焼き増ししてんか


ディジタルカメラ (その1)
★★★

基本的にこのシリーズのページは更新しないことに決めていた。 書いたら書きっぱなし、放ったら放りっぱなしである。 その方が新鮮な感想が損なわれないと思ったからだ。

しかしデジカメの場合、ちょっと様子が異なる。入手して3年も経って大ブレー クし、しかも当初の事情からだいぶ変わってきている(それが性能はほとんど 向上していないのだから大笑い)。したがってこのページは 入手後1年半の96年8月に書き、97年の1月に2度目の書き直し、 そして2代目をげっとした97年の5月に3度目の書き直しを することとなる。


最初にディジタルカメラ(以下デジカメ)と出会ったのは、'95年の4月のことだから もう3年にもなる。 当時はそんな良いカメラがあったわけではなく、リズム時計工業のVisimoという 固定焦点、12枚撮り(PCMCIA SRAMカードで拡張可能)、フラッシュなしの ものであった。どちらかというと製品コンセプトは『画像を利用したメモ』で あったと思う。

その数ヵ月後、DC-1がリコーから出た。これに匹敵するレンズ性能、画質 (といってもCCD何万画素の世界のことではない)、 マクロ性能の製品は後にも希有である。

それはさておき、当時デジカメを振り回していると「どうやって使うの」、 「何のために使うの(焼き増しすらできねーのに(笑))」、 ちょっと知っている人で「フロッピーに記録するんでしょ」という質問が 殺到(笑)した。 後にこれほど普及するヒット商品になるだろうとは、他人が使っている時点では 気づかなかったに違いない。 もっとも現在でもまだ、TVにつないで(これができる製品が結構多いのだ) 画像の保存もせずに見ては消し、プリントアウト しては消し、という人が多いに違いない。あまりディジタル = 再利用可能の意味がない。

関連記事

あきれたのは、どっかの雑誌で

デジカメのメモリカードは、普通のフィルムと違って足りなくなったからその辺 でおいそれと買えるわけではない(だから普及の足かせになろう、という意味の 文章が続く)
とか書いてあったことだ。おめーそれ、デジカメ使ったことないんぢゃないの!? (笑) 一杯になったら最悪な人でも見たりプリントアウトして消せるし (消せることを知らないとしか思えない)、ふつーの人は パソコンにダウンロードしてんだよっ。 およそメモリカードを新規購入することって、最初と故障した時くらいしか ないんだよっ。 しかし雑誌のライターがこうなんぢゃ、もしかして世の中には 「もーフィルムが一杯になっちゃった」とかいって次から次へとメモリカードを 買い足しているお金持ちな人がいっぱいいるのでは? と疑ってしまった 次第です(笑)。

デジカメの性能とは

よくカタログスペックで問題にされ、新製品のwebページにも必ず登場し、 パソコンショップの店員に聞くとそれが問題、とばかりに真っ先に挙げられるのが

CCDが何万画素
という問題である。いや〜、はっきしいってこれってあまり関係ないのよね(笑)。

そりゃ画像サイズが320×200と800×600では大違いだし、800×600(って48万ピクセル ね)で30万画素しかないCCDで撮像するのは詐欺である(笑)。 しかし、CCDなんて素子を作ってるメーカーはそんなにないのである(笑)。 どれを使っても似たり寄ったりだってことはわかるでしょ。

話が逸れるが、さるデザイナー(Macを使っている。Macユーザにはこういう人が 多い(笑))が、打ち合わせの時にいくら 「何dpiでお願いします」とか「何ドット×何ドットで……」と言っても通用せず、 「何cm……」とかだと通じたという話をきいた。 もちろんバリバリにフォトショップとかイラストレータを使いこなしている、プロが、 である。 解像度よりレンズ性能、という話をするとき毎度それを思い出す(なんで?(笑))。

むしろそれより問題なのは、レンズ系の性能とか、 撮影する一瞬で絞りやシャッタースピード、それにホワイトバランスをどう決めるか、 あとマクロでどれだけ接近できるか、望遠にしたときにどのくらい画像がボケないで 済むか、そういったカメラとしての性能なんである。 これは、雑誌などの製品比較のハードコピーを見ても、 カメラメーカーが一日の長があることでも納得できることである。

あと見落とされがちなのが、 撮影した映像をどうやってパソコンに転送するか標準のフォーマットにすぐに変換できるかどうかである。 例えば後述DC-1では232C経由(最大19200bps)、AIMS規格のPCMCIAカードという2種類の 方法があったが、これははっきり言って『★』である。 後者はその後主流になったATAハードディスクカードに逆らう独自規格であり (現にリコーもその後の製品ではどちらも使えるようにした)、独自規格という ことはラップトップ機でドライバのインストールに困難を伴うものがある。 私怨になるが(爆笑)、私はSOTECのマシンに95対応のAIMSドライバを入れ、 嬉々として(パソコン自体を95にアップデートしてしばらくの間は、232C転送で あったのだ)カードを差し込んだ瞬間、貴重な200枚もの写真が失われてしまったのだ。

