ノンリニアDV編集システム
★★1/2
あなたも放送局

え〜、今回はいつになくマニアックっす。っていうか〜、このシリーズが マニアックでなかったことがあろうか。いや、ない(泣)。

というのは、アマチュアだとしたら日曜ビデオ編集家の終局目標、 っつーよりTV局に納入しているようなビデオ編集業者が必要とする ような機材だからである。

ノンリニア編集システムっていうのは、HDD上で映像を編集するシステムである。 音楽でいえばハードディスクレコーダのようなもの であるが、なにしろ一秒あたりに流れる情報量が、音楽(2トラック・44.1KHz サンプリングの無圧縮)なら180KB/secなのに対し、DV(1チャンネル・1/5圧縮) で3.5MB/secにものぼる。したがって現状の最高性能の汎用PCでぎりぎりくらい なのであるが、そんなこんなの苦労話である。はっきり言って読者は10人くらい しかいないと思う(爆笑)が、書く。

というのは、これについて述べたものいろいろが、『PCに詳しい映像屋』の目か らのものばかりで、計算機屋あるいはPC好きの立場で言ったら、 触れられていないことが結構あるのである。ちなみに私は映像編集については 素人ですから、その辺(主にAdobe Premiereの使用のコツということになるね) は期待しないように。 ちょっと量が多いので……おしながき


ノンリニア編集の今まで

ちなみに私はビデオオタクでも何でもなく、 今までテロップが入ったようなビデオを編 集したことといえば、高校のときの視聴覚委員会で全国高校総合文化祭の取材・ 編集を した(あれも1980年頃だから大変な機材だったなあ。今思うと)以来である。 今回も仕事でこの機材を揃えたといっても、仕事内容は放送屋ではない。

そうだ、まず背景から説明しよう。 機材を揃えた動機はといえば、研究ネタのためである。詳しくは省略するが、 動画をディジタルで取り込んだり処理した結果を動画として提示できれば うれしい、という程度がわかってもらえればよい。

今まではといえば、まあアナログではありましたね。ビデオキャプチャボード。 MPEG1エンコーダが載っていて、320×240でフルフレーム(秒30コマ)取り込める ようなボードがパソコン屋でも今や1万円ちょっとである(ネットのTV電話? もど きシステムに使うらしい)。これは魅力があまりないです。取り込んだ画像 一枚一枚のまあ汚ないこと。パソコン雑誌にもこれを使って手持ちのビデオテー プをCD-Rとかに焼いて永久保存だ! みたいな記事が出てましたが、その気持は 分かる。アナログ文化をデジタルで永久保存したくなるその気持。 分かるけどあまりそういう気になるほど品質が良くない。 もちろん研究には使いたくないです(笑)。

無論、プロの放送屋が使うような機材では2桁くらい上の値段のがあったとは 思いますが、それは論外。

で今回、DV(一枚一枚がデジカメの画像並みに綺麗) のキャプチャセットとしてSpark-Jなるもの(日本語版。Spark英語版は 昨夏から知っていた)を発見し、いっちょ使ってみようと思ったわけです。

まず使ってみるときにはとりあえずハードのセットアップ・ソフトの操作習得 が必要ですから、放り投げてあった(一回 雑にデッキ2台で編集したけど)長編家族旅行のDVを編集してみて……ハマりました。 研究に使うより先にまず、普段使いのビデオ編集セットになってしまった とさ(笑)。

個人レベルでは決して安くない

値段はというと、Spark-J自体は10万程度です(カメオインタラクティブ)。 これはAdaptecの AHA-8940(OEM製品。OEMでないものにはUltra Wide SCSIが付いた AHA-8945というのが単体販売されている)というIEEE-1394カードと、 DPS Sparkという録画・再生ソフト、それにAdobe Premiereの プラグイン(すべて後述)がセットになったものです。

ちなみにIEEE-1394はアップルが勝手にFireWireとか、 ソニーが勝手にiLinkなんて名前を付けていますが、単なる混乱の元ですね。 DV専用の規格だと思っている人もいますが、HDDなども細いケーブル一本でシリ アル接続してしまおうという、恐ろしくも便利な規格ではあります。

