歩ナビ(ゲーションしない……)

GPS受信機
SONY PACY-CNV10 (PCMCIAカード)

★★1/2

GPS『受信機』というと、佐々木はまた 新しい放送に手を出したのか(笑)といわれそ うであるが、何のことはない『かーなび』である。 ただし私は車に付けない(車を持っていないどころか、日本国の法律において合 法的に運転することを許可されている者ではない)上に、後述の理由によって この機械は『ナビゲーション』してくれるわけではないので、 『かー』も『なび』も 間違いといへやう。

現実に これ買おうと思って、横浜の2、3の(そもそも近所に『使える』パソコンショッ プはないのだ)パソコンショップで『SONYのGPSレシーバPCMCIAカードありますか?』 (原文まま)ときいてまわったが、大抵の店員は怪訝そうな顔をする……かと 思いきや、結構その存在は知っていた。でも返す言葉が「ああカーナビですよね」 って、だからかーでもなびでも……とか突っ込んで、免許持ってないのとか 個人的事情を突っ込まれる必要性はなかったので、まあ反論しなかったですけれ でも。ここで内弁慶な私は、webページ上でフォントを大にしていうと、 車なんぞは

だから俺はそんなものに金も命も賭ける気ないの。
散歩の友に地図持って歩きたいだけなの。
『目的地』まで『誘導』してくれなくてもいいの。
ということなのである。

GPSとわ

学生時代はそっち方面の研究室にいて(したがって後輩でGPSの精度を上げる研究 の専門家もいた)、人並以上にはGPSのことを知っていると思うので、解説を一席。 とはいっても、この仕掛けを知れば知るほど、 アメリカは世界の警察官だ! アメリカ・いず・正義!! トゥデイ・イズ・世界のインディペンデンス・デイ!!! という構図が見えてくる ので面白いと思うよ。詳しくはGPS総卸し元・ 国防総省のページなどもどうぞ。

簡単にいえば、地球上空をぐるぐる回っている人工衛星が、 『私は今どこにいて、今何時何分何秒……ですよ』と放送しているのである。 電波が届くのは光の速さ(すごく速い。カール・ルイスより速い(笑)) ではあるが、やっぱり時間がかかる。 GPS受信機というのは、ある地点で3個の人工衛星の電波を受信し、 それぞれからかかった時間を測定すれば、その地点の座標がわかる、という 原理で動いている。わからない人は紐を用意してぴんと張ってみよう。 紐1本では空間上を結構自由に動ける(ある球面を描く)。 2本だとこれが円になる。 3本だと3脚のように、1点に固定できるわけだ。

まあこれは受信機も衛星に積んでいるのと同じ、『すげー正確な時計』を 持っている場合の話で、普通はビデオの時計なんかでも10分位狂わせっぱなしに しているユーザが多いので(そんなユーザのカーナビは、 木星か土星のあっち側に飛んでいってしまう)、 もう一つ時計校正用の衛星からの電波も受信して、計4つの衛星が見えていれば、 3次元座標(でもいいし、緯度・経度・標高でもよい)プラス正確な時刻が わかるという仕組みだ。難しくいうと、4つの変数の値を計算するために 4本の連立1次方程式を解く必要がある。

という知識を持っていたのだが、現在のGPS受信機は、前回4つの衛星の電波を受 信できた(標高がわかった)時と 現在も標高が同じだと仮定して、 今度は2次元座標(地球の球面上でね)プラス時刻の3つの変数を明らかに すればよいので、3つの衛星の電波しか受信できなくてもなんとかしのげる、 という仕掛けになっている。

もう一つ、ずーっとGPSとは『Global Positioning Satellite』の略だと 思い込んでいたのだが、正しくは『Global Positioning System』の略らしい。 まこれはどうでもいいんですけども(受信機も含めてシステムといっているわけ ね)。

でこれがどう国防と関係あるかというと。多分考え出した人は単純に (私みたいに)「今どこにいるかわかればい〜な〜」なんて思ったのだと思う。 それならglobalでなくても、道々の電柱に発信器を付ければよいわけだが、 まさにPHSは(突然話が変わるが)日本の狭い国土が産んだ技術である。 テキサスの砂漠の真中の一本道ではこうはいかない。ならばアメリカ上空に 静止衛星を打ち上げて、そこから電波出しちゃえ、となるだろうが、どうせだった ら地球をカバーする24個の衛星をぐるぐる回して(実は予備が3つあり21個である)、 世界中のどこでもこれを使えるようにしてやれ、というのが、アメリカが世界の 警察官を自認する所以である。

つまり。世界中どこで兵器を飛ばしても、誤差数mでフセ○ン(布施さん?(笑))の 邸宅を爆破、隣の建物は無傷、ということができるようにっつーことだ。

さらに、それ(タイムコードを刻む仕掛け)を世界中に公開してしまう。これが CAコードとよばれる、誤差200mのコードである。 誤差数mの高精度コード(Yコード)は依然、軍事上の機密である。