さておいて、もう一つの232C転送も問題である。最近のIrDAの数Mbpsならばそれほど 問題ないといえるかもしれないが、たかだか19.2Kbps (モデムより遅いのだ)では、 通常の(どんな圧縮方式でも大体一枚、50KBか100KBである)一枚転送するのに30秒 かかってしまう。やった何枚撮っても無料、ここぞとばかり撮った数百枚の 写真データがあったりするとたまったものではない。

この項の結論としては、PCカード、それもATA (まあ最近の切手サイズメモリ カードは標準になりつつあるけどね)という標準のPCカードを使えるのでなければ やめましょう、PCの方もPCMCIAカードが読める(つまりラップトップPC互換機を 持っている)のでなければ、デジカメを使うのなんぞやめましょう、という事である (笑)。


いろんな製品紹介……

……については、 こちら にある、山田久美夫さんのデジカメランキングを読んでもらった方が良いと思う。 最新情報を盛り込んで、プロの目から製品を評価している。 にリコーDC-1の事を書くが、この製品 (または後継機のDC-1S、DC-2)に直接興味がない 人はこちらまで 読み飛ばしてもらった方が良いかもしれない。しかしこの製品は いろいろな意味で後のブームを象徴しているようにも思える。


DC-1について

DC-1は比較的初期に出た製品であり、リコーも後継機を、 他社も様々な製品を出している中、いくつかの他にはない 特徴を持っている(良い意味でも悪い意味でも)。 一応上に述べたことと重複する事項が多いが、気が付く限り述べてみる。

長所

  1. 光学系が20万円以下のクラスの中では抜群に良い。 レンズの構成(マクロからズームまで可能である)、 固定焦点でないこと、機械式シャッターを併用している ことなどである。他製品は解像度やCCDの有効画素数を 誇っていたりするが、肝心のCCDに届く前の部分が 使い捨てカメラ並みでは、結局インスタントカメラ の画像をスキャナで撮った方が良い結果が得られる。

    後述するようにフォトレタッチツールとの組み合わせは必須 であるが、『写真』として観た場合、DC-1を上回る (安価なクラスの)デジカメはない。 結局のところ 他の製品では結局、従来のカメラにはない メディア性・簡単さがウケているのであり、 『従来のカメラの同等品』ではないような気がする。

欠点

  1. 長所は欠点としても作用する。 きちんとピントをあわせる機構をもっている→合わせ損なうと ぼける、機械式シャッターがある→反応が遅い、など。
  2. フラッシュカードがほとんど独自規格(AIMS)であること。 これはさすがにまずいと思ったのか、後継機では標準の ATAカードを採用している。 意外に見落としがちだが、デジカメの命はパソコンとの接続 である。DC-1でも他に232C (〜19200bps)接続が可能だが、 8Mカード160枚からのデータを転送するため3時間待つのは 実用的ではない。PCMCIAスロットにカードを差し込んで ファイルコピーの要領で転送できなければならない。 もちろんAIMSカードもドライバが付属しているが、 Win95への対応が非常に遅く、出た対応ドライバは バグありであった。 喜び勇んで24M、約400枚以上のデータを収録したカードを パソコンに挿した瞬間、データが昇天してしまった。 現在('96. 8)も一部パソコンでAIMSカードは 使用不可能であるが、これが ATAであったら標準のドライバでもっと早くに対応できて いたかと思うと残念だ。 ただし技術サポートは非常に誠意があり熱心である。
  3. 故障が多い。 とにかくあらゆる接触部分が接触不良になる(形状に 無理がある)、外部機器との接続部分にかかる力が 考慮されておらずすぐ破損する、ズームの機構まで動作不安定に なる、で、買って半年で3箇所が故障・破損、どうしようも なくなって修理に出した。なお別の人が所有している同機も 同様の破損がみられ、後継機では改善されているところを見ると 製品不良というより設計不良である。