ちなみにまっきん版も同梱されていましたが、内容は良く分かりません。 映像屋には一種迷信に近い信仰があってまっきんを使いたがるのでこういう 構成になっているのでしょうが、どう考えてもシステム全体 (ホストマシンから組んだとき) の価格は、Windows 95が一番安いと思うよ。

それらのソフトは、Win95/NT用ということですが、95で使うのが一番良い でしょう。

さて、映像を記録するHDDは別にしろ、ということなので、それも注文しました。 カメオのページにお勧めディスクの一 覧がありますが、その中でPCユーザ的には一番速いと考えられる SeagateのST-19101UW (Cheeter)を購入しました。 ちなみにこれ、普通のPCパーツ屋から裸で買うと11万ちょっとですが、 カメオで買うと30万(!)とかいう値段がついています。悪どいと思う。

あとこれがUltra Wideですので、SCSIカードも買い足しました。 AdaptecのAHA-2940UWが 4万弱。もちろんビデオ編集用ソフトとしてAdobe Premiereが最高峰なのは 言うまでもなく、売値で5万以上したと記憶しています(4.2J。実は 買ってから半年、前記の理由でアナログビデオ入力だと使えねーや、 と放っておいたので。その間にバージョンアップしてたらどーすんだ > おれ)。

この出費を高いと見るか安いと見るかはよくわかりません。 アマチュアビデオ編集家でも編集用のセカンドデッキは当然、必要 でしょうし(ノンリニアシステムだとPCで編集してカメラ兼デッキに 書き戻せるので、DVデッキの買い足しは不要)、テロッパだってその他 必要と思われる(良く知らない)タイムコードの同期装置だって 安くはないでしょう。 まあ新たにPC組んだりれば、これプラス20万くらいかかるかもしれないけど。

あと快適に編集を進めるなら、速いビデオカードと、サウンドカードが必要 ということになっていますが、これは最初から手持ちのもので我慢。


これを書いている'98年6月現在、SONYのVAIOシリーズとEPSONから、 DV編集を目的とした機種が登場した。 それぞれ9分15秒(2GBのAVIファイルの限界)を超えたクリップが作れるように (独自のファイルフォーマットを採用するか、2GBクリップを連続送出できるか) 工夫されている。ただ、VAIOでもフルフレームキャプチャ・送出に難があったり、 付属の編集ソフトがAdobe Premiereのサブセットだったりと、やはり自分で組ん だ方が良いようではある(PCには素人の映像屋さんが使うなら、むしろ組み合わ せ製品の方が確実だろうが)。
インストール

詳しくはこのへんに載っているのでそちらを見て下さい。 ここでは前節の続きになりますが、OSの選択やマシンの選択など。

まずマシンは、私のはMMXなしの(どうせPremiereでは使用しないらしい) Pentium 200MHzですが、Sparkに付いていたチュートリアルビデオ(英語) などによると、MMX Pentium 166MHzとかでもいいらしいから、あまり PCのスピードは関係ないのかも。とはいえ、取り込み・再生時には (後に書くけどこれが苦労するんだな、結構)バースト転送が激しく行なわれる ので、マザーボードのバスクロックなんかは結構、効いてくるかも知れません。 この辺はまた、440BXのマザーボードに変えたらレポートしますね。


はい、440BXのマザーボードに変えました(笑)。CPUはPentium II 400MHz。 ハングアップしにくくはなったようですが、実はあまり変わりないような 気もする。安定性を求めるならバスクロック100MHzに越したことはないが (それでもトぶよ)、バスクロック66MHzのマザーボードでもOK、って 感じでしょうか。

余談ですが、CPUそのものの演算速度が上がったにもかかわらず(Premiereを 使っていてね)、あとこの2倍〜4倍程度のスピードは欲しいっすね。 次期バージョンのPremiereではMMX(おお、Premiereの『効果』こそMMXの 出番なのに)とか使われるらしいっすけど。こういうくそ重いのが、 killer applicationっていうんでしょうかねえ(皆がビデオ編集するように なるとは思えないけど(笑))。