平和ボケのどっかの国の 若者は「湘南まで道がわかってい〜な〜。アメリカさんありがとう」なんて いって(いわねえか)ドライブしてるんでしょうが、いざ有事になると CAコードも変更されてしまうといわれているのよ。つまり戦争が起こるや、 世界中のカーナビ・電子地図どころか、普段アメリカさんのCAコードを 使っている(敵国だったらまさか使おうと思わないだろうけどさ)ミサイル はふらふら他所に 飛んでいってしまう中、アメリカのミサイルだけがYコードに従って 高精度命中……というシナリオができているのだ。

このことは公にされており、アメリカは「衛星24個打ち上げて(えへん すごいでしょ?)電波出したよ。自由に使っていいよ(感謝、感謝でしょ?)」 「でも戦争になったら取り上げるからね。ミサイルの誘導ではうちに 勝てないんだからね」という2重の宣伝効果を挙げるわけである (というアメリカ愛国民なら誰も文句いえない軍事効果を名目に、 防衛費で衛星24個も打ち上げさせ た発案者が一番すごいと思うけどね(笑))。

というわけで、『評価』の★★1/2のマイナス1/2分は、そういった きな臭さに対してなのです、今回は。


私と地図と国土地理院

そもそも私は地図が好きである。旅行にいくと必ずその地の地図を買う。 地図っていっても『仙台の美味い牛タン屋なら太助に限る!!』とかそういう のでなくて、建設省国土地理院謹製の2万5千分の1である。ちなみに 地図面のみが表に出るので隣と接続でき、折り畳んだときには裏面しか 出ないという、コンパクトに折り畳む手法も、 中学の同級生の佐藤良平から教わった。

なお余談だが、関東に移住して感動したのは(座布団1枚)

話がそれたが、この『単なるGPS受信機』カードには、 アトラスRDという 電子地図が付いている。Windows95用だ(当たり前か。むか←後述)。 これがないと『単なる緯度・経度(その他)通報装置』なのだが、 これがあると『単なる地図』に変身だ(爆笑)。

単なる地図とカーナビはどこが違うか。 カーナビっていうのは、大体GPS単体だと精度悪いから(誤差200mとかある)

そういうことをやってくれるのである。単なる地図とは違って、道には溝が掘って あるわけだ。

ところがこの電子地図はやっぱり地図なのだ。建物の中でも平気で 突っ込めるし(大抵中で小池さんがラーメンをすすっている)、 海の上を歩くのなんざ苦でもない。


UNIXでGPS

付いているソフトがWin95用なのは当たり前である。世の中80%のパソコンは Win95、10%がマッキン、残り10%がその他である。 私が差して持ち歩こうと思っているLibretto 50(通称りぶ蔵)ではFreeBSDが 稼働している。

したがって、まずりぶ蔵を換装(乾かすことではない。改造のこと)に 出す必要があった。 詳しくはこちらにも 書いた。

Win95のパーティションを切るため、HDDを2GB(!)に増設するのである。 漁夫の利でFreeBSDのパーティションも増えて万々歳である。 他な〜んにもWin95のアプリケーションは要らないのであるが、この 地図ソフトともう一つ、Win95でしか使えなくて悔しい思いをしていた 『駅すぱあと』(電車の乗り換え案内ソフトね)も使えるようになる。

なぜHDDを増設するとき改造が必要かってーと、りぶに最初から附属の810MBの HDDは厚さが7.5mmなのである。 ところが2GBのHDDは、一番薄い奴でも12.5mmある。この5mmのスペースが 取れないために、同じように改造したい人たち(Librettoコミュニティの力は 偉大だ)の間では、裏ぶたをHDDの部分だけ切る(つまりHDDむき出し) 『裏切り』という行為が流行っている。

ところが秋葉原のmaxusという 換装屋さん(という商売が世の中にはあるのだ)では

というサービスを行なっているのだ(全部やるともう1台Lib50が買える ……ほどはかからないか)。

問い合わせてみると、後者は時間がかかるとのこと、現在1日10時間は 使っているようなマシンなので、たとえ1〜2週間とはいえ、 おいそれと改造手術で入院させるわけには いかない。そっちはあきらめて、裏ぶたは買ってきて自分で取り替えることに した。ただしI/Oドック(家に帰ってきて後ろにガシャンとはめて232Cとか プリンタを接続する奴)の改造も必要で、そっちは入院させることにした。 カードモデムを使えばネットに接続するのに支障はない。

というわけで裏ぶた交換はものの10分、 こんな便利な奴で今までのHDDも外づけPCカードとして中身を吸い上げて、 (ついでにFreeBSDも2.2.1-RELEASEにアップグレードして) 元の状況に翌昼には戻っていたのだ。


さすが秋葉原

上の準備を整えて、結局GPSカードが見つかったのは、秋葉原の T-ZONE地下1Fモバイル売場であった。 さっそく(毎度やることである。これはゴミを捨てて帰る意味もある) ファーストフードに入り開封、刺してみた。

