているのを見るのは一生懸命機械という感じで楽しい)。したがって、APはどの時点で解除しても操縦桿の操作角にがくんと飛んでしまうことはない。ただしエレベータトリムがあまりにも不適切な値になっていると、ゴーアラウンドの必要性があるときにうまくいかなかったり、機体が浮き上がるおそれがあるので、ある程度調整は必要な場合もある。
オートスロットルのほうがゲームのコントローラでは問題だ。実機でもボーイングのオートスロットルは、スロットルを透明人間が動かすようにして行なわれている。スチューダの卓のオートフェーダー(さいきんはYAMAHAもそうだ)と同じだ(意味不明だ)。つまりスロットルにモーターが内蔵されていてモーターがスロットルを動かし、スロットルが燃料の流量を制御する(といってもフライバイワイアの場合はこれまたセンサに直結している)。なおエアバスのオートスロットルは違うらしい?ので、ここでの問題と同じことが起きるのかもしれない。対してゲームのコントローラは、オートスロットル量に応じて動かない(高い製品はしらない)。さすがに解除した直後はコントローラの値に飛んだりはしないが、動かした瞬間にその量にジャンプする(スチューダ以外の卓のオートフェーダーと同じだ)。
したがって、オートスロットルで連続性を確保するには、解除直前の推力を覚えておく必要がある。N1をみて覚えて、解除したら大急ぎでN1がなるべく変わらないようにスロットルをいじるのだ(従って○倍速で飛んでいるときAT関係のオン・オフはしてはいけない)。
なおこのときの(解除直前のN1の)値は、無風で理想の降下角に乗っているときのその機のそのスピードでの理想のN1だといえる。完全手動着陸の場合でも、10マイル3000ftからそのN1に合わせれば理想の降下角が得られるというわけだ。もちろん高すぎる・低すぎるところからのアプローチや高地の空港での着陸では増減しないといけないが、その場合でも基準になるだろう。
そのほか、操作する人間側の心理的な連続性も問題だ。プロはそんなことないのだと思うが、オートパイロットでしばらく飛んだ後でオートパイロット・オートスロットルをいきなりオフにして、「ぷわー」←AP解除警告音 とかいわれて操縦桿を渡されても、「え? お、俺?」という感じでどぎまぎしてしまう。そこから徐々に操縦桿を動かしてまたずれた量を修正する、という気持ちになるまで、1000ft(約130ktなら750ft/min降下で滑走路まで1分20秒ある)~500ft(同40秒)というのは適切ではないかと思うのだ。
また、いっぺんにオートスロットルとAPを解除するのもあまりよろしくない。オートスロットルは上記のように連続性を確保するのに多少手間を要する。進入速度もふつーに着陸していて速め→適速に徐々に落としていくものだろうし、やや値の増減があっても勘弁してもらえる。だから早めに解除して先に安定(および減速)させておくのだ。それが終わってからAP解除である。
滑走路はまだある
この項は決して初心者向けだけとはいえなくて、というかFS歴10年にして私が実機の着陸を見て考えちゃったことである。美しい着陸だけが着陸なのか、ということである。もちろん実機を飛ばす方は以下を鵜呑みにしてもらっちゃ困るが。ってシミュレータまにあのチラ裏を真に受けてどっすんとか落とす実機パイロットがいるとも思えないが、一応断っておく (シミュレータ用のチャートには『実際の飛行に使うな』と書いてあり、スターバックスのカップには『熱いです』と書いてある、世間がゆとりなご時世なので、一応)。
パイロットの名言に『後ろにある滑走路ほど役に立たないものはない』というのがある。これはFSをやっていても実感する。滑走路を20ftくらいオーバーランしてしまったとき(停止後に視点を機外にして反省するのだ)、接地点が20ft手前だったら。時間にすればわずか99ミリ秒(0.1秒)の差だ(Googleで『20ft/120knot』、ああ何て楽)。離陸時に緊急停止する余裕だったら、もっと1mが貴重なはずである。
しかしFSはシミュレータである (落馬は馬からするものだし画像はイメージだ(笑))。命にかかわるものではなし、自分以外の乗員も乗っていない(という設定というか妄想)なら、多少『美しくない』着陸でも着陸は着陸ということもある。何を言いたいかというと、滑走路末端で正確に滑走路中心にアラインされていて、50ftの高さで失速速度+10ktで入ったらそりゃ気持ちいいけどさ、そればっかりが着陸じゃないだろう、ということである。
