Avi:airline:gxy

出典: Tariki

佐川急便が2年間だけ飛ばした、貨物専用の2機の飛行機からなるエアラインである。

2006年の終わり、『佐川急便が航空貨物に参入』なるニュースが流れた。ほどなく(うちからよく入る)羽田の管制にも、mode Sのレーダーにも(mode S トランスポンダを2機とも積んでいる)、GALAX (GXY)というコールサインが入るようになった。

それから2年も経たない2008年9月27日 (9月28日早朝) で運行をやめるというニュースが流れた。採算が取れなかったらしい。

航空宅急便は成り立たないのか?

我々は宅急便というのは、大抵翌日か翌々日に着くと思っている。したがってこの期待に応えるためには飛行機を飛ばさなきゃならないかというと、沖縄 (はじめ離島) はともかくとしてたいていトラック輸送で事足りてしまう。ちなみに船便というと絶望的に時間が掛かりそうな印象があるが (GXYがなくなっても航空貨物は他社でもあるのだが)、 沖縄は週2便、大阪から高速輸送船が出ている (これに乗って台湾まで行ったことがある。別ページに旅行記を書くが)。他社も沖縄の貨物便を運行しているだろう。この輸送船だけをとっても大阪に着くまでの日数プラス最大待ち3日プラス2日 (つまり3~6日) 程度で宅急便は運べてしまう。

燃料費のことを考えても、航空貨物というのは高くつく。宅急便の (都市間の基幹運送の) トラックが何トン積みなのか知らないが、仮に1tの宅急便を載せているとするが、GXYのA300-600で運べるのは40tらしい。満載してもトラックの40倍しか運べない。これに対して燃費は、だいたい国内線だと400人乗りの飛行機と2人乗りの車が同燃費くらいだから (これも別ページで計算した)、1機・1台あたりにすると飛行機は同距離飛ぶのに200倍の燃料を食うことになる。したがって荷物単位重量あたりだと (ものすごいどんぶり勘定であるが)、トラックより飛行機で運ぶほうがおよそ5倍くらい地球に優しくない、ということになる。その上トラックでは小分けして運べるということは随時出発できるので待ち時間が少ないし、トラックは夜間でなくても基幹経路を運行できる。つまり待ち時間が減らせるので飛行機より遅いということが帳消しにできる。

実際にGXYが課している料金は、実はそれほど高いという感じはしない。ためしにGXYの料金表をみてみると、羽田から札幌・北九州・那覇のいずれに送っても、2kg以下810円 (2008年9月現在) となっている。もちろんこれは羽田に持ち込んで新千歳に取りにいった場合の料金ということになるが、通常の宅急便ならお店から(あるいは集配してもらって)相手の自宅までで同じくらいの重さなら1000~2000円くらいだろうから、ほとんど変わりないといえる。実際、タイミングと大きさと重さによっては、基幹経路をトラックを使わずにGXYの飛行機で運ばれた佐川の宅急便、というのもあるのではないだろうか。

もちろん佐川急便の料金設定にはそれなりに根拠があるだろう。A300-600で運べる旅客は300人程度らしいから、GXYと同じように一日4運行くらいしたとして、また一人あたま平均15,000円くらいでこれらの区間のチケットを買っているとして、1運行が450万円で儲けが出る、あるいはとんとんくらいということになる (まあ荷物にはキャビンアテンダントも飲み物サービスも不要だが)。450万円を800円で割り算すると、5600個の2kgの荷物を運べばこれと同じ利益が出る。最大でも11tだ。A300-600の最大積載重量40tに比べたらがらがらだ。仮に、ある便に2kgの小荷物だけ重量制限ぎりぎりの2万個持ち込まれたら売り上げは1600万円、人間を運ぶのより4倍近くのぼろもうけとなる(軽くて小さい荷物ならもっとぼろ儲けだ)。

