本は21世紀も初頭になくなるという。いや、電子化されるという話ではない。 ぼろぼろになって読めなくなるだろうという話である。
知っている人は知っていると思うが(もしかして常識か?)、 紙を漂白する時に酸を使う。これが木の繊維をぼろぼろにするため、通常の『紙』 は数十年持たないのだという。昔の白くない紙、藁半紙とかね(そういう言葉知 らないか。私が小学生くらいのころは学級新聞は『藁半紙』に『ガリ版刷り』で あったのだが)とかは平気だと思うが、よくはわかりません。
図書館などではこれを重く見て、紙を中性化する作業をしているところもある らしい(あるらしい、ってそっちが普通なのかも)。つまり書庫を立ち入り禁止に して、アルカリ性かなんかのガス(体に悪そう)を吹き付けるのだ。
私も一丁前に、博士論文(ワープロではなく、TeXという文書整形システムを 使ったので、自分で紙にコピーして製本屋に出す)を出版した際には、 中性紙を買ってきて使いました。大きな文房具屋に行けば、注文で数千枚単位から取 り寄せてくれる。A4版で1枚7円也。
ただしこの理由としては、 博士論文が50年後に残っていないと自分の業績を世に示せないから、という 思い込みよりは、どちらかというと年を取って博士論文を見返して 「わしも青かったのう」などと思い返す時、それが読めなかったら悲しいだろう、 と思うからなのだ。母親が大学時代に使っていたドイツ語のノート (ちなみに先生は小澤征二のお兄さんだったそうな)を見せてもらったことがある が、後年直接役に立つ、立たないはさておいて、『思い出』になるような アイテムは、たとえ授業のノートであろうとも、中性紙につけるべきではないだ ろうか。その意味では100年プリントというのは非常に的を得た商品である。
前振りが長くなりましたが、今回はデータイータ。これに記録しておくと、 100年後も読み返せるのかなあ?
非常にSONYらしい商品である。まず、名前が(笑)
Data Eata
モノはとりあえずスキャナと白黒液晶画面のプレビューア(画面でイメージを見 ること)、それに 蓄積デバイスのMDデータドライブが附属している、なのである。 さらに言うと別売プリンタ接続可能(機種限定)、スタンドアロン なので外部(コンピュータとか)とは没交渉ね、というものである (データの再利用性については後に論ずる)。
そういえば東芝がかつて、光ディスクを用いて (アナログ記録だったような気がする)一枚のディスクにA4何千枚だか収納可能、 これでオフィスもペーパーレスに!! という商品を出したことがあります。 今でもあるのかな。
私も自宅、オフィスともペーパー地獄の人である。原因は書物。 それも単行本(専門書および普通の文芸書)なら年間300冊程度の増加なのでまだ 我慢してやろう。 雑誌(一般誌、専門誌、学会誌、……)で取っておかないと死ぬようなもの は、とりあえず毎月一定のペースで増えるので(それも段々厚くなったり 取る種類を増やしたりする)、目に余るものがあります。
東芝のそれが出た時は、もしあれば夢のように本が減るのになあ、と思ったり したんですが、問題は
データイータは、これに代わる……ものではないです。解像度はファックス程度 (だから写真がシンボル・イラスト以上に大事な場合は読み込ませて元を捨てる ということはできない)、しかもスキャナの構造上、1枚1枚に分離できる『紙』 でないと読み込ませることはできないという。
しかし私の生活を考えてみると、その種の資料も結構多いのですた(人によるで そ)。特に会議関係の書類、これは 毎週毎週数十枚のペースで増える。捨てると後から必要になる事がない わけではないし(それも大体、一年後の同時期とかに必要になる)、 取っておくと持ち前の整理の悪さで紛失してしまう(整理しろよ)。
ここでデータイータが登場するわけですが、どうも今回は話が散慢になって いかんな(いつもか)。 先にこれだけは言っておきます。データイータの特徴としては
結果的に私の目的は、半分達成されたのですが、 達成されなかった事項を手短に箇条書きしてみますね。
余談ですが、どの程度の品質で『紙に出す』かは、読者の数に依存することに しております。TeXというのは凝ればいくらでも(そのままphoto readyとして出版 できるくらい)高品質の書類を作れるため、読者が100人以上いるような場合 (学会とかね)は最高に凝りますね。普通の会議や演習など、読者が数十人のオー ダーでは、TeXで普通に作れば普通に奇麗なものができるのでそうします。 読者が数人程度の打ち合せなどでは、手書きのコピーも辞さないという(ただし 手書きの方が時間がかからない場合のみ)。