これを思ったのは、2008年の航空自衛隊静浜基地でのピッツ (民間) のアクロデモが終わったあとである。なんでも会場アナウンスによるとピッツは計器盤が邪魔で着陸時に前が見えないらしい (なるほど後でFS2004でみたらそうだった。まあ計器盤はシミュレータではマウスでつまんでどこにでもやれるのだが)。斜めになりながら (♪かーぜもないのに ラダーでクラブして) 滑走路方位に合わせ、あれよあれよというまに滑走路始端を過ぎ去ってから機体を正対、あとゆっくり(多分滑走路両端を見ながらのコントロールだろう)高度を落として、滑走路を2/3も使ってからゆったり降りてブレーキング、エンドで見事に停止したのである。ピッツは正面が見えないほかあと (FSで試してこれも分かった)、メインギアより補助ギアが後ろにある。というかギアというよりお尻に三角形のそりみたいなのがついていて、離陸時は尾部が浮き上がるのでメインギアのみの二輪走行 (というか横から見ると一輪車で走行しているような)状態で、おそらくあまりタキシーウェイより手前に滑走路に着いてもお尻のそり (と燃料) が減るだけでうれしくないのかな、とも思った。
このはなしはピッツという特殊な構造の飛行機に関してであり、FSで多くの人が飛ばすような、前方視界もあり、あろうことかILSまで使えて、滑走路始端ではアラインしていないほうがおかしい、という話と同列に語れないことは私もわかっている。だが要するに、止まれることが分かっているならいくらでも滑走路の後ろのほうを使って、その分正確にアラインすることや速度を落とすこと、安全に高度を落とすことに使いましょう、という提案である。もちろん燃料満載のB744で八丈島に降りるとか (※ うまくやれば止まれる。たぶん戻れないだろうけど(笑)) そういうひとは無視してくれたまえ。
着陸寸前の速度が130ktだとして、羽田の長いほうの滑走路(3000m)を飛び去るのにいったい何秒あるか。なかなか初心者のうちで高度を落とすことに慣れないうちは、あれよあれよというまに滑走路の終わりに来てg/a (ってかその前にg/a決断しろよ)、という覚えがあるが、このあれよあれよは実は45秒もある (Googleで『3000m/130kt』)。まあ止まるのが短距離なのが自慢の私の愛機リアジェットでも500mくらいは停止のために必要であるが(リバーサなし、オートスポイラあり)、最初の37秒はムダにしても、いや有効に使ったほうがよいのである。旅客機だって小型なら1000mあれば止まれるだろう (最初の30秒はムダに、いや有効活用できる)。セスナC170とかなら半分くらいの速度で進入するだろうから、この2倍ちょっとの時間的余裕がある。速度半分なら停止距離は1/4だ。いや130ktで進入したって2500mもあったら65ktまで落とせるだろう(?)。
もちろん空港は3000mあるところのほうが少ないし、なにより30秒あるからといってもできる修正操作は限られている。たとえば100ft切ったら10度バンクするのもひやひやだろうし、失速寸前で速度を変えずに落とさず浮き上がらず (グライドスロープを水平にしてるわけだ) 30秒100ftをキープできる腕があるなら、そもそも滑走路に入る前にアラインしてますって(笑)。
だけど滑走路始端がみるみる後ろに過ぎ去ったからといって操縦桿を前に倒してどしんと落とすこともないのである。そんだけの話。
ところで最初のピッツのネタを書いていて思い出したのだが、自分が乗った台湾国内線でのはなし。台湾のリゾートアイランド・緑島に台東からいったとき (RCFN-RCGI) のわずか5分くらいのフライトであった。機はドルニエだったと思う (いまWikipediaで確認したら徳安航空 のDo228らしい)。緑島空港は八丈島に負けずとも劣らない(負けるけど)1500m級の滑走路だった。もちろん機は安定してアラインし、余裕を残して停止……するはずが、するすると滑走路エンドまで走っていく。滑走路エンドのあっちは断崖絶壁、海が迫ってくるのが機内からも見て取れる。きゃー。機は滑走路エンドでやっとブレーキングし、曲がれるスピードを残してその場でターンした。要するに誘導路がないのでターニングパッドに行くまで余計なパワーを掛けたくないという、毎日何往復かしている慣れたPの操縦だったわけだが、やっぱりこれってあまり気持ちの良いものではない。
というわけで、客が乗っている(妄想をしている)ときは、やっぱり滑走路の終わりのほうを使って着陸、なんていうのは止めたほうがよいかと(笑)。








