Avi:fs:g
出典: Tariki
Gに関する考察
といっても賛美歌13番を流して呼ぶ、凄腕のスナイパーのことではない(そっちも私好きなので、考察させたら20枚くらい書けちゃうが)。重力加速度、9.8m/sec2、980ガル、1Gのことである。
体にかかるG
MSFSでは『Z』キーを2回押しておくと、画面左上に赤い字2行でいろんなデータが表示される。この状態では飛行に必要なほとんどのデータ他、ちょっとシミュレータ臭いとこではいま何fpsか、なんてのが表示されているため、計器パネルをOFFにして(ジョイスティックにこれを割り当ててある)素通しの風景だけでこのデータを見ながら飛んだりするのが好きである。いっさいのアナログな目盛りが出ないので、方位なんかはちょっと考え込むが、ちょっとしたHUDっぽくてよい(笑)。
ここではいまパイロットにかかっているはずのG (縦G) が表示される。離陸時にスロットルを戻すのがちょっと遅れておっとっととか戻して0.4Gだとか、高度処理が間に合わず『200』コールくらいでぐっと操縦桿を引いて1.3Gだとか、数字的に考えればちょっと凄そうなのであるが、これっていったいどのくらいのダメージなんだろうか (ちなみにGPWSがうるさいので、最近は愛機Learjetでは30度バンク以上はあまりしなくなった)。
もちろん、航空機のリアリティは最高にしてあるため、折れるときには足も折れる(後述)。死ぬほどじゃない。だけど、実機だっておそらく2Gとか超えたらすぐに「ぼがーん」とかいって空中分解するわけもなく(FSでオーバーGで空中分解したことはないがオーバースピードを放っておくとこうなるのだよ)、FSで「ぼがーん」と空中分解すると「その前にパーツが落ちたりひび入ったりするんじゃねーか? だいたい『ぼがーん』のその火の元はなんだよ?」と突っ込みたくなるのだが。それはさておいて、実機だとおそらく超えたGごとにあちこちに目に見えない、あるいは程度によっては目に見えるダメージが加わり、ネジが飛び外板が剥げそこから侵入した風圧でさらにあちこちがもげて、カタストロフィックに増加してチャイナ・エア空中分解事故みたいに分解するのだと思う。
戦闘機系だと結構、5Gとかに耐えられるのがあるが、これまた設定でチェックを入れておくと、うっかり高G旋回をすると視界が真っ暗になったりする。だけど、1.4Gとかで果たして「ああ体重が1.4倍になったなあ」とか感じるのだろうか。
その前に、自衛隊の航空祭だったかでC-1の60度バンクという出し物があって (これはもうアクロバットの部類に入る)、まあ知らない人はそれだけみたらたいした事ないな、と思うんだろうが、アナウンスで「いま隊員には2Gの加速度がかかっています。体重が2倍になるのに耐えているんですねえ」なんて流れると、いきなり(また知らない人は)「へぇー」「ほぉ~」などとおばさん驚き、おじさん驚きをするからこっちがびっくりしてしまう(笑)。
思うに、自分の体重が2倍になったところを想像してびびる人は、太ってしまって体がきつい、という体験がある人だと思う。この点私は20歳から体重が5kgも増えていないので (現在65kg前後) 実感はないのだが、たまに職場で10kgのものなんかもって階段を1Fから4Fまで上ったりとか、5kgくらいあるカメラを背負って10kmくらい歩いたりする(旅行先なんかではしばしばだ)と、70kg、75kgにまで太ったら大変だなあ、などと息切れしてしまう。
この状態でもわずか1.1Gとか1.2Gくらいだ。しかし、これは足で立っているから大変なのだ。さらに移動している。おそらく、座椅子に腰掛けている状態で20kgの米袋とか渡されても (これで1.3Gだ)、ちょっとお尻が痛いなあ、っていうくらいで、10分くらいは全然耐えられそうな気がする。だいたい、「へぇー」なんて驚いているおばさんも、夜中にだんなさんに上に乗られたりしてるときには2Gになっちゃってるんじゃないだろうか (ちょっと下品だ)。
体のパーツが重くなることについてはどうか。一番きつそうなのが頭と腕である。生首が何kgなのかしらないが、頭は脳があるから重いらしいので、脳が3000gくらいとして頭が5kgとする。うーん、確かに頭に5kgのものを載せられて後ろ向けとか言われたら (戦闘機乗りは首を回して真後ろとか見ないといけない)、これはきつそうだ。腕も何gなのかわからないが、牛乳パックを二本くらい手首と二の腕にくくりつけられて、さあこれで操縦桿を引きましょう、といわれたらそりゃきついわ。
といってもシミュレータで1.4Gとかがかかるのは、ほんとに5秒とかの間だと思うので、このくらいならもしかしたら耐えられるかもしれない。
いろいろ頭で考えているが、加速度計を持ってジェットコースターに乗って首とか回してみればいいんですね。
脚にかかるG