その時点で気づいたのだが、結局すごいのはマウスみたいな形をした 箱(写真)であって、この中で衛星からの微弱電波8チャンネル受信、 時計の校正から1億分の1秒(くらいかな?) の計時、座標の計算と緯度・経度他への変換までやっているのだ。 最初(写真で見ていた時)は、「あのPCカードにGPSレシーバが。すげーな」 (白い箱はただのアンテナ……プラス、まあアナログのアンプくらい?)と思った のだが、主役は白い箱であったのだ。型番がPACYなので君は今日から 『ぱっきー』だ(『太陽に吠えろ!』ぢゃないんだから(笑))。 でもかつてはね、コンピュータのクロックが4MHzとかで、 100万分の1秒の計時といったらすげーな、 という世界だったのですが、今となってはまあ433MHzで動くCPUなんて のがあって、光が1m進む間(約3億分の1秒)に 足し算が一回終ったりするくらいなので、あのくらいの箱にそれが 入っていても不思議はないのかも。 まあそういうわけで、PCMCIAカードの部分は単なる232Cインターフェース というか、ケーブルちょん切ってやればモデムもつなげるんぢゃ ないの? とかいう単純なものなのでした。きっと白い箱の部分は、他の機種 (SONYは他にもポータブル GPSの、パソコンにつながなくても良い機種を出している)にも流用 しているんだろうねえ。

さて、 アトラスRDをインストール(アンド使用)するためには、CD-ROM ドライブが必要なので(ポータブルのは持っていない)、 とりあえずFreeBSDからターミナルソフト (ppp)でその出力を読んでみる(ウェンディーズでだ(笑))。 9600bpsで毎秒1行ちょっとの出力が吐き出されていて、 フォーマットはわからないのだけれども まあ曲がりなりにも緯度・経度・標高はこれだろうな、という 数値があったので、早速帰りの日比谷線で菊名に着くまでの間、 現在位置表示ソフトを書いてしまった(C言語)のでした。

帰ってからwebページ上でいろいろ検索した結果、 こんなとこに別のSONYのレシーバの出力フォーマットがあって、 またGPSや測地に関しては テキサス大学 のとても有用な情報を参考にしたりして、 文字端末版はとりあえず完成させました。またその他 bsd-nomads ML archiveを検索してみたら、 ポータブルFreeBSDの仕掛け人、 ほそかわ師匠

  Subject:     [bsd-nomads:02927] Re: APM spec
  Date:        Wed, 30 Oct 1996 17:37:21 +0900
  From:        hosokawa@mt.cs.keio.ac.jp (HOSOKAWA Tatsumi)
  Message-Id:  <199610300837.RAA21867@frig.mt.cs.keio.ac.jp>
という投稿があり、おまけとしてxgpsというperl + Tkで書かれた、 X上の衛星位置表示プログラムなんかもあって、楽しませてもらいました。

アトラスRDの実力

この地図ソフトは実によくできてますねー。とりあえずインストール + 普段使いにはCD-ROMドライブが要るのだけれど、データの一部を切り出して HDDだけでも起動できる(800MのWin95パーティションが必要になった所以)。

しかも単体で4千いくらである。紙の地図より高いけど、それでも倍程度という のがすごいでしょ。 買ったら「レシーバに地図ソフトが付いて4万なにがし。安いね〜」 という人がいたけれど、ソフトの部分は実は安いのだ(笑)。

これを起動して、中のメニューからSONYのGPSドライバを立ち上げると (いきなり歩きながら使わないように釘を刺される。う〜む、読まれている(笑))、 衛星マップが出てきて、3〜4個の衛星から電波が受信できれば その地点にジャンプ! だ。OLE対応(よくわかんないんだけどさ)のマップサーバ という形式になっていて、ユーザが書いたアプリケーションからも 地図面が利用できるらしい。


○○ナビ

え〜、こちらに習って、どこで使えるか調べて みました。


結論

これ、結構使える範囲が少ないと思う。理論上は常時6つの衛星は見えているは ずなのだが、例えば地平線近くの衛星ってば、建物があると見えません (当たり前)。 んじゃ屋内とか空が2/3以上見えていないと駄目かというと、結構反射したり 透過したりで、微弱なはずの電波が 木造家屋程度は素通しするし(いやー電波に囲まれて暮らしているのね)、 電波が弱くても長時間受信していると衛星に ロックすることがある。タイムコードを変調している スペクトル拡散通信方式の威力だ。

まあナビゲーションとかする人はこの程度だとぷんぷんなんだろうけど、 電車やバスの中でよっっっっぽど条件が 良くないと使えないとしても 私の『今どこにいるか知りたい』欲を 十二分に満たしてくれたので、前述のきな臭さを引いて★★1/2です。


実はまだまだ続くのだ。

ってな遊びがあるので、進展があったらここで報告しますね。

とりあえずWin95版で使ってみて、Xの地図ソフトができたとしても これ以上にもこれ以下にも評価は変わらないだろうと思うのでした。


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