フォトレタッチツール『ThumbsPlus』について

Win95完全対応、バージョン3.0 (日本語版あり)、 約1万円。

Cerious Softareによるシェアウェアであり、高度な加工は できないものの、良く使う操作がショートカットに割り当てられて おり、非常に使い勝手が良い。 デジカメの画像の後処理にはレタッチツールは 必須であり(後述)、例えば有名所ではPhotoShopがあるが、 これだけの加工のために十数万円かけて、 機能豊富なあまり重く操作性が損なわれるのは良くない。 後述するように、この品質の加工なら慣れれば ThumbPlusで一枚1分である。 数十枚を撮影してきた日に誰がPhotoShopで完璧な仕上げを 要求するだろうか(しかもちゃんと金出して買ってるの?)。 百万円台のデジカメならPhotoShopが似合うだろうが。 ほぼフルスペックの試用版も 入手でき(こんな素晴らしいソフトなのだから1万円は ちゃんと払うべき)、 ユーザ登録(webページでも可能)すると 「あ、金払った甲斐があったな」と 思わせるパッケージが送られてくる。 詳しくは http://www.cerious.com/

なおDC-1でも付属の画像変換ツール(これがないとjpegに できず、オリジナルのj6iというカメラの 内部フォーマットのファイルで保存されるだけだ)で ある程度のレタッチもどきはできるが、任意角度の回転・ クロップ・色調補正・フィルタ・histgram equalization など画質調整ができないので、変換ツールとしての 使用にとどまる。


通常の風景写真処理の手順

ここからは固い話(でもないか)で、まあ現実にデジカメを購入して、自分の ページに彩りを添えようと思ったらこのくらいしなくちゃ迷惑 (絵が汚ないとか写真が『重く』て見る気にならないとか)という話である。

前項のThumbPlusを使った手順を説明する。 慣れれば下記の手順は1分程度で こなせるようになる。

heli1
オリジナルをcrop (トリミング、構図によって 不要な部分をカット)。以下heli1〜heli5まで 解像度はオリジナル通りだが、画像の大きさを 2/5程度にしてある。
heli2
フィルタsharpenでボケを除去。 望遠で撮った場合、レンズの特性上どうしても ぼけが生じる。やりすぎるとモスキートノイズが 目立つので注意(jpeg系圧縮してある画像なので)。

※ 折角sharpenフィルタの効力をお目に掛けようと 思ったのに、ブラウザによってはアンチエイリアシング (ぎざぎざ防止)のために少々ぼけてしまうようである。 背景の壁の粒粒、ヘリの羽根のエッジ、 コックピットフロントの室内光の照り返しなどに 注目。

heli3
カラー(主にホワイトバランス)補正。 ここではcontrast +6%、赤-7%、緑-6%、 青-10%(毎回違うので画像を見ながら調整した結果)。 とくに人の肌色が含まれる場合はそれが 緑がかったりしないよう、また白べたが 含まれる場合はそれが白くなるように調整する。 かなり輝度の補正などもできるが、やはり適正光量 で撮影したものにはかなわない。特に暗目の 画像を無理矢理補正して明るくすると、 CCDの特性からか画面に青の斑点が目立つようになる。 暗いとざらざらした感じになるのは普通の写真と一緒。
※ これもブラウザ・ビデオカードの特性 によってはよくわからないかも……。
heli4
histgram equalizationの結果。 『眠たい画像』(白くもやがかかったような、 低コントラスト画像)の補正に役立つ場合が 多いが、画像によってはこの通り。 失敗なのでundoする。
heli5
手動でもう少しコントラストを上げる。 コントラストを上げると白(ヘリの羽根の部分)が 青みがかっていることがわかるので再調整。 brightness +10%、contrast +15%、 赤 +1%、緑 +0%、青 -6%。 この調整は何回やっても情報は失われない はずだが、黒が0レベルより低くなったり、 白が最大輝度より高くなった場合は、 そこでリミッターが働くようになるので、 その場合は逆の操作をしても元に戻らない、要注意。
heli6
元のままでは大きすぎるため、ページに載せるのに最適な 大きさ(横を300としたら自動的に縦201になった) に縮小。このとき、撮影時にカメラが傾いていたり 縦位置だったりした場合は、回転補正をかけられる。 回転・拡大・縮小補正は、逆の操作をしても 元に戻らず、繰り返し行なうと画質が劣化するので 一発で決める。 縮小すると見掛けクリアになり、光量不足で 荒くなった粒子 、ブロック歪み・ モスキートノイズ(後述)も目立たなくなる。

デジカメはスキャナとして使えるか?