万人にとって完全にオフィスから紙を消すのは無理とはいわないけど、その人たち も私と同じような生活習慣を持たないといけないのだろうなあ。 某社でペーパーレス令が敢行されたとき、それじゃ仕事にならないってんで 机の下に紙を隠し持っていた社員が多数いたという笑い話があるけど、通常の『紙 社会』に生きる人が現在の習慣のままペーパーレス社会に移行しようと思うと、 とてつもなくでかくて高解像度で見やすい(目がつかれない)ディスプレイと、 ペンで書き込めるようなインターフェースが必要かも知れない。いみじくも 私の恩師の一人が「4096 x 4096くらいの解像度のディスプレイの上に複数ペー ジをぶちまけて赤を入れ(校正)られなきゃ駄目だねえ」と言っていたのを 思い出す。
ちょっと話が逸れてしまったけど、問題点の2.は データイータのケースに限ってかなり深刻なので、章を改めて論じましょう。
紙の書類は、物理的に整理すればそのまま論理的に整理がつくところにメリット がある。えーとこれについては異論がある人も多いでしょうし、だから 『ちょ〜整理法』なんて本が売れるんでしょうが、敢えてここでは無視しますね。 そういう発想で行けば 電子オブジェクトの方がもっと整理は大変なんだから(ということをここでは 言いたいのだから)。なお私は電子オブジェクトの方が整理が楽な人です、承前。
この類似性で、最近パソコン(特にWindozeだよ)でもディレクトリのこ とを『フォルダ』と呼びますね。これは元々マッキン用語である。 しかしディレクトリはディレクトリであって、 Appleが他と差別化したいために同じものに別の名前を付け た悪しき習慣の猿真似である(反論却下)。 例えば鉛筆のことを『けこまる』とか名前をつけて、勝手に呼ぶのは個人 (あるいは、とある同好会の範疇で)の自由ですが、外部とコミュニケーション するために物に対する記号(名前)が存在するのだから、正しい言葉を使ってもら わないと困ります。私の目の届く範囲では、マッキンだろうがWindozeだろ うがコンピュータを使う時にはディレクトリはディレクトリと呼びなさい、と 指導(偉そう)してますが、コンピュータのプロを目指す(とまでは行かなくても 猿からの脱却を目指す)人が、『猿でも分かる』ための用語を鵜のみにするのは 堪え難いことである。
と話が逸れかけましたが(なおかつ結構目がまぢになっている)、 コンピュータ上の(おっと、電子文房具の話をしているの だった)オブジェクトというのは、物理的に整理することと論理的に整理するこ との対応関係が成り立ちにくいのですた。
そういう意味では、データイータが外部との交渉を一切断って、 とあるMDデータディスクに読み込ませなかった書類は、そのディスク以外に 入らないんだからね、としたのは、こういった『猿』な人々…… いや(笑)電子文房具慣れしていない方々を混乱させない ユーザフレンドリーな思想であったと言えよう。いや皮肉を言っているのではな くて(笑)。 これはまぢで感心すべきこと(エンジニアが肝に命じておかなければならないこ とかもしれない)である。あの書類は、このディスクのこの引き出しのこの フォルダに入っているからね。
しかし。私のように通常、ファイルシステムというと再帰構造・ 木構造になったディレクトリによって分類可能で(データイータでは ディレクトリ構造は2層まで限定である)、ファイルには名前があって (データイータでは何とファイル『名』ではなくて、ファイルを示す 『画像』(『イラスト』)なのですた。もちろん字も書けるわけだけど)、 名前順に整理できたり(当然『名前』でなくて『画像』がインデックス なので順番を付けられる訳がない)、日付順に整理できたり(これはできそう ……)、容量順に整理できたり、検索できたり(これらも ぜーんぶインデックスが文字でないせいである)できるものだ、という 考えが当たり前の者にとっては戸惑うばかりです。
結局、会議の資料などそれほど頻繁に検索したり名前順に整理したりするわけで はないので、これでも十分使い続けられるということはわかったんだけど、 整理の仕方として通常の紙のファイルと同じような注意が必要。
これから購入しようという人は、はなから注意して欲しいのですが
うちの大学の 学科の事務でもデータイータを購入したので、分からないことがあったらきいてく ださい、といっておいたら、早速私のところに問い合わせがありました。 やっぱり使用(目的は今まで紙で保存していた 成績証明書数十年分の電子化であった)前に↑のような匂いを嗅ぎとったらしく て、ちょっと手伝いにいったら、操作方法とかそういったハードウェア・ ソフトウェアに関することではなくて、そういった整理ポリシーに関する話題が 主だったのでした(これには感心しました)。 まあ私のように(逆にコンピュータのファイルシステムを使いなれていると) 後から移動・コピーが簡単にできるべ、と甘く見てかかって破綻する、という ことがなかったのは賢明ではあるな、と思ったことでした。