OSに何を使うかという問題は、ひとえにファイルシステムの問題である。 Win95ではFAT16、FAT32が、WinNTではFAT16、FAT32、NTFSが選択できる。 FAT16は1パーティション2GBしか取れない。だがこれは、Sparkで録画したDV ファイルの大きさの限界が2GB (FAT32、NTFSでも)、AVI形式で9分30秒なので あまり問題にならない。 この際一番高速といわれるFAT16 (FAT32はFAT16に比べて10%、NTFSは20%ほど遅い) で9GBのCheeterを4つ半に分割 することにした(ああもったいない)。 まあAVIファイルの制限がなくなった日には、またFAT32にでもしてみますね。

OSそのものはというと、もちろんWinNTでもよいのだが、使っているマシンに たまたまWin95をインストールしてあったのと、やはりドライバの枯れ具合い などから95の方が優位にあるとは思う。なんかこれ関係の仕事というと NT workstationという迷信があるが、安定度などでいうとこれも、 まっきん信仰みたいなものだと思う。

Spark パックの中身の役割分担

前述の通り、Spark-Jなるパックは、キャプチャカード、 Spark、Premiereプラグインでできているわけです。 IEEE-1394キャプチャカードの役割は明確だとして、 Sparkというのは単に、AVIファイルへの録画・再生の働きしかしません。

同じAVIといってもDV形式の(DV codecで圧縮された)AVI (以下ややこしいので勝手にDV-AVIとよぶね)が使えるようになります。 余談ですが、TIFFとかJPEGなんていうのも一種類の符号化とか圧縮方式の ことだと思っている人がいますが大間違いで、複数の符号化方式のどれを 使ったかの情報がヘッダに収められていて、再生するためにはドライバが必要だっ たりします。これと同じこと。

まさかWindowsの標準でDV-AVIが再生できるわけない(と思う)ので、 詳しくはインストーラがやってくれたので良く分からないのだけれど、 OSへのドライバ追加かなんかをしてくれて、 伸長をやってくれる機能を付加してくれているみたいです。 なんたってメディアプレーヤでDV-AVIが再生できる。

あとはPremierで映像を扱うときに圧縮・伸長するプラグイン。 これはどーいうことかというと、Premiereというのは動画をそのまま ばらして(伸長して1コマ1コマにして)つないだりしているわけではなくて、 元の映像ファイルへのポインタを使って編集操作をして、最後に 作品を書き出す(『コンパイル』とよぶ)ときにえいやっと やってしまうという(計算機屋ならごく当たり前の感覚)。

これだと単に元のクリップ(収録した映像の部品)から 連続したシーンを複写するだけの部分 (ビデオ作品では大半である)では、画質は劣化しない。2つのクリップを 合成したり、あとDVでは原理的にクリップを途中で切るとそこでも劣化が 起こる可能性があるが、そのへんだけが元のクリップより悪くなるだけである。

ところで話題はちょっとそれるが、IEEE-1394を使ってやり取りされる DVの信号というのは、圧縮済みの信号なのである。そもそもこのデータレートを 押さえたいから圧縮済みの信号をやり取りしているのであるが、副作用として この信号を何回ダビングしても劣化しない、という利点がある。 ディジタルなら当たり前じゃん、と思ったそこのあなた。それは間違いだ。 ディジタルで劣化しないというのは圧縮なし(CDなど)、 または可逆圧縮の場合であって、 MDなど非可逆の圧縮では、圧縮して伸長するところでロスが生じる (だから非可逆という)。したがってMDをダビングすると、伸長してから ダビングしたものをまた圧縮するので、さらに音質が劣化する。 とはいってもアナログ信号を収録した1代目のMDで圧縮のときに切り捨てた部分 と、それを伸長した信号を圧縮する2代目のMDとで、切り捨てる部分には ほとんど差がないとは思うけどね(しかも3代目、4代目、……といくにしたがっ て、音質の劣化はあるところに収束すると考えられる。これがアナログの 継代ダビングと本質的に違う点だ)。