といっても自分の脚ではない。夏休みの繁忙期でも飛行機では立ち席は許されないし、10kgの荷物を持って階段を上がる話は既に書いた。航空機の降着装置のこと。どっちかというとGネタというより垂直降下率のおはなしだが無理やり話題をまとめてみた。
ある程度飛びなれている人で、滑走路を狙って落としてもいいから、といわれたら外すひとはまずいないとおもう (そんなのを外すくらいならg/aしちゃう)。だから着陸ミスといえば、高度処理か速度処理を誤ってああ滑走路が尽きる、なんてあわててどすんと落として脚をぼき (上で書いたようにリアリティは最高にしてあるのだが)、ということが一番多いだろう (いやそれもg/aすればいいんですが)。着陸時にどのくらいの衝撃が脚にかかるのか、ちょいと計算してみた。
メーターを見ながら得られる数値としては、着陸時にどのくらいの降下率なら (フレアはどのくらい掛けたら) ダメージにならないのかつー問題である。うまく着陸できたときはインスタントリプレイで戻してみたりするが、着陸寸前にPで止めて降下率メータをみても、結構でかい数字のように思える。
脚を折らずかつ何らかの理由で(停止距離が延びないようにとか)どっしんと降ろす時には300~400ft/min、滑走路も長くてそろーっと降ろすときには100ft/minくらいで接地するようにフレアをかけるという感じである。これは愛機Learjetで (だいたい110kt~140ktで着陸する) のはなしなので、降下角一定ならばおそらくセスナ172とかのスローな機体 (65ktくらいで着陸だったと思う - 実はあまり飛ばしてないのでよく覚えていない(笑)) では、失速速度が半分としてもこの半分くらいになるだろう。
体感するダメージは垂直方向の速度だと思うので、降下角が一緒ならダメージは2倍、ということになる。それだけジェット機の脚というのは丈夫に作ってあるんだろうか。あるいはプロペラの小型機というのは (乗った経験がないのだが) 実に衝撃少なく降りるものなのだろうか。
そもそも、昔のFSのフライトレッスンで、最初はPAPIが示す降下角 (だから3度ということになります) に合わせて、フレアをかけなくてもそのまま着陸できますねちょっとショックは大きいけど、というくだりがあった気がする(定かではない)。したがってこのときの降下率を計算してみると、降下比が0.0523くらい、65ktだったら344ft/minにもなる (ちなみにGoogle電卓だと『sin(3 degree) * 65 knots in ft/minute』と書けるので計算は一発だ(笑))。120ktも出していると、635ft/minにもなる。ただし700ft/minというのは、リアリティを最高にしているときの脚が折れる限界とだいたい一致する気がする。やはりフレアはかけないとダメで、降下率を半分にするくらいでまあ普通のどっしん、なのだな、ということが分かる。
では普通の旅客機 (やはり着陸時は120ktくらいのはず) でどっしん、と降ろされたときは、いったいどのくらいの衝撃なんだろうか。300ft/minというと、すげー高速のような気がする。なにせ、『10』といわれてから2秒で着陸である。というより、1秒間に1.5m、嫁の身長くらいの高さから降りるのだ。
おそらくよくある勘違いは、嫁の身長まで椅子を持ち上げて、座ったまま落とされたら背骨折れちゃうんじゃないか? という誤解だろう。あるいは飛行機のタイヤって衝撃を吸収してくれて何て偉いんだろう、という誤解である。
だが、1.5mの高さから落ちたら、終端速度は5.42m/s (時速19.5km) にもなる。300ft/minは時速わずか5.49km (秒速1.52m) 程度だ。私が歩く速度が時速6kmくらいなので、早足で歩いてぶつかって痛っ、っていう程度である。よくわからん。
よくわからないので、どのくらいから椅子を落としたら1.52m/secになるか計算してみる。これがわずか11.8cmである。まあそれだって首がぐきっとくらいなりそうであるが、幸い椅子のクッションと航空機のタイヤでなんとか耐えられる落下となっているわけである。いまなるほど、10cmくらい飛び上がって膝を曲げずに着地してみると、ああ旅客機でどっしんと降りるときこのくらいかな? というショックが脳天に伝わる(笑)。
静止している航空機を11.8cm持ち上げて落とすくらいのショックに耐えられれば(実際はその数倍くらい耐えられるように作ってあるのだろうが)、通常の300ft/minくらいの降下率の着陸になるということだ。『着陸は制御された墜落である』とはけだし名言であるが、いやー降下率計をみながらフレアの練習をすれば、着陸とはそんなに危ないものでも衝撃受けるものでもないんですねえ。ってフレアはかけると速度も落ちて揚力が落ちるから落下速度が速まるのでタイミングが難しいのが問題なんすけど(ぼそ)。