実際には大口の大荷物だと重量に対して料金が割安になるから、こんなに売り上げは出ないのだろう。それにも増して、急いで運ぶべき荷物がこんなになかった、というのが、GXY失敗の理由なのだろう。

アメリカなどは国土が広いから航空運輸というジャンルが成り立つ。それから国際宅急便も船では困る、というもののひとつだろう。私もネットオークションで買い物するとよくUSPS (EMS)・UPS・FedExなどのお世話になるが、一度運送費をけちって船便指定をしたら40日も経ってから到着して、いささか興ざめであった。USPSなどはトラッキングできて、「ああ今アラスカにいる!! 明朝は成田について、ちっ土日は税関休みだぜ」などとどきどきできる(笑)。

航空貨物で運ばれているものとして有名なのは (機内の火災報知器が鳴ったことで有名になったのかもしれないが)、タイ産のオクラである。軽くて小さくて鮮度が必要で、それなりのお金は取れるけど小口ではそれほど高くない(スーパーで8本くらい入って200円くらいで買える)、というのがちょうど航空貨物にぴったりなのだろう。しかし世の中の貨物はすべてオクラではなかった。

ともかく航空会社が消える、というのが寂しい。

さよなら銀河

なぜギャラクシーはギャラクシーかというと、旅客輸送が少ない深夜に、24時間空港を利用して貨物を届けているのである。

  • 関西 22:20→GXY501→0:15 新千歳 2:10→GXY902→3:50 羽田 6:00→GXY901→7:30 新千歳 8:50→GXY502→11:00 関西
  • 那覇 20:40→GXY802 →23:00 羽田 0:20→GXY701→1:50 北九州 3:10→GXY702→4:35 羽田 5:45→GXY801→8:15 那覇
    (2008年9月現在)

ということで2機とも羽田を中心に動いている (夜行性なので日中は関西と那覇でお休みということだ) のに、一度も見たことはなかった。昼いないんだから当たり前だ。

最後にGXYをみておきたい、写真を撮りたいと思った。ちなみに発表では10月6日で会社解散であるが、もともと日月 (どちらか。便によって) が運休な上に10月は運休するということであるので、9月28日早朝が最後ということになる。

上記のスケジュールを見ると、かろうじて5:45発のGXY801か6:00のGXY901なら見られそうである。ためしにmode Sのデータを呼び出してみると、GXY801は定時~6:05ごろ、GXY901は定時~6:15ごろに飛び立っていることが多いようだ。9月なら日も昇っているので写真も撮れそうだ。私は電車カメラマンなので始発の時刻表とにらめっこした結果、5:51に羽田空港に着くダイヤならGXY901にぎりぎり間に合うということも分かった。あと天気予報とにらめっこして(天気が良かったのと確実に北風 = 34出発になりそうな)、結局9月27日(土)の早朝(さよならの1日前)に写真を撮りに出かけることにした。

まず電車の中で迷った。第1に行くか第2に行くか、それともその他の場所に行くか。北風なら通常は34R出発 (第2ターミナルから見える) であるが、いまはD滑走路の工事のため16R出発である (第1ターミナル側だが、屋上が開かないとうまいところから見えない)。5:51着の電車は京急羽田線の途中駅を飛ばすため、新整備場の34L・Rともみえる(遠いけど)スポットも利用できない。電車に乗っている最中は当然、RWY 34R・16Lはclosedという情報がATISから流れている。ここは賭けに出て、第2ターミナル側に行くことにした。第2なら展望台が閉まっていても館内から34R離陸便をみることができる。

はたして、到着して第2ターミナルのエレベータに入ろうというとき (始発できていきなり5階に登る奴もそうとうおかしい(笑))、GXY901のpushback requestが入った。34R出発だ。ビンゴ。

5Fに出て余裕でタキシングするGXY901をみることができた。34Rオープン後最初の出発となるGXY901。ビデオも残した。

こうしてわずか5分ばかり、初対面にして最後のデートには成功した。美しい機体だった。と締めたいところだが、やっぱり佐川急便のトラックだった(笑)。