ところがDVでは伸長前の信号をダビングする(2代目のDVでは圧縮は行なわない) ため、何代ダビングしても圧縮は1代目の録画時のみ、伸長は最後の代の再生時 のみなので、劣化はそれ以上進まないのである。 Premiereでもこれを活かして編集を進めているというわけだ。 先にクリップのつなぎ目では劣化が生じると書いたが、ここでは合成操作などを 行なわなければならないため、一度伸長して、1フレーム1フレームの静止画像を 作り、合成した後再度圧縮している。したがってそこだけは劣化が進むことに なる(MDダビングと一緒で、多分目で観てもよくわからないだろうが)。

副作用でHDDを節約する効果もある。Premiereではこの合成した部分だけは 手を加えて最初にプレビュー・コンパイルする一回だけ、伸長→合成→圧縮 操作をしてハードディスクに蓄えておくようだが、このときのHDD使用量は 2GB(9分)の出来上がりに対してわずか数百MB(まあ編集の凝り方にもよるけど) 程度のようである。いずれにしてもワークエリアとしてのHDDは多少いるという ことではあるが。

よくトぶのよ

若いのね。ぢゃなくって。

まっきん譲りのソフトの特徴か? なんて皮肉はおいといて、 まだまだAHA-8940のドライバが不安定なせいか(DV側が悪いのか)、 DV←→PCの転送中にしょっちゅうハングアップします。

ちなみに3.5MB/secなどというバースト転送は私も未経験なので (Ultra Wide SCSIで 40MB/secとか出る、出るとは言っていますが、周辺機器とかSCSIカードが さぼりやがるから、そんなに出るわけないでしょ)、今回いろいろな対策を してみて結構勉強にはなりました。

まずですね、私のHDD構成(つまり普通のSCSIを使っていて、Sparkを導入)では SCSIカードは恐怖の3枚挿し(あれ、AHA-8940はSCSIではないのかな)になる。 これがいけないのかな、もしかしてOS、ワークエリア、素材その他が入るディス ク、録画・再生用のディスクは同じUltra Wide SCSIバスにつないで AHA-2940はUW一枚にまとめた方がよいのかもしれない。 だが、常識的に考えてPCのバス上が混雑する方がSCSIバス上が混雑するより マシなはずである。

申し遅れましたが、マニュアル、チュートリアル、その他でも

は分けるように、と書いてある。

だがいろいろトぶ原因を突き詰めてみると、OSディスク(ノーマルSCSI)への アクセスもUltra Wide側のバースト転送を中断させる原因になっているようだ。 特に参ったのは、ノーマルSCSIのターミネーションである。こんなこと SCSIバスは両端にターミネータが必要なんでしょ、って盲信して使っている 人には関係ないのかもしれないが、私の経験上、『動いたときが正しいセッティ ング』というのがあって、SCSIバスにターミネータを付けずに使っていた。 私の10年来のSCSIとの付き合いから生まれた経験則なのだが、 SCSIバスは時々、ターミネータを(付けるべきときに)外すと動いて 付けると動かなかったりする。高周波線路なんだから当たり前だ。 ケーブルの長さ、曲り具合い、その他色々な要因があるので、 場合によっては終端してあるよりもしてない方が反射が少なかったりする。 今回もターミネータ(いっとくがこれはノーマルSCSI側の話だ) を付けたらたまたま付けないより良くなった、という程度のことだと思いますが。

その他マニュアルにも書いていない注意事項も含めて:

なお、ほんっっとーに不思議なのですが、普通はディスクって読み出しより 書き込みに時間がかかりますよね。ということはDV→PCの録画時に 上の条件がシビアに効いてくるかと思ったのですが、逆でした。 録画時はターミネータがなくってCD-ROMドライブがながーいSCSIケーブルに つながっていてしかも自動検出していて、システムエージェントもあって スワップもONになっていたのに9分くらいの素材を百発百中収録できたのに、 PC→DVの再生時には上の条件を満たしていないとまず、4分程度のクリップの 再生のどこかで落ちるのです。しかもテープが回っているときはより 落ちやすかったので、もしかしてDV側 (SONY DCR-VX1000)がいけないのかも しれません。たとえば圧縮中にPCにちょっとまったをかけることがあって、 それがSCSIバスの転送になんらかの影響を与えるとかね。