一番の問題は色むらである。 この問題はうまく光源を設定し、ガラス板で 紙を挟むなどすればある程度は解決できるだろう。 ここでは極端な例(ではあるが、普通の手間で行なおうと したらこんなものである)を示す。

flush1
約50cmの距離から文書(A4)を撮った結果。 何も考えずにフラッシュを炊くとこうなる (無調整だがさすがに白はきちんと出ている。 縮小済み)。
flush2
フラッシュを切った結果(夜間、通常の蛍光燈下にて)。 光量不足である 上、しわが目立つ、撮影者の影が写り込むなど 問題多し(無調整、ただし縮小済み)。
flush3
フラッシュを弱めた(ティッシュ4枚重ねで 遮光した)結果。このとき紙で遮光すると フラッシュの光が黄ばみ、指が前に出ると 赤みがかる(手〜の平を太陽に〜、透かして みるのと同様の原理。血の色)。無調整、 縮小済み。
flush4
回転補正、色・コントラスト補正した結果。 なんとか読めるがスキャナ代わりに使うのは 相当難しいことがわかる。
flush5
flush4にhistogram equlizationをかけた結果。
flush6
さらに2値化したもの。 輝度むらがあるので、固定値の2値化では うまくいかない。
pincusion
デジカメがスキャナ代わりにならないもう一つの理由が この『樽形歪み』である。 写真は床タイルを撮影した場合(もちろん正確に 正方形である)。 スキャナが平面を平面としてとり込むのに対して、 カメラは全方向から来る光を平面に投影 (球を平面に投影)する。 このため、極端に言えば球を押し潰したような 画像になる。イラストなどでは気にならないが、 罫線が入っていたりするとものすごく目立つ。 大きな範囲を撮影して、レタッチツールで 一部切り取る場合、その一部が画面の端の方 だったりすると、柱や天井の縦線・横線 が歪むことでも目立つ。なおこれは普通の写真でも 当然、起こる現象である。

望遠(ズーム)・接近(マクロ)

これらの機能は普段、必要ないと思われがちであるが、 例えばheli1〜の画像はフラッシュで画像が 白く飛んでしまう(flush1のように)のを防ぐ ためにわざわざ離れたところから望遠で撮った。 マクロがあれば生物写真を撮ったり、下の例のように flush1〜6に比べればまともなスキャナ代わりに 一応はなる(名刺〜葉書大しか撮れないが)。


pint1
DC-1は自動焦点範囲が約50cm〜である。 したがってマクロ(1cmまで近づける)を 利用するためには、別売ディスプレイを 見ながらピント調整が必要である。 ピントを合わせられない場合は、接近しすぎると 警告が出て、このようになる(約20cm、無調整)。

なおこのピント合わせの話は、多くの20万円以下 デジカメは固定焦点(使い捨てカメラと同じである) であり、 その場合は当てはまらない。 マクロが付いているものは マクロ切り替えで同じく固定の ある範囲に焦点が合うようだ。 固定焦点は 手軽ではあるが、自動焦点に比べて奇麗な画が撮れる 範囲も制限される。

pint2
ディスプレイの解像度は高くないが、慣れれば ジャストピントが判別できるようになる。 手動でピントを合わせた場合(無調整)。
pint3
pint2の縮小していない一部。ここまで撮れるが、 逆にこのくらい接近すると紙質が気になる。 スキャナは光源をよく考えてあるのでその点は 有利である。『紙という物体を写すカメラ』か、 『紙の上の情報を取り込むスキャナ』かの違いである。 色は調整してある。

ブロック歪み・モスキートノイズ

これらは、安価なデジカメがすべて圧縮にjpegあるいは 類似の方式を使っているため避けられない問題である。


noise1
ブロック歪みは、ドット(元の2倍に拡大してある) より大きな単位のブロックで、 ブロックに境目が出る ような歪みである (noise1では字の線幅と同じ程度の大きさの 正方形のブロックが見てとれる)。 モスキートノイズは、noise1で白黒の境目 より外側に、輪郭のお化けのようなものが出ている 現象である(物体の周りに蚊柱のように発生する ためこの名前がある)。

どうしてもsharpenフィルタを掛けたりコントラストを 強めたりすると目立つ現象だが、ここでは 強調してみた。

noise2
安価なクラスのデジカメでは、700×500程度の画像を 一枚50KB (約1/20)に圧縮するのが普通のようである。 独自の方式を取っている場合でも、品質と圧縮率の 関係はそれほど変わらない。

DC-1では、このクラスの圧縮(エコノミーモード)の 他に、ファイルサイズが倍 (圧縮率約1/10)に なるノーマルモードが 選べる。明るいところで条件の良い画を 撮った場合にはそれ程違いが分からないが、 noise1と同条件で処理したnoise2は、 明らかにnoise1と比べてブロック歪み・ モスキートノイズとも減少している。 noise1はエコノミーモード→画像変換ツールで 『標準』の画質で変換・保存、noise2はノーマルモード→ 『画質優先』で変換・保存。


結論

まあこれだけ普及したんだから(そしてまだまだ普及しそうだから)、 何のかんの言っても『★★★』だろうねえ。
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