というわけでデータの整理ポリシーで、しょっぱなから破綻した私は、 やはりコンピュータ上で整理することを考えたのでした。ハードウェア的には MDデータドライブ というのがあって、これは単体でみるとMOよりも ちっこいディスクドライブで読み書き可能なリムーバブルメディアが使える という、持ち運びコンピューティングな人にはちょっと食指の動く ものかも知れません。
余談ですが、当然音楽用MDよりMDデータの方が高い訳で、 音楽用は使えないかと生ディスクを入れてみたりする訳です、読者の予想通り (笑)。音楽用MDとの互換性は全くなく「けちけちしねーでちゃんとMDデータ メディア買わんかい」というメッセージが出るのですが、なぜか 音楽用MDはドライブで再生できるんですね。 まーMDは出だしでいろいろあったわけだし、私のようにMDの音は 大っ嫌い(音楽用MDは当時使ってなくて この試しにつっこんでみたメディアが、音楽用生MDの購入1枚目でした(笑)) な人も多いと思うので(詳しくは別のページで 論じます)、MDデータという規格ってば、SONYが「MDを絶やさないようにしよう」 と無理矢理採用した規格なのではないかと思えてきます。 今でこそシャープのデジカメに採用されたのでそういう疑いは 晴れてきたんですが、データイータが MDデータ採用商品の1号機、件のドライブ(当然SONY製)が2号機とくれば、 そう思われても仕方ないでしょ(いや事実かも知れない。SONYが作った世界の 規格というのは、今まで死ぬほどたくさんありますからねぇ)。
あーそういうわけで、MDデータドライブと別売ソフトウェアを購入すれば、 データイータのディスク間の移動とかコンピュータ上での再整理が簡単に できるのでは、と思って購入したドライブの評価記事は こちらにありますんで、まあ結論からいえばドライブは(そのためには)必要 なかったんですが、興味のある人はそっちを見て下さい。
MDデータドライブをパソコン(Win95)に接続した時点で盲目的にファイルの移動 とかディスク間のコピーなどはできたであろうはずなんですが、実はこれって 試したことはございません。よくデジカメのファイルがMS-DOSフォーマットで、 パソコン(といってもWin95だけど)のファイルシステムとしてそのまま見えて 移動とかコピーはできるんだけど、独自のインデックス付けがされていて、 整理した後のPCMCIAカードをカメラに差し込んだらカメラでの読み出しができな くなった、って話はありますでしょ、そうなるんぢゃないかと思ったのね。 というのは言い訳で単に怠慢だっただけです、笑え。
で↑の事務がそのソフトを購入したのを見て(発売当時は結構 さがしたんだけど、カメラ量販店の ソフトコーナーなんかでは「カタログにすら載ってませんねえ、そんなソフト あるんですか?」などといわれた)、うちの研究室でも 注文しました。ここにきて過去ディスクの整理ゴコロがむくむくと芽生えたわけ。 でこうして現時点で、買ってしばらくにもなる製品のレビューを書いている。
このソフト、すげー高いです。同じSONYの製品と比較すると、 DVキャプチャボード(これはISAバスのカードと ソフトがセットですぜ)と同じ位して、入っているのがなななんと
であとショックだったのは、これ使うに当たっては、 MDデータドライブは必要ない(笑)ということなのでした。あせって 先にMDデータドライブを購入して、まあそれはそれなりに 使い道があったからよいのではありますが……。
えーと、件のソフトを使ってデータの移動とか複写(それも『棚』とか『フォル ダ』の単位で)してみてないので、この話はここまでです。
といって、いつの日かこの続編を書いたとして、 ★1/2が変わるかというとそうでもないような気がする。 まず本体のみのデータ可搬性の悪さで減点、というところは変わらない (本体買ったら必ずソフトも買った方がいいよ、とは言えないソフトの価格が 原因)でしょうし、それはそれで最初から上に挙げたようなデータ整理ポリ シーを確立していればカバーできる。 嫌なら(パソコンユーザならば)スキャナを用意して、通常の Windozeのエクスプローラみたいなので整理すれば同じような目的には 使えるし、でもデータイータは単体で動くし スキャナは読み込みが手軽で早いのがメリットなのよね、ということです。
ま、さんざいろいろ書きましたがこの『たりゃモノ』ターゲットそのものって感 じの商品の性格が分かっていただければと。
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