あとHDDそのもののスループットを上げなければいけませんが(ついでみたいに 書いてますが、これが一番大事。まあ私はあまり詳しくないのですが)、 なななんと9GB HDDをFAT16で5パーティションに切った場合、外周の方(つまり ドライブ番号が若い方)がアクセス速度・転送速度共に15%くらい速いのでした (hdbenchによって測定)。これは今日日のHDDの仕掛けを知っていれば分かること なんですが、昔のHDDみたいにCAV(角速度一定)で作られているわけぢゃなくって、 CLV(線速度一定)的に作られているみたいです(ちゃんとしたCLVではないので 『CLV的』と書いた)。つまり磁化の時間なんかよりも 磁化密度の方が効いてきてしまい、外側は内側に比べて一周あたりのセクタ・ ブロック数が多くなっていると。そこで回転数は一定な訳だから、外側の方が 若干、読み書き時間が速くなると。

ということは、DV→PCよりPC→DVの方がシビアなわけだから、上記のように 5パーティションに分けている場合

という役割分担がよいようです。

これを書いている'98年6月(こればっかりやんけ)、SONYからアナログ入力 を備えた廉価なDVデッキ、いやDVビデオウォークマンと言った方がいいかな、 が発売された。GV-D900である。 折しもボーナス時期だったので(アナログ資産を早くデジタル化 したかったし)、衝動買いしちまったのですが(液晶ディスプレイ付き24万の、 実売19.8万)……。

どうやら良くトぶのはカメラ(DCR-VX1000)側の性能にも問題があるようだ。 無論、録画しないでプレビューしているだけの状態では前述のようにVX1000 でも、NTでしかもスワップありの余計な機器つないでの……でも大丈夫だった わけだし、GV-D900でも録画してしまうとNTでスワップの余計な機器つないでの…… では落ちてしまうのだが、例えば95で前述の注意を満たせば、GV-D900で録画 する場合はまず落ちない。


肝心の編集はというと……

しごく快適。というか、普通のTV番組みたいに、カメラで撮った映像の良い部分 (実はこれが一番問題で、旅行しながら撮ったような映像だと、結構使える良い 部分が少ない。妥協するけど)をつなぎ合わせて、場合によってはシーン転換 とかにすーっとクロスフェードするだけではなく『ページめくり』みたいな 効果とか『扉が開く』みたいな効果とか使って(Premiereにはこれが何十種類か ある。素人がこういうの濫用するようになったらそれはそれでまた、 どれもこれも同じにみえるようになってくるのだろうけどね)、 字幕も入れて、説明図とか好きなように入れて、場合によっては1コマを 取り出してフォトショップで加工してまた戻したのをつなぎ合わせて 落書きアニメ作ったり(まあそこまでやらんけど)自由自在である。 要するに時間さえ掛ければ、誰でもTV放送とみまごうばかりの作品が作れる のである。

ってのはこのテの製品の場合は大抵、うそです。 DTMもしかり、デジタル写真もしかり。プロと素人の差ってのは機材の良し悪し ぢゃないんだからね。 でもまあ、どんなにセンスが良くても腕が良くても数千万円の機材がなければ逆 立ちしてもできなかったものが実現できる、というのはよいものです。

なおかつこの場合、『観る人の目』さえあれば、時間をかければ目標に向かって 逐次修正していける、というある種の製品群ではあります。 私は楽器が演奏できない(ドラム・パーカッション以外)のに曲が作れて しまうのですが、それはMIDI機材を使えば、時間さえ掛ければちまちまと 修正を繰り返して自分のイメージに近づけられるからです。 ただし誰でもできるかというとそうではなくて、修正(フィードバック)に 必要な耳なり目なりが必要、ということです。 これはMIDI機材で作曲、だけではなく、ハードディスクレコーダで 演奏を収録して作品に仕立て上げたり、という過程でも経験したのですが、 これがまた動画の世界にもやってきたか、という感じ。 繰り返しになりますが、私は音楽と音響についてはコレができますが、 動画については全然、できません。 できるから書いているというわけではないので、念のため。

ただ、いい気になって編集していると死ぬほど時間がかかりますね。 先の2Gパーティションの制約というよりは、ビデオ編集の常套手段ということ なんですが、 4〜8分の単位ごとに素材を取り込み、編集し、書き出すことになる。 そういう意味ではグローバルなノンリニアではない。 50分目に来るものをひょいっと10分目に持ってくることは難しいのである。

この4〜8分のクリップを作るのに、大体4時間〜8時間、つまり60分の編集 に60時間かかるのである。TV番組とか映画の編集などでは当たり前(? 良く知らない)にかかる時間なのかもしれないが、ダビングしつつ不要な部分を カット、という従来の編集とも言えない編集の方法 (アマチュアビデオのだ)に慣れていると、おそろしく時間がかかる気がする。 いや、不要部分カットだけに徹すればかなり早いのだろうが、目の前のおもちゃ がついついそれを許さない、という感じか。

下表にかかる時間・コストのおおよその目安をまとめる。 上段は滅茶苦茶凝りまくった場合、下段はざっと編集した場合である。 映像の他、素材としてビデオ以外の音声(CDなど)を挿入する場合は、それでわずか (一曲50MB程度だろうか)に容量を喰う。 編集作業時間は私がかなり慣れてからの時間である。 もちろんプレビューやコンパイルの時間も(さらに不本意だが最終完成物を 録画中にPCがハングアップした場合などは、その時間ロスも含まれるが、 こういったロスは出来上がり時間の2乗程度に比例するような気がする) 含まれる。 コンパイル時間はどうやら、編集中にどれだけこまめにプレビューを見たか にもよるようだが(『効果』部分は一回ハードディスクにテンポラリファイルが 作成されると、 『ムービー作成』時にはただ引っ張ってこられるだけのように見える)、 おおむね『効果』の凝り具合いによる(表の時間はテンポラリファイル無しの状 態から作成した場合)。上段の場合など、ほとんどのシーンが 2カメのオーバーラップや字幕など『効果』関係が使用されているが、 この場合は膨大に演算時間がかかるようだ。 バックアップは必ず取るとは限らないが、少しでも後から修正する可能性が ある場合、取った方が良いように思える(DDS-3を 使えば、2GBあたりのバックアップ値段も600円ちょっと('98年6月)だし)。

タイプ 素材時間 素材容量
(音楽含む)
総編集時間 一回の
コンパイル時間
出来上がり
時間
素材
バックアップ
(DDS-3)
凝った編集
(バンド
プロモビデオ)
13分 3GB 10時間 2時間弱 3分20秒 50分
不要部分の
カット程度
(家族旅行・部分)
7分30秒 1.7GB 4時間 20分 5分20秒 30分

それにしてもこれを逆にみると、プロの仕事ってのは恐ろしいものがありますね。 アナログ機材を使い(ちなみになんとDVで取材したものもベータカムに『立ち上げ る』そうである。機材の都合だろう)、素材の秒数を計りシナリオを作り上げ、 複数のVTRを同期させ、用意しておいた字幕を適所適所で入れ、 スイッチャを切り替え(場合によってはデジタルエフェクトの場面転換なども 操作するのだろう)、一本の作品を作り上げるのである。前述のように まったくもって、 シーケンサでしこしこ4分くらいの曲を繰り返し聴きながら100時間くらい掛けて 1曲を作り上げるのに対し、日頃修練を積んだミュージシャンがえいやっで 録り上げるのが、私のPremiere遊びに対するプロの映像編集屋の仕事に 相当すると思う。 長い番組でも細分化するのが普通とはいえ、これもアルバム中の各曲を 順番に録っていくのに似ている。

あとどうやら、音楽ビデオの編集などは荒く編集して秒数を合わせ、さらに 字幕を入れたりするフェーズは別になってたりして、要するに何度となく ダビングを繰り返すわけであるが、普通目にするTV番組は、アマチュアが 家庭用ビデオで何度もダビングして劣化するのとは大違いである。 レコードのアナログとデジタルの違いでも わかるように、アナログってやつは金さえ掛ければ死ぬほど良くなるっていう わけである。デジタルはチープに高画質(高音質)が得られるが、 画質(音質)の良さにはプロもアマも分け隔てなく(というわけではないが) 限界がある。

VCDを作ろう

日本ではあまりVCD (ビデオCD)というのは馴染みがないですが、香港あたりに 行くとこれの単体再生機(PCを使わずに再生するデッキ)や、映画ソフトもVCDで 多数売られていたりする。

まあMPEG1圧縮ができれば、あとはルールにしたがってCD-Rに焼けばよいだけ なので(Adaptec Easy CD creatorなどでできる)簡単なのですが、 せっかくPremiereで編集したので、DVに吐き出すだけではなくVCD (というかMPEG1ファイル)にもしてしまおうという企画です。 webページにも載せられるしね。って1時間ダウンロードして1分の動画 (28Kモデムの場合)なんて、誰もみねーか。

ソフトは日立(MP-EG 1/10の関係で力を入れているらし い)オンライン (FLORA City)で 販売している 『AVI→MPEGコンバータ』というのを使った(¥2,700)。

ちなみに同様のことは上記の新しいVAIOでもできるよう なのだが、こちらが変換時間3倍とうたっているのに対して、日立のソフトは 10倍程度かかる(つまり、3分のビデオクリップを変換するのに30分かかるという こと)。あ、Pentium II 400MHzの場合です。

また、『AVIファイルが再生できる環境でないと圧縮できない』つーんで (AVIの展開にドライバを使っているのだろう)、当然DV圧縮がサポートされてい るSparkインストール済みの環境ではOKかと思いきや、DV圧縮というのは720 x 480にピクセル数が固定なんですね。かたやVCDは352 x 240、1.15Mbit/secと 決まっている。VCDを意識しなければこれ以外のサイズでも作れるかと 思ったが、手持ちのMPEG player (IOデータのi750 AGPビデオカードに付属の もの)でも、720 x 480のDV AVIを圧縮したもの(日立のコンバータでは あまり大きいと適当に縮小されるらしい)再生できない (しっかりサイズの大きいMPEGファイルが あるのに、音しかでない)。これはプレイヤが悪いのか コンバータが悪いのか分からないが、ともかくこのごちゃごちゃしたのを まとめると

  1. PremiereでDV AVIを作るのとは別に、サイズが352 x 240、 圧縮方式が『Cinepak Codec by Radius』を選ぶ。 別にこれでなくても良いと思う が、例えば『Microsoft ...』なんて方式だと、256色とか数万色 (64K色のことか?)になってしまうので、数千万色(1670万色のことか?) であるこの方式を選ぶ
  2. ムービーを作成する。DV AVIを作るのと同じだけ(いやもっとか?)、 またコンパイル時間がかかる
  3. 日立AVI→MPEGコンバータを起動する。ビットレート1.15Mbit/secを 選ぶ。ひたすら待つ
という方法で、VCD対応のMPEG1ファイルを作ることができました。

しかしMPEG1ってのはひどいっすね。音もひどいことながら、映像もカメラ全体が 動く場面なんかでは(試しに作ったバンドのプロモビデオなんかでは ハンドカメラのシーンが大半だったので、ほとんど)モザイク状のブロックが 画面に出るし。まあしょうがないか。

結論

DV編集は私の新しい趣味になっちゃいそうである。っていうかビデオ撮影あんま りしないんだけど〜、一回旅行とかでついでに撮ったらそれから1ヶ月とか 楽しめるもんね。で★★★くらいの価値はあるんですが、あまりにもシステム全 体として安定性が悪い(よくハングアップする)ので減点